ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

人気ミステリー作家の近藤史恵さんの単行本「マカロンはマカロン」を読み終えました

2017年02月28日 | 
 人気ミステリー作家の近藤史恵さんの最新作の単行本「マカロンはマカロン」を読み終えました。

 この単行本「マカロンはマカロン」は、2016年12月16日に東京創元社から発行されました。フランス料理を題材にした短編ミステリー集です。価格は、本体価格が1500円です。これに消費税がかかります。



 実は、だいぶ前に読み終えて、その後も好きな部分を何回か読んでいました。

 まず、この単行本はお腹が空いている時には、読んではいけないという鉄則があります。主にフランス各地の郷土料理を主体にしたフランス料理を題材にしています。日本料理で例えていえば、金沢市の治部煮、福岡市のもつ鍋などのように、外国人からみた代表的な日本料理ではなく、フランス各地の素材を生かした郷土料理などに焦点を当てています。

 この単行本には、8つの短編が収められてています。2010年から2016年にかけて書かれた短編を集めたものです。

 以下は、ネタばらしです。

 一番最初の短編「コウノトリがはこぶもの」は、最初の印象は、地方のフランス料理をネタに無理してミステリーに仕上げていると感じました。

 しかし、何回か再読する内に、バターや生クリームなどを使う昔ながらのフランス料理を得意とする日本人の料理人の父が、不運なことに乳製品アレルギーの娘向けに適したフランス料理を出そうとして、その料理に使う“コウノトリ”を模した陶器の容器を用意しながら、病気で急死してしまいます。

 その残された“コウノトリ”を模した陶器の容器の話を聞いたビストロ「パ・マル」のシェフは、料理人の父親が、乳製品アレルギーの娘につくりたかったアルザス地方の料理を再現し、娘への父親の気持ちを伝えるシーンには感動します。

 フランス料理を基にしたミステリーなので、ある特徴あるフランス料理を基に、ミステリーに仕上げていることが感じられますが、そうした逆算を考えても、いい人情話に仕上がっています。

 短編「共犯のピエ・ド・コション」のネタ話は、ケンタッキー・フライドチキンを食べると、ニワトリの骨が集まるという伝説を下地にしたものです。あの噂を、こうしたミステリー話に仕上げるのだと感心しました。

 この短編は、離婚して男子の子供がいる母親が、再婚相手の男性と、子供を引き合わせる舞台として、ご贔屓にしてるビストロ「パ・マル」で食事をします。

 この時に、高校で生物を教えている再婚相手の男性は、その子供の関心を引こうと、あること(トリビア)を教えます。その結果、この男性と子供は仲良しになるという話です。

 この単行本のタイトルになっている「マカロンはマカロン」は、今風の中身です。昔、フランス料理の料理人になろうとした女性は、実際には力仕事の多い厨房での仕事に悩みました。また、事実上は男性社会の調理場で、いろいろと悩みました。

 料理人として成功した、この女性は今は料理店のオーナーとして、女性の料理人が気持ちよく働けるレストランを開店し、男性だけではなく、女性料理人やホールなどを雇って、繁盛させます。

 そして3号店として開店したフランス料理店では、すべて女性の料理人、ホールなどで運営するお店としました。この3号店のフランス料理店では、パティシエとして独特のマカロンをつくる才能を持つ従業員を新規に雇用します。

 この独特のマカロンは、フランスの地方ごとに特色あるマカロンがあることを教えてくれます。日本のかしわ餅や桜餅なども、地方ごとにいくらか違いがあるのと同じです。

 ネタばらしは、今回、多彩なマカロンをつくる女性パティシエは、実はLGBTの男性でした。見かけは女性なのですが・・。この辺りの感覚が、最近の流れをつかんでいると感じました。

 どの短編も、読むと美味しいフランス料理が食べたくなる“副作用”があります。ご注意を・・