暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その2

2017年01月18日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)
                                           
(つづき)
詰のお役を承ったのですが、足指の骨折が快癒していないので、懐石では座卓と椅子を拝借しました。
そのおかげで初座が終わっても膝の痛みも足の痺れもなく、お借りして正解!と思っていると、
次客Nさんが立ち上がるのも大変そうでした。
痺れだけでなく両足がつってしまったようです。

詰のお役はほとんどFさんに助けて頂きましたが、やっと詰のお役が果たせそうです。
Nさんの足裏を踏んだり、足首やふくらはぎを揉んでさしあげたり、一生懸命介抱(?)しました。
少しずつ良くなってきて、
「両足がつるなんて、こんなの初めてです! おかげさまで立って歩けるようになりました」 (ほっ!ヨカッタ・・・)

                     
                     藁囲いの寒牡丹 (季節の花300)

初釜からだいぶ日が過ぎたけれど、Nさんのことが今も鮮明に思い出されます。
Nさんこと西中千人(にしなかゆきと)氏は世界を舞台に活躍されているガラス作家さんです。
珠己さんからの紹介文に
「斬新なデザインと色使い、作品はそのままご本人の魅力が炸裂。
創りだされるガラスの庭には、驚きの蹲も!」とあり、どんな庭と蹲かしら?と興味津々です。

喚鐘が七点打たれ、後座の席入です。
富士山と千本松原が描かれた風炉先、長板に清々しい鍋島青磁の皆具が置かれ、その前に茶入がありました。
3枚の古裂を縫い合わせた仕覆が脱がされ、茶入が現れた途端、あっと声が出そうになりました。
「硝子みたいだけれど、なんて存在感のある斬新な茶入なんだろう!」

それはガラス作家・西中千人氏の作品でした。
肩衝のような、胴締めのような形状の硝子茶入に、赤、黒、白、緑のガラス片が貼り付けられています。
(これは西中氏が現在追及している呼継(よびつぎ)という技法らしい・・・呼継とは異なる色のガラスをあえて壊し,その片を溶かして継ぎあわせる手法)
蓋はガラスではなく錫製とか、こんなユニークな茶入を茶事で使ってみたい・・・と憧れます。
ガラスの庭や蹲のお話も飛び交い、西中さんの作品へのこだわりやスケールの大きな創作姿勢が垣間見られるひと時でした。

                      
                        呼継の茶入 (西中千人作品集より)

いよいよ長野新氏の濃茶、前回のような沈黙の時間を期待していたのですが、さらさらと進み、濃茶が練られます。
しっかり練られていて、まろやかで美味しい濃茶でした。
釜を造る本業の傍ら、表千家茶道の稽古を積んでいらして、袴姿も美しく所作も見事でした。
・・・でも、懐石でかなりお酒が進んでいたので、同門社中の護国寺茶道部の皆様はきっと我がことのように息を詰めてお点前を見守っていたことでしょう。

続いて薄茶になり、珠己夫人の点前、新氏の半東です。
現代作家さんの茶碗の中からお気に入りの田中隆史氏の茶碗(粉引)を選んで2服頂きました。
最後に茶杓のことを書いておきます。
飴色の竹の茶杓、とても華奢な作りでどなたの作かしら?と気になっていました。
父上・長野垤志氏の作で、銘「つれづれ」(たしか・・・?)でした。

先輩、友人、父母に見守られて幸せいっぱいの初釜でスタートした長野新氏&珠己さん夫妻、
お二人の今年のご活躍を祈りながら、松風居を後にしました。


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