新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

アメリカを考えると

2016-11-14 13:04:29 | コラム
別な話題と視点からアメリカの変貌振りを見れば:

実、は嘗てはアメリカ最大の紙パルプ・林産物メーカーの1社だったWeyerhaeuserが9月末で全紙パルプ事業部門の売却処分を終えまして、完全に1900年に創立された当時の木材会社(不動産部門も残して)に戻りました。恐るべき紙パルプ業界の衰退をイヤと言うほど示した現象です。この最大の原因の一つには、言うまでもなくICT化が進み過ぎて「印刷媒体」(=紙媒体)が劇的に衰退し、典型的な例では新聞用紙の需要は過去10年間で60%も減少しました。アメリカとカナダの新聞用紙会社の多くは”Chapter 11”=民事再生法で救われました。

アメリカでは世界最大のInternational Paperを始め我がWeyerhaeuserも含む大手メーカーはほとんど紙パルプ事業から撤退し、それを買収したファンドや中小会社が相次いでChapter 11となってしまった惨状です。しかも、彼ら製紙会社は中国、インドネシア、タイ、ブラジル等の新興勢力からの輸入紙の安値攻勢に苛まれ売上げが激減し、その窮地を脱すべく商務省に請願して高率の関税をかけて閉め出すという、保護貿易を商務省主導で実行させました。

それ故に私は「オバマ政権がTPPを推進していることを自己矛盾であり、アメリカが基本的に輸出国ではないというか、輸出をしようという精神がない国だと解っていない」と酷評してきました。トランプ氏がTPP脱退と言う背景には、もしかしてその点の認識があるのかも知れません。アメリカは今や世界第2位の製紙国に成り下がり、首位に躍り出た資源小国の中国にパルプや古紙を売っている立場になりました。原料をお買い上げ頂く中国からの製品を閉め出す政策です。これが保護貿易でなくて何でしょう。

こういう貿易政策を採ってきたのが、うつけ者のオバマ大統領率いる民主党でした。私はトランプ氏がビジネスを心得ているという有識者が言うのには疑問を感じます。と言うのは、彼は矢張り「不動産屋」でしょう。私が1994年2月にアメリカで一寸手伝ったことがあるアメリカで管理するアパートの数が最大という不動産管理会社の副社長はベンツに乗って出て来ましたし、腕には黄金に輝くRolexという具合。その一人であるトランプ氏がどれほど政治・経済・軍事・外交が解るのでしょうか、全世界的に。

因みに、Weyerhaeuserは最盛期の1990年代末期には2兆2~3,000億円の売上高で社員が58,000名でしたが、今や7,000億円で13,000人の会社。デトロイトもあの惨状。即ち、アメリカの製造業の不振の状態が続き一向に盛り返す気配は見えません。どん底にある製造業を不動産王が建て直すには何をすれば良いのかがお解りでしょうか。1994年に通商代表部(USTR)代表のカーラ・ヒルズ大使は「識字率の向上と初等教育の充実」を挙げました。「良くご存じだ」と思いました。

そこでアメリカを”Make great again”に必要なことの一つに政権移行テイームがあります。なお、私はトランプ氏の”Make America great again”は大変結構なスローガンだとは思いますが、これは「今はグレートではない」と解釈出来るのです。良く実情をご存じのようです・・・・・。

既に結成されているはず:

11日の産経には未だ出来ていないかのような記事が一面に載っていた。この件でYM氏と語り合ってみたが、彼はそんなことはあるまいとの意見だった。それは新大統領が着任すれば、ワシントンDCの政府というか諸官庁の主立った幹部は全て新政権の任命する者に入れ替わるのである以上、新大統領が決まった現時点で結成されていなければ、1月20に間に合う訳がないのだから。

我が国とは全く事情が異なるアメリカでは、その際に入れ替わる人数は3,000~3,500名であるから、それだけの人材を今から決め始めていては遅いという訳だ。言うなれば、アメリカでは新大統領は数千名の自らの手兵を引っさげてワシントンDC入りするのだ。

YM氏の意見では「大統領選挙に立候補する以上、政権移行テイームを準備していないことはあり得ず、遅くとも共和党か民主党で候補者を指名した時点で準備を開始していなければならないので、まさかトランプ氏がそれを怠っていたとは考えにくい」というものだった。私も一般的に我が国ではアメリカで政権が代われば官庁の幹部が総入れ替えとなどあり得ないので、アメリカには政権移行テイームがあると聞いても理解しがたいだろうと思って聞いてきた。彼によれば、幹部は入れ替わっても一般の職員まで入れ替わるものではない由だ。

そういう事情があるから、オバマ大統領はトランプ氏に政権移行テイームへの協力は惜しまないと明言したのだと思う。これは現大統領から新大統領への引き継ぎも含まれているからだ。何れにせよ、我が国とは文化が全く異なる国の政治には、解りにくい事柄が多いものだと思わせてくれる。

上記のように色々と考えております。


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