まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ファミリー・ダンシング』味付けが濃すぎない?

2011-07-03 19:16:21 | アメリカの作家
FAMILY DANCING 
1983年 デイヴィッド・レーヴィット

ふんだんに調味料を使ってこってりの味付けにした料理みたい…
胃もたれがしてます。

発売された当時は絶賛されているし、O.ヘンリー賞もとっているだけあって
文章は悪くないんだし、静かなタッチの筆運びも好きです。

どちらかと言えば、家庭内の小さな事件や他人にわかりづらい不幸を描いた話しは
キライじゃない、むしろ大好物なんですが…
この本はちょっと盛り込み過ぎなのよぅ。

9篇入った短篇集で、けっして長くはないひとつひとつの話し、つまり一家族の物語に
こんなにもイヤ~な思いがたくさんつまっていていいのだろうか?

イライラする会話、夫の身勝手な言い分、わかったようなことを言う子供…
あー! キーッとしてきちゃう。

完全に崩壊した家庭の惨状をバイオレンスフルに書いてくれたほうが
気分的にはスッキリするんじゃないかな? 私は読まないと思うけど…

比較的好きだったお話しを…

『失われた別荘』
マークの両親リディアとアレックスは、アレックスの浮気が原因で離婚しました。
しかし、今年も毎年恒例の別荘での休暇に、家族全員が集まるように言われました。
滞在中、アレックスはことさら明るく振る舞い、リディアは張りつめています。
マークの兄ダグラス、姉エレンは二人の扱いに手を焼きます。

『犠牲者』
ダニーと母親のエレインが伯父ニックの家に来てから2ヶ月になります。
エレインは父アレンが家を出たあと、心ここにあらずの毎日を送っています。
ダニーはこの家に来てから、わがままを通すためにヒステリーを起こすようになりました。
ニックとキャロルの夫妻はこっそりアレンを呼んでエレインと話し合わせようとしました。

『巣立ち』
グレッチェン、カローラ、ジルの三姉妹は、父親の遺品の整理のために集まりました。
その家は父の再婚相手の家で、三人にはなんの思い入れもありません。
グレッチェンの夫レナードは三姉妹があまりによそよそしいと思います。
他の姉妹に一番怒りを感じているのはカローラのようです。

さら~と書いてしまいました。
上二篇は浮気と離婚がメイン、最後の一篇は姉妹の確執がメインなんですけど…

テーマそのものが不幸である、と言っているわけではなくて
書いているうちに不幸が上積みされちゃってるような状態になってるんです。
主人公は圧し潰されちゃう。

例えば離婚なんて、見方によっちゃハッピーにとらえることだってできるんだけど
登場人物はどよーんと沈んじゃってまわりを巻き込んでます。

さらに、不治の病、精神の病、反抗する子供たち、などが随所に盛り込まれて
読んでるだけで気が滅入ってきます。

で、最大のポイントが、同性愛についてなのね。
作者はゲイで、もちろん経験を盛り込んでいるんだと思います。

しかし、一話目の『テリトリー』は同性愛がテーマだからいいとして
ほぼ全ての話で、気の重い家族にさらにワンポイント…ってな感じで
あんまり本筋と関係ないエピソードが入れられてます。
最後の方は「またそれ?」と飽きてしまいました。

自分の人生や嗜好を作品に反映するのはぜんぜんかまわないんだけど
あんまりそればかり書かれてもなぁ…
同性愛者の方々はこんな扱われ方で共感できるんだろうか?

当時のアメリカ文壇では若者の無気力さがクローズアップされていたようでして
そう言われれば、各物語の主人公たちの受け身でローテンションな有様は
時代にフィットしていたのかもしれません。
それが作者が絶賛を受けた要因のひとつとも考えられます。

生意気を言わせていただければ、テーマを1話につき1~2個ぐらいに絞ってくれれば
もう少し読みやすかったんですけどね。
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スウェーデン王マグヌス妃 リキサ

2011-07-02 09:36:16 | スウェーデン王妃
              北欧神話シリーズ、ヒューズ作ワルキューレ

政略結婚三昧の一生
マグヌス王妃 および スヴェルケル1世妃 リキサ・アヴ・ポーレン


1116年頃~1156年以降/在位 (マグヌス王妃)1129~1130
               (スヴェルケル1世妃)1148~1156

インゲ2世の後選出されて一瞬王についたラングヴァルドを殺して王になったマグヌスと
スヴェルケル1世の二人目の王妃になったのがリキサです。
スヴェルケル1世の最初の妃はウルヴヒルドです。

リキサはポーランド公ボレスワフ3世の娘で
口では言い表せないほど美しかったと言い伝えられています。
当時重要なポジションにあるポーランド、そして美女とくればひっぱりだこですね。
    
ボレスワフ3世はポンメルン公に対抗するためにデンマークと手を組むことにして
ニルス王の王太子マグヌスとリキサを結婚させました。
この時リキサは11歳ぐらいです。

母方の祖父がインゲ1世だったことからマグヌスはスウェーデン王位を主張し
1129年に即位しました。
しかしマグヌスを支持したのはヴェステルイェートランド地方のギーツだけで
他の部族はラングヴァルトを王に選出、マグヌスが支配できたのは一部だけでした。

ラングヴァルトは殺害されたのですが、すぐにスヴェルケルが登場し
マグヌスは廃位・追放されます。
リキサとマグヌスはデンマークへ帰りましたが、こここでも兄弟で権力を争い
結局マグヌスは1134年に戦いに敗れて亡くなりました。

二人の王子をデンマークに残してポーランドに帰ったリキサは2年後、20歳ぐらいで
リューリク家のミンスクの公子ヴォロダルと再婚しました。
これはデンマークとキエフのモノマフ家の連合に対抗するための政略結婚でした。

けれども9年後、モノマフ家が勢力を失い、ポーランドとミンスクの連合が消滅したので
リキサはまたまた二人の公子を残してポーランドに帰りました。

この時リキサがただ一人連れて帰った公女ソフィア
後にデンマーク王ヴァルデマー1世妃になります。

まだスヴェルケル1世に到達していないのに、すでに長い…はしょっていきますね。

ポーランドに帰って3年後、32歳ぐらいの時、スヴェルケル1世と再婚しました。

リキサにはデンマーク、ミンスクに残してきた息子たちがいましたが
スウェーデン王を義父に持つことでそれまでより有利な立場におかれることになります。
実はリキサの狙いはそれだったんじゃないか…と見る歴史家もいますけど
当時の結婚には100%近く損得が絡んでるんだから、別に悪いことじゃないよね。

最初の夫の息子クヌートは1156年に反乱をおこしてデンマーク王になり
スヴェルケルとウルヴヒルドの王女ヘレナ(エリン)と結婚しました。
ここまではいい調子です。
        
しかし、その年のクリスマスにスヴェルケル1世が暗殺され
翌年には息子クヌート5世が殺されます。
そればかりか修道士になっていた次男ニルスも亡くなってしまいました。

王であった夫、息子を亡くした後のリキサの日々ははっきりしません。
スヴェルケル暗殺の一味だった馬丁頭と再婚したという話しが伝わってますけど
どうなんだろう…すごい身分違いだけど。

スヴェルケル1世との間に生まれた王子ブリスレヴは、王位を争って敗れた後
(死んではいないけど)歴史上からは名前が消えてしまいました。
娘ソフィアが生んだ王女リキサは、後にスウェーデン王妃になります。
お楽しみに!

(参考文献 Wikipedia英語版)
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