おやじのつぶやき

不動産会社を経営する今年53歳のおやじが日本国を憂い仕事・趣味・健康などをテーマに日々つぶやきます・・・・

日本国際フォーラム理事長・伊藤憲一 北方領土、今は動く時にあらず

2011-02-28 | 憂国

交渉相手なのであろうか。中国は共産党一党独裁が終焉しなければまともな交渉は出来ないであろうが、竹島はどうなのだ??いつになったら話し合いが出来るのだ??
少なくとも、我々日本人は法と正義を貫かなくてはならない。そのためには正しい歴史教育をしていく必要がある。

産経新聞 正論 20110228

◆「日本人脅せば必ず屈する」

 ドナルド・ザゴリア米コロンビア大教授から20年ほど前に聞いた話を、最近よく思い出す。

 当時、たまたま米国を訪問中だったイワン・コワレンコ氏が、米国人多数を前にした会合で、「日本人は卑屈で、力に弱い。脅せば必ず屈する」と発言し、みなを唖然(あぜん)とさせたという話である。コワレンコ氏は、ソ連共産党国際部日本課長として日本人抑留者洗脳工作を指揮し、1976年に来日したときは、札幌で「返せ、北方領土」の看板の撤去を堂垣内北海道知事に「命令」して、拒否されたことでよく知られている。

 ロシアのプーチン-メドベージェフ双頭体制の最近の対日言動をみていると、このコワレンコ氏の対日観を想起させる。ラブロフ同国外相が「日本は、第二次世界大戦の結果を認めなければならない。認めないかぎり、平和条約交渉をすることは無意味だ」と述べたのは、その一例である。

 問答無用のコワレンコ的発言だが、そもそもロシアの北方領土占拠は、第二次世界大戦の戦争目的をルーズベルト米大統領とチャーチル英首相が宣言した大西洋憲章や、両米英首脳と蒋介石・中華民国国民政府主席によるカイロ宣言などの「領土不拡大原則」に違反する「不法占拠」であり、それゆえに日本は返還を求めているのである。そして、ロシアもまた、旧ソ連のスターリン主義が犯した過ちについては、一時期、これを認めていたはずである。

 ロシアのコワレンコ的発言に対して、日本人に求められるのは、「法と正義の原則」を掲げて不当な圧力に屈しない毅然(きぜん)とした姿勢である。前原誠司外相が「要人が何人、誰が行こうが、軍事的なプレゼンスを強めようが、日本の固有の領土であるという法的評価が変わるものでは全くない」と言いきったのは、至当である。

 しかるに、相手の高圧的な態度を見ると、「もう駄目だ」と観念してしまい、すぐに既成事実や相手の恫喝(どうかつ)に屈しようとする傾向が、一部の日本人にはある。「このままでは、北方4島はおろか、2島も返ってこない。だから、2島プラスアルファだ」などと騒ぎ立てる日本人たちである。

 ◆「法と正義」を貫徹できるか

 しかし、それでは、自己の原則を捨てて、相手の要求に迎合しているだけであって、外交にはなっていないし、問題も解決されない。ことの本質は、「4島か、2島か」というような利害打算にではなく、日本が、その主権と「法と正義の原則」を貫徹できるかどうかにあるからだ。

 キッシンジャー元米国務長官は国際政治について、「ネバー・セイ・ネバー」と言った。「絶対にということはない」という意味である。「4島返還は絶対にない」という日本人たちに言いたい。いったん国後、択捉両島の放棄を認めてしまえば、それこそ「4島返還は絶対にない」ことになるが、放棄さえしなければ、「返還の可能性は永遠に残る」と。

 いまは冬眠していればよいのである。プーチン首相やメドベージェフ大統領はやがて権力の座を去るであろう。かれらの政権が永久に続くわけではない。旧ソ連は長らく、領土問題そのものの存在すら認めなかった。そして、それは永遠に続くかのようにさえ思われた。しかし、ソ連時代を通じて日本は、その基本的立場を守り抜いたからこそ、その後のソ連の変化に対応できたのである。

 91年に解体したソ連邦の最後の指導者となった、ゴルバチョフ大統領は、その年の連邦崩壊前に来日し、日ソ共同声明の中で4島の名前に言及して、「領土問題の解決を含む平和条約の話し合いを行った」と認めている。そのソ連の継承国となったロシアの初代指導者、エリツィン大統領は93年に来日した際の東京宣言の中で、「法と正義の原則」による領土問題の解決を約束している。

 ◆プーチン氏らも権力を去る

 98年の橋本龍太郎首相の川奈提案も結実しなかったとはいえ、そのような大きな歴史のうねりを踏まえていたからこそ可能だった日本側からの提案であった。

 その後、登場したプーチン、メドベージェフの両指導者は、スターリン主義への回帰を鮮明にしており、そのような政権との間で領土問題の交渉が進展しないのは、むしろ当然のことである。

 しかし、幸いなことに、プーチン-メドベージェフ双頭体制も、繰り返しになるが、永遠に続くわけではない。いずれは消え去る運命にある。いま、そのような相手との間で譲歩を重ねる交渉を急ぐべき理由はまったくない。

 ソ連やロシアにも、ゴルバチョフ氏はいたし、エリツィン氏もいたではないか。良識を弁(わきま)えたひとたちが政治の表舞台に復権してくるときはまた、必ずある。そのとき日本は風のように動けばよい。いまは、その時に備えて、「動かざること山のごとし」であるべきだ。領土問題は、百年、千年の計で臨むべき問題である。日本国民は冷静であってほしい。いまは動くべきときにあらず。(いとう けんいち)



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