834の3*◎201『自然と人間の歴史・世界篇』リーマン・ショックと世界恐慌(アメリカ、サブプライム問題)

2018-10-18 10:19:57 | Weblog

834の3*◎201『自然と人間の歴史・世界篇』リーマン・ショックと世界恐慌(アメリカ、サブプライム問題)

 いったい、これほどまで大規模な景気後退がなぜ起こったのか。諸説に概ね共通しているのは、通常の景気循環の中では考えられない程の「バブル経済」が現出していたことであった。そんな中でも、2007年の途中までは米国型の投資、中でもサブプライム関連商品がうってつけの投資商品であった。リーマンブラザーズを含むこの国の投資銀行は、これを扱う金融機関に湯水のように大量の資金を流していた。
 なお、ここでサブプライム・ローンとは、2001年金融監督当局の通達にある。具体的には、(1)過去12か月以内に30日延滞を2回以上、または過去24か月以内に60日延滞を1回以上、(2)過去24か月以内に抵当権の実行、債務免除、(3)過去5年以内に破産宣告、(4)返済負担額が収入の50%以上のいずれかに該当する住宅等に関わるローンであって、ローンの格付けとしては、「FICOスコア 660点以下(620点以下とする分類もある)」(倉橋透・小林正宏「サブプライム問題の正しい考え方」中公新書)とある。
 わかりやすくするために、サブプライム・住宅ローンは、例えば最初の2年間は月々の支払いを債務者の所得の範囲内に留めているとしよう。3年目以後の支払い時には倍のローン利率にはね上がり、住宅保有者の所得では返済を賄えなくなり、その不足分は支払い利率が上がる前にローンを借り換えることで調達しなければならない。そのためには(つまり、うまく転がしていくためには)担保価値である住宅価格の絶えざる上昇が必要となるだろう。米国では今世紀に入ってからこの仕掛けで住宅取得が刺激され、そのローンを民間ローン会社から買った金融機関が多様な債権に組み込んだ仕組商品とすることで米国内外の絶えざるマネーが投入されていった。
 そういうことがあって、2006年秋を境に住宅価格が下落に転じます。それからは返済の焦げ付きが増すとともに、同証券の格下げが相次ぎました。銀行の不良債権が増えることで彼らは新たな融資を貸し渋るようになり、その分人々の投資が冷え込んできたのです。
 それでは、この頃までに住宅ローンはどれくらいの規模となっていたのだろうか。倉橋透・小林正宏「サブプライム問題の正しい考え方」中公新書、2008にFRBの資料として、2007年末の住宅ローン残高とその証券化比率が載せられている。それによると、「住宅ローン残高 105,088(億ドル、以下同じ)、エージェンシー証券化43,025、40.9%、民間証券化21,166、20.1%、証券化合計64,191、61.1%」だという。
 このままでは流動性危機になると見たFRB(米国連邦準備制度理事会)は、2007年8月から2008年3月までの間に5度にわたり政策金利を下げる(FF(フェデラルファンド)レートで年5・25%から2・25%へ)等して、市場に資金を提供する手立てをとった。しかし、2008年3月には証券金融大手からも経営破綻が出るに及んで、FRBは史上初めての「直接金融」(グリーンスパン前議長)に乗り出す。その中で特に問題となったのは、野放図なリスク管理とは表面上異なる金融工学を駆使した商品である住宅担保証券の複雑さであった。

(続く)

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