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【cinema】『メアリーの総て』

2018-12-31 02:24:09 | cinema☆

2018.12.21 『メアリーの総て』鑑賞@シネスイッチ銀座

 

これ試写会あったかな? 応募した覚えがない。ずいぶん前から見たいと思っていたので、公開翌週に女性は945円で見れる金曜日に見に行ってきた~

 

ネタバレありです!  結末にも触れています!

 

「19世紀ロンドン。書店を営むアナーキストの父の指導を受けながら作家を夢見るメアリー。夢見がちな彼女を継母は理解出来ず折り合いが悪い。父のすすめでスコットランドの親戚の元に身を寄せる。そこで詩人のパーシー・シェリーと出会い恋に落ちるが、彼には妻子がいた。父の反対を押し切り駆け落ちした2人だったが・・・」という感じで、これは「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」(Wikipedia)を執筆したメアリー・シェリー(Wikipedia)の話。ちょこちょこ設定を変えている部分があるようだけれど、ドキュメンタリーではなく映画として考えればOKかと。これは結構好きだった。

 

ハイファ・アル=マンスール監督作品。サウジアラビア出身の女性監督。監督の作品は『少女は自転車に乗って』を見ていて、好きな作品だった。作品について毎度のWikipediaから引用しておく。『メアリーの総て』(メアリーのすべて、原題:Mary Shelley)は、2017年に公開されたアイルランド・ルクセンブルク・アメリカ合衆国の恋愛映画。ハイファ・アル=マンスールが監督を務め、エル・ファニング、メイジー・ウィリアムズ、ダグラス・ブース、ベル・パウリー、ベン・ハーディが出演している。2017年9月9日にトロント国際映画祭でワールド・プレミアが開催され、2018年5月25日にアメリカ、7月6日にイギリスで公開された。日本では同年12月に公開される。

 

当初、映画のタイトルは「A Storm In the Stars」だったが、2017年1月に「Mary Shelley」に変更された。ストーリーはオーストラリアのシナリオライターであるエマ・ジェンセンの脚本を基にしている。ジェンセンはスクリーンNSWとスクリーン・オーストラリアから援助を得て脚本を書き上げ、アメリカのユナイテッド・タレント・エージェンシーがプロデューサーのエイミー・ベアーに売却した。2014年2月28日にハイファ・アル=マンスールが監督に起用された。

 

2014年7月30日にエル・ファニングがメアリー・シェリー役に起用された。2015年3月20日にベル・パウリーがクレア・クレアモントに起用された。5月8日にはダグラス・ブースがパーシー・ビッシュ・シェリーに起用され、ハンウェイ・フィルムズ(英語版)が製作及び映画の国際販売のために参加することが発表された。2016年2月19日にベン・ハーディの起用と、パラレル・フィルムズのアラン・モロニーとルース・コーディがプロデューサーとして参加することが発表された。3月2日にトム・スターリッジ、メイジー・ウィリアムズ、スティーヴン・ディレイン、ジョアンヌ・フロガットの起用が発表された。2016年2月20日からダブリンで主要撮影が始まり、3月7日からはルクセンブルクで撮影が行われた。

 

2017年9月9日にトロント国際映画祭でワールド・プレミアが開催された。IFCフィルムズとカーゾン・アーティフィシャル・アイがそれぞれアメリカ、イギリスの配給権を取得した。2018年4月28日にトライベッカ映画祭でアメリカ・プレミア上映が行われた。

 

Rotten Tomatoesでは112件のレビューが寄せられ支持率40%、平均評価5.4/10となっており、Metacriticでは26件のレビューが寄せられ49/100のスコアとなっている。

 

とのことで、あんまり評判がいいとはいえないのかな? 個人的には結構好きだったのだけど、それはやっぱり100分de名著で「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」(記事はコチラと、コチラと、コチラと、コチラ)を見て、内容だけでなく解釈も知っていたこともあるのかも。そして、ベネディクト・カンバーバッチ主演の舞台版(感想はコチラ)を映画館で見たこともメアリー・シェリーに興味を持った理由。この舞台ダニー・ボイルの演出で、とっても見やすくて分かりやすかった。そして何よりベネディクト・カンバーバッチとダブル主演のジョニー・リー・ミラーの演技が素晴らしく、怪物の思いが伝わってきた。原作読んでみたいと思いつつ、結局未だに読めていないのだけど、まぁストーリーは知っているのでOKかと。前置きが長いけど、とにかくこんな作品を18歳で生み出したというメアリー・シェリーに興味があったわけです。

 

冒頭は墓地。本を読んでたんだっけ? 物語を考えてたんだっけ? とにかく墓地で物語の世界に没頭しているメアリー(エル・ファニング)。メアリーが物語を書くことは知っているわけだから、当然小さい頃から本が好きだっただろうと予測はしているので、この導入部は彼女の本好きアピールとしてすんなり入ってくる。映像が幻想的で美しい。

 

家に戻ると早速継母(ジョアンヌ・フロガット)に嫌味を言われる。家の手伝いを何もしなかったのだから仕方がないけど、メアリーが後にシェリーと駆け落ちした理由の一つにこの継母との不仲があるので、この辺りは興味深い。

 

後にメアリーのセリフで明らかになることだけれど、先に書いてしまう。メアリーの母親メアリー・ウルストンクラフト(Wikipeida)はフェミニストの先駆者と呼ばれた女性だったけれど、メアリー出産時に死去。父親で著名なアナーキストであるウィリアム・ゴドウィン(Wikipeida)(スティーヴン・ディレイン)は、継母メアリー・ジェイン・クレアモントと再婚した。2人の間には妹のクレア(ベル・パウリー)と弟が生まれている。2人ともメアリーになついていて、妹は後にいろいろ問題を起こす。この妹の行状については創作の部分もあるのかな?

 

メアリーは夜中眠れない時には父の蔵書をこっそり読むような読書家で、自身も父の指導のもと物語を書いたりもしているようだけれど、この辺り実際のメアリーもそうだったのかは不明。やはり母親の影響もあるのか同じ父親の血を引いていても、妹と弟には読書好きの傾向はないらしい? ただ、後のことを考えると映画では描かれていなかったけれど、妹も文学的素養があったのかもしれない。

 

いよいよ継母との折り合いが悪くなったことを苦慮し、父親はメアリーをスコットランドの親戚?の家に滞在するよう手配する。お金持ちらしくお屋敷に住んでいて、同じ年ごろのイザベル・バクスター(メイジー・ウィリアムズ)もいる。このイザベルも母親を亡くしているせいか、意気投合し仲良く過ごす。この頃イギリスで流行っていたのか、イザベルは母親の霊と会話するため降霊術をするなどと言ったりする。こういう背景がオカルト的なものを生み出す土壌になっているのかもしれない。

 

さて、このスコットランド滞在中にメアリーは運命の出会いをする。屋敷の主が催したパーティにパーシー・シェリー(ダグラス・ブース)が招かれたのだった。一目でお互い感じ合うものがあり、シェリーの詩の朗読を聞きさらに心惹かれるメアリー。2人は直ぐに恋に落ちる。後に発覚してメアリーは大変ショックを受けることになるのだけど、この時シェリーが既に結婚していたことは知識として知っていたので、てっきりメアリーも知っているのかと思ってた。でも、シェリーも21歳と若く、メアリーが誤解してもしかたないかも? とはいえ周りには知っている人もいたと思うけれど、当時の倫理観みたいなものがどうだったのかは分からない。

 

2人の仲は公然となりつつあったけれど、そんな中ロンドンから手紙が届く。内容はハッキリと言われないけれど、どうやら妹の病状が重いので早く帰れというものらしい。急いで帰ることにするけれど、イザベルにシェリーへの伝言を残すことも忘れない。ところが、帰ってみるとメアリー不在で退屈していた妹の仮病であった。楽しい時間を奪われてしまったわけだけれど、メアリーは笑って許す。実際はどうだったのか不明だけど、この映画ではメアリーはこの妹に大変悩まされることになるのだけど、常に彼女を突き放すことなく赦していたのは意外だった。まぁでも姉妹ってそういうものか。でも自分だったらちょっと許せないかな~😕

 

しかし、今度はシェリーがメアリーを訪ねて来る。とはいえ、名目上は尊敬する父親のゴドウィンを訪ねてということらしい。これは2人が出会った時にも言っていたことなので、ゴドウィンを崇拝しているというのは嘘ではないのだと思う。ゴドウィンに教えを乞いたいと言い、指導料を支払うと申し出ている。ゴドウィンとしては詩人としてのシェリーの才能は買っていたものの、その行状についてはよく思っていなかったっぽい? メアリーとの仲を心配していた様子。

 

そんな時、メアリーをハリエットという女性が娘を連れて訪ねて来る。彼女はシェリーの妻で連れているのは彼の娘だと言う。当然ながらハリエットはシェリーと別れて欲しいと言い、彼がしょっちゅう女性問題を引き起こしているとも言う。これが実際にあったことなのかは不明。もしあったとして、後半の言葉がメアリーの胸にどの程度響いたのかも分からない。

 

メアリーは当然ながら激怒。シェリーに詰め寄る。この時、父親も同席していたよね? たしかもう教えることはできない的なことを言っていたような気がする。シェリーの弁明としては若気の至りであり、愛しているのはメアリーだけだといういうこと。浮気男の言い訳はいつの時代も同じなのね。とはいえ、結婚したのが5年前ということは16歳だったのか! いくら19世紀のこととはいえ、やっぱり父親になるには早い。シェリーは後に父親に勘当されてしまうのだけど、どうやら実家は裕福な貴族らしいので、甘やかされて育った傲慢な若者なのでしょう。嫌な人物というわけではないのだけど、総てにおいて考えが甘いのは否めない。ただまぁ16歳だからねぇ。とはいえ、これらもあくまで映画上でのことであり、実際のシェリーがこんな人物だったのかは不明。Wikipeidaによると当時としては破天荒な思想の持ち主ではあったようだけれど、今作でメアリーの継母に色情狂と言われるほど女性関係にだらしなかったわけではないような? 別にかばう気はないけれど😒

 

2人は未婚のまま家族として暮らすと宣言し、父ゴドウィンを激怒させる。結果、2人は駆け落ちすることにするが、妹のクレアも一緒に連れて行ってほしいとついて来る。これは実際についてきたそうだけれど一体なぜ? 姉の駆け落ちに着いて行くっていうのはどういう心理なんだろう? メアリーは置いて行けないと言うけれど、継母はクレアの実母なわけだし、決して裕福なわけではないけど、貧困というわけでもないのに何故? その辺りちょっと知りたいところでもあった。イヤ、この妹が良くも悪くもカギを握る人物なので。

 

実際は大陸へ駆け落ちした後、イギリスへ戻って来たようだけれど、映画では大陸へは行っていない。Wikipediaでは"大陸"としか書いていないので、どこの大陸なのか不明なのだけど、「フランケンシュタイン」でも怪物がアフリカに行くと言っているので、アフリカ大陸なのかな? アメリカに渡ったなら戻って来なさそうだし。リビングと寝室、そして次の間がある部屋はシェリー自身の持ち物なのかな?次の間を妹のクレアが使い、シェリーとメアリーは寝室を使う。決して広いとはいえないけれど、日本人の感覚からしたら1人暮らしならば十分広い。この駆け落ち騒動により父親から勘当されて、仕送りを打ち切られたと言っていたので、それまでは資金援助があったらしい。当時の21歳が社会的にどんな位置づけなのか不明だけど、学生でもないのに援助があったのは、実家が裕福なだけでなく、詩人という職業の不安定さもあるのかな。

 

実際のメアリーも継母との折り合いが悪かったことも駆け落ちの理由の一つであったようだけれど、映画では本当にゴドウィン家内に居場所がなかった。メアリーの奔放さや感受性の豊かさが、狭い家の中に押し込められ、"女性らしさ"を押しつけてくる継母との関係は決して分かり合えない気もする。とはいえ、当時の価値観からしたら継母が間違っているというわけでもない。ただ、見ている側としても、これはもう家を出るしかないじゃないかという閉塞感を感じていたので、製作側の意図としてはそういう演出なのだと思う。

 

家とか女性とかいう概念から解放された喜びからか、クレアとともにお酒を飲み怠惰な生活をするメアリー。そんな様子にシェリーは苦言を呈し、父親からの支援が打ち切られたことを告げる。詩作の前金も世間の評判をおもんぱかってか貰えない。このような状況に陥ったことで、メアリーは生活を改めるが、妹のクレアは相変わらず怠惰に過ごす。この時代女性が職業を持つことは難しかったとはいえ、居候しているだけでも見ていてイライラするのに、どうやらこの妹はシェリーと男女の仲になっている様子。シェリーはクレアを連れて外出したりするようになる。この妹役のベル・パウリーは『ロイヤル・ナイト 英国女王の秘密の外出』でも奔放で羽目を外しまくるアン王女を演じていて、ハラハラさせたけど本当に上手い。

 

市場に買い物に出かけたメアリーは、貴重な初版本を売ろうとしている父親に会う。父親はメアリーの粗末な身なりを見て、お前の選んだ道なのだから精一杯生きろというようなことを言い、初版本は売らずに去って行く。メアリーに気づく前は、お金になるなら何でも売る的なことを言っていたので、シェリーからの収入がなくなり困窮しているということなのでしょう。

 

ある日、シェリーが急に引っ越しをすると言う。なかなか広い家で調度品も豪華。メイドまでいる。どこにそんなお金が?と思うけれど、後に父親の土地を担保にお金を借りたことが判明する。実際もそうだったのかは不明だけど典型的なダメ男。そんなことは知らないメアリーたち。それでもメアリーは節度ある生活をしようとするけれど、妹は享楽にふける。相変わらずシェリーとも関係を続けているようだけれど、後に3人で出かけた劇場でジョージ・ゴードン・バイロン(トム・スターリッジ)と出会い、取り入ろうと考える。クレアがバイロン卿の子供を産んだことは事実らしいけれど、こんなにいろいろな面でだらしのない人だったのかしら? とにかく品がない。

 

メアリーたちは引っ越し祝いにとパーティを開くけれど、シェリーの友人男性1人しか来ない。この人物が誰なのか失念してしまったけれど、メアリーに興味津々の様子。後日、シェリーがクレアと出かけている隙に家にやって来て、どうやらメアリーに迫ったらしい。そのことをシェリーに訴えると、駆け落ちする前に自由恋愛だと話し合ったのだから、自分が誰と恋愛しようとOKだし、メアリーが誰と恋愛しても構わないと言う。当然、メアリーは反発し、自分にはシェリーしかいないと言うけれど、シェリーはそれは意に反するという態度。うーん。それは自由恋愛なのではなくて、自分勝手であり、見境がないというのでは?

 

とはいえ、メアリーは身ごもり女児を出産する。この子の名前は何だったかな? クレアだった気がしたけど違ったかな? シェリーも女児誕生を喜ぶが、育児疲れのメアリーをいたわるそぶりでクレアの部屋に行ってしまう。最低の男だし、最低の女だな。実際のメアリーたちの暮らしがどんなだったのかは不明だけど、こんな生活は地獄だわと思っているとさらに辛い出来事が。

 

借金取りに追われて夜逃げする羽目になり、冷たい雨の中熱のある赤ん坊を連れて逃げなければならない。行先は元住んでいた家。なんとか逃げて来るけれど、赤ん坊は亡くなってしまう。実際、メアリーは最初の子を生後11日で亡くしているようだけれど、こんな風に亡くなってしまったのかは不明。この日からメアリーはベッドから起き上がることもままならなくなってしまう。シェリーがいくら慰めても埋まることのない空洞が出来てしまったかのようだった。実際がどんな感じだったのかは不明だし、当時は今より乳児が亡くなる率は高かったでしょうし、さらに当時の死生観も今とは違うと思う。でもやっぱり母親が子供を亡くすというのは本当に辛いことだと思う。

 

メアリーが少しずつ回復してきた頃、妹のクレアがスイスのバイロン卿の屋敷に行こうと誘う。クレアは自分は妊娠していると告げる。メアリーは誰の子なのかと蔑むけれど、クレアは自信満々に当然バイロン卿の子だと言う。本当かしら? 実際のクレアがシェリーとも関係を持っていたのかは不明なので、バイロン卿の子供で間違いないのでしょう。

 

バイロン卿は急に押しかけてきて迷惑というようなことを遠回しだけどあからさまに言うけれど、とにかく受け入れてはくれる。そこには医師のジョン・ウィリアム・ポリドリ(ベン・ハーディ)もいた。5人は享楽的な日々を過ごすが、その中でもメアリーとポリドリは他の3人とは距離を保っていた。2人はまともな感じ。

 

この享楽的な感じは意外に長い尺で映される。バイロン卿の屋敷で皆で怪奇譚を書こうということになり、それがきっかけで「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」が生まれたということは知っていたので、他にも滞在者がいたのだろうと思っていたし、こんなにダラダラと享楽的に過ごしていたとは思わなかった。

 

ある日、シェリーに手紙が届く。シェリーはショックを受けて部屋に引きこもってしまう。そんな中、何きっかけだか忘れてしまったけれど、クレアがバイロン卿に対して自分を恋人だと言うと、バイロン卿は冷たくクレアは恋人などではなく遊びだと言い捨てる。ほらね。そんな品のない行動を取っていたら、こんな人には見下されるに決まっているとか思っていると、クレアは伝家の宝刀であるバイロン卿の子供を身ごもっていると言う。すると、子供の養育費は払うけれど妻にするつもりはないと切り捨てる。ショックを受けたクレアはその夜シェリーの部屋に忍んでいく。まったくこの女😠

 

前夜、クレアとシェリーが共に過ごしたであろうことも察知しているメアリー。そんな彼女にシェリーは妻のハリエットが入水自殺したという連絡があったと告げる。実際にハリエットは水死していて、自殺だと考えられているのだそう。そもそもシェリーとは不仲であったそうだし、死亡時には別の男性の子供を宿していたとのことなので、映画から受けるメアリーのせい的な印象とは違うのかもしれない。

 

これを聞いてメアリーはここを引き上げる潮時だと宣言。3人は家に帰る。そしてメアリーは小説を書き始める。それは猛烈な勢いだった。実際のメアリーはバイロン卿の屋敷で執筆しており、さらにシェリーの助言を受けつつ書いたということだし、さらにこの時男児を妊娠していた。「100分de名著」では、この妊娠が大きな影響を与えたのではないかと言っていた気がする。つまり「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」は創造主と被創造者(っていうのかな?)の話であり、それは新たな命を生み出す性としての自分に対する畏れがあったのではないかということだった。そしてそれは自分にとってとっても腑に落ちるものだった。なので、メアリー自身が創造主なのだと思っていた。でも、今作のこれまでの過程と、そしてこの作品の産みの苦しみを見ていると、なるほどメアリーは怪物なのだと思った。

 

この時代の女性たちは人権がないに等しかった。女性に生まれたくて生まれてきたわけではないのに、女性だからという理由で虐げられる自分。それを愛されたいのに愛されない怪物に重ねていたのかなと。「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」は、初のSF小説とも言われているそうだけれど、実は愛についての話であるということ。そのことを考えたら自然に泣いていた😢

 

小説は完成し、読み終えたシェリーは感動。自分が出版社に持ち込むと言う。しかし、メアリーは毅然とした態度で、これは自分の小説だから自分が持ち込むと言う。実際はどうだったのか不明だし、この時シェリーが手柄を横取りしようとしていたのかは分からないけど、彼が自分が持ち込むと言ったのは、女性が持ち込んでも受け付けてもらえない現実を知っていたからかもしれない。事実、作品に興味を持ってもらえても、女性だからと言う理由で出版は断られ続ける。やっと出版にこぎつけるも、名前は伏せシェリーの献辞?をつけることが条件だった。

 

シェリーは喜んで書くと言うけれど、それはメアリーが受けた屈辱を全く理解していないということだった。メアリーは絶望しシェリーに対して怒りをぶちまける。それからシェリーは帰ってこなくなった。妹のクレアは家に帰った。1人になったメアリーをポリドリが訪ねて来る。バイロン卿の提案がきっかけで、ポリドリは吸血鬼を題材に小説を書いた。これを出版社に持ち込んだところ、バイロン卿の作品として出版されてしまったと話す。もちろんバイロン卿は自分の作品ではないと否定したけれど訂正されることはなかったのだそう。酷い。今でもこういうことはあるのかもしれないけれど、この当時は著作権などもなかっただろうから、平気でこんなことがまかり通っていたのでしょう。

 

そんな中、父親のゴドウィンから「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」の出版を祝う会への招待状が届く。場所は実家の書店。裏口からこっそり覗くと、男性客が集まっており、シェリーが姿を現す。著者はシェリーだと思っている人々は拍手喝采で迎える中、シェリーはスピーチを始める。この本を書いたのは自分だと思っている人がいるけれど、それは真実ではない。自分はこの本を改めて読んで、作者に対して自分がしてきたことに思い至ったと語る。それを裏口から見ていたメアリーは涙を流す。そして見ている側も涙を流していた。

 

芸術が生み出すためには作者はこんなにもがき苦しむのかと思ったら泣いていた。実際のメアリーがこんなに苦しんで書いたのかは不明だし、物語や芸術品のイメージが自然に頭にわいてくるような天才もいるでしょうけれど、悩んだり辛い思いをした末に芸術が生み出されるという話に弱い。

 

映画はこのシーンで終わり、エンドロールでメアリーとシェリーが結婚したこと、29歳でシェリーが事故死するまで一緒に暮らしたこと、バイロン卿はクレアの娘に養育費を支払ったこと、ポリドリは結局「吸血鬼」が彼の作品とは認められず自殺してしまったこと、この「吸血鬼」を元にブラム・ストーカーが「ドラキュラ」を書いたこと、メアリーはその後男の子を出産したこと、53歳で亡くなったことが表示される。シェリーはボートが沈没して亡くなったそうだけれど、数年しか一緒にいられなかったのね。

 

キャストはみな良かったと思う。クレア役のベル・パウリーはたまたま見た2作が、享楽的なことに弱くだらしのない役だったこともあり、そんな人にしか見えなくなってしまった。それだけ上手いということ。バイロン卿のトム・スターリッジも身分の高い金持ちにありがちな身勝手さを、気持ちの悪い感じに演じていてよかった。ホメてます。父親ゴドウィンのスティーヴン・ディレインも良かった。ポリドリのベン・ハーディは『ボヘミアン・ラプソディー』(感想はコチラ)のロジャー・テイラー役の人だったのね? 髪型や衣装もあるけど全然別人でビックリ😲

 

シェリーのダグラス・ブースも良かったと思う。実際はどうだったかは別として、今作のシェリーはダメ男。彼の言動にメアリーと共に絶望的な気持ちになるのに、魅力的であるのは分かる気がすると思わせたのはダグラス・ブースのおおかげ。とはいえ、コスチューム・プレイ好きなのだけど、コスチューム・プレイの"美男子"の好みが合わない😣

 

そして、メアリーのエル・ファニングが良かった。今作で描かれているメアリーとほぼ同じ年頃なこともあり、とってもリアルだったと思う。メアリーは確かに軽率な行動をとったかもしれないし、それが彼女を苦しめたかもしれないけれど、それゆえにあの傑作を生みだしたのだとしたら、結果オーライとは思わないけれど、そういう形で花開かせたのはメアリーの知性や強さ。その辺りの成長を見事に演じていたと思う。

 

セットや衣装など映像が美しかった。特に、メアリーの隠れ家的な墓地が幻想的で美しい。実際のメアリー・シェリーや、作品が生まれた背景など実際と違っている部分もあるかもしれないけれど、今作として描きたかったのは"女性"であることの辛さや難しさ、そしてその魂の叫びなのかなと思うので、その辺りは伝わって来た。それを描く手段として自らの中に溜まった澱を"怪物"とするというアイデアはとてもよいと思う。芸術が生み出される瞬間に立ち会えるのもうれしい😃

 

女性はきっと好きなんじゃないかな。息苦しさを感じている女性にオススメ。エル・ファニング好きな方是非!

 

『メアリーの総て』公式サイト

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