製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 19世紀後半~末
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地・緯絣
クメールの国家・仏法を守護する蛇龍神(ナーガ)と生命樹の間に浮かぶ舟文様の絹絣。一見して宮廷・寺院の特別な儀礼用布としての荘厳美をただよわせる19cの作例です。
”舟”は先祖の霊を奉り、国の繁栄・平安を祈るための灯篭流しの”霊舟”をあらわすとともに、港市国家”扶南””チャンパ”にはじまる海上交易国家としての富の象徴文とも考えられております。
このデザイン様式のピダンはチャム人の手によるものとも推察されており、マレーとクメールを繋ぐ”舟文様”としても歴史の浪漫が薫ってまいります。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献