まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『レイチェル』墓まで持っていく・・・

2009-04-21 01:35:33 | イギリス・アイルランドの作家
MY COUSIN RACHEL 
1951年 ダフネ・デュ・モーリア

デュ・モーリアですからミステリーといえばミステリーなんですが
『レイチェル』は(主人公フィリップに)つっこみどころ満載で苦笑の連続でした。

レイチェルが、狙った男を自由自在に操る妖婦なのか
言葉どおりに素直で愛情溢れる善意の人なのか、正直言って分かりません。
これは読む人の判断によると思います。
私はといえば・・・そこそこ年を重ねていますからねぇ
「この女、デキる!」と思っちゃいますかね、そばにいたら。

青年フィリップは、親がわりの年の離れた従兄アンブローズが療養先のイタリアで
急死したことからコーンウォールの領主になります。
フィリップはアンブローズの最後の手紙から、彼が死んだのは
イタリアで結婚したレイチェルのせいだと思って彼女を憎みます。

ある日、レイチェルがイギリスにやって来たという報せが届きました。
フィリップはしぶしぶ彼女の来訪を認め、冷淡にあしらってやろうと考えます。
けれども初めて見たレイチェルは想像していた女性とまったく違う印象でした。

ここからフィリップはあれよあれよという間にレイチェルに惹かれていくのですが
後見人のケンダルや幼なじみのルイーズならずとも
フィリップのあまりに見事な手玉に取られぶりに唖然としますよ。

たしかにレイチェルは誰に対しても優しく優雅で、会話にも思いやりがあって
気が利いていて、行動力はあるが控えめで…と申し分のない女性なのね。
でも言葉の端々に、何か目論見があるように聞こえてしまうの…

かたやフィリップはアンブローズ同様女嫌いで、女性と付き合ったこともなければ
屋敷の中に女の使用人もいないという環境で育ってきたのね…いいカモになるタイプ?
もう面白いようにレイチェルのほのめかしに反応しちゃうんですもの。
他人の忠告なんか聞くもんですか、突き進みますよぉ~。

アンブローズはある理由からレイチェルに一銭も遺していなかったのですが
早速「そんなに!?」という年金を渡すことにして、しまいにゃ全財産と領地、
家宝の宝石全てを譲ることにしてしまいます。
結婚するつもりだからなんだけど、出会ってから半年あまりですよ、のぼせすぎ…
けれどもその書類を手にした翌日からレイチェルの態度は急変して
「フィレンツェへ帰る」と言いだしました。

どう思いますぅ?
やっぱりレイチェルの愛想の良さは作戦でしょうか?
それともフィリップの突っ走りすぎですか?
確かに、あんまり入れ込まれてもありがた迷惑という場合はありますよね。

この後、フィリップはアンブローズと同じような症状に陥り
レイチェルの引き出しから意外なものが見つかって疑惑を抱くのですが
… 遅すぎるってば

アンブローズは殺されたのでしょうか? そしてフィリップも…?
レイチェルの正体はなんなんでしょうね?
かなり秘密めいたクライマックスです。

フィリップはレイチェルとのことを回想しながら「もう誰も愛さない」的な
考えを持ちますが、まだまだ若いのだから恋のチャンスが訪れればいいですね。
レイチェルとのことは「バカだったな、オレ」とおおいに反省すれば
それでいいんじゃないでしょうか。

レイチェル 東京創元社


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