自分を見失った日。

あの時、車の中で彼にされたことは、今までの私への復讐だったのかもしれない。

「めりーと別れたとしても、この体と顔を手放すのは惜しいよな。
だからもう付き合ったりとか結婚なんて考えられないけど、セフレにはなってもいいよ。
セフレになるか、一生会わないか、その２つしか選択肢はないから。」

彼がそんなに酷いことを言うなんて、思ってもみなかった。

「お前が俺をこういうふうにさせたんだよ？
正直嫌いになったわけじゃないし好きとか愛してる気持ちはあるけど、疑いとか憎しみの方が大きいから。
どうしたら俺を心から嫌って離れていってくれる？」

「・・・私は何をされても、嫌いになんてなれない。
それほどまでに○○を愛してた自分の気持ちに気付いちゃったから。
恋愛は条件じゃない　って。ただ傍にいたいって思えるかどうかなんだって。」

彼は冷たい目で私を見て、無理やり服を脱がされた。

私が「やめて」って叫んでも、泣いて暴れても、彼の強い力にかなうはずもなかった。
全然気持ちよくなんてなかったし、もう何も感じなかった。
今まで好きだった人にこんなことをされるほど、辛いことはないと思った。

私は抵抗するのを止めて窓の外の空を見ていた。
曇っていて星は見えなかったけど、窓に映る自分の顔が、なんだか自分じゃないような気がして、彼も私も２人とも可哀想だった。

終わった後、どうしてここまでして彼と一緒にいたいと思うのか分からなかったけど、憎しみと愛情が隣合わせってことも、よく分かった気がした。

そして携帯をとって、遠くに居るあの人に
「ごめんなさい、もう会えないや。
私の自分勝手さはよく分かってる。どんなことをしてでも償うから。」
とメールを１つだけ入れておいた。

そこからどうやって帰ったのか、あまりよく覚えていない。