まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『カリブ海の秘密』習性は変わらない?

2009-02-20 23:47:59 | アガサ・クリスティ
A CARIBBEAN MYSTERY 
1964年 アガサ・クリスティ

老人の武勇伝というのは、言っちゃ悪いけど退屈なものですね
特に若い頃海外で珍しい体験や、九死に一生といった経験をした方などの話しは…
もう何回も聞いたっつうの! ということも多いかと思います。

カリブ海に静養にやってきたミス・マープルも、元軍人のパルグレイヴ少佐の
とめどないおしゃべりを、編み物などしながらボンヤリ受け流していました。
しかし、さすが名探偵! ある一部分だけは聞き逃しません。
それが第一の事件を解く糸口になりました。

パルグレイヴ少佐は「殺人犯の写真を持っている」と言いました。
その殺人犯は妻になった女性を2人、同じような手口で殺したというのです。
少佐は写真を取り出そうとしましたが、急にその手を引っ込めてしまいました。
2人が座っていたのは、若いティム&モリーのケンドル夫妻が営むホテルの庭。
ちょうど宿泊客の何人かが集まって来たところでした。

植物学者のヒリンドン夫妻、そのパトロンのダイスン夫妻
大富豪で毎年静養に来ているラフィール老人は、ボディーガードのジャクスンと
有能な秘書のエスターも引き連れていました。
そして経営者のケンドル夫妻です。

翌朝少佐がベッドで死亡しているのが見つかります。
心臓発作ということになりましたが、ミス・マープルには納得できませんでした。
半信半疑で話しを聞いていた島の医師グレアムですが
ミス・マープルのひたむきさの中に感じるところがあって
少佐の司法解剖にふみきります。
少佐の死因は毒殺でした。

事件はこれで終わりではなく、少佐の部屋を片付けていた時
グレゴリー・ダイスンの薬瓶を見つけたメイドのヴィクトリアが浜辺で殺され
ダイスンの妻ラッキーが川底で首を切られて死んでいるのが見つかりました。
ラッキーはエドワード・ヒリンドンと不倫をしていて、彼を待っていたようです。

そのうえ、妄想や悪夢を見るようになって悩んでいたモリーも、睡眠薬を飲み過ぎて
死にそうになっているところをティムが見つけます。
なんとか命はとりとめたものの、果たして自殺しようとしたのでしょう?

ポイントは “ 手口 ” です。
以前も同じ手を使ったという犯人、果たしてどんな手口だったと思います?
ミス・マープルさえいなければ、きっと完全犯罪だったでしょう。
いえ、犯罪がおこったことにも気がつかなかったかもしれません。

ミス・マープルは事件を解決したことでエスターに恨まれることになりますが
きっといつか感謝する日が来るでしょう。

この物語で嬉しかったのは、ミス・マープルを見くびっていた人たちが
どんどん彼女を信頼していくこと。
グレアム医師もそうですが、なんといっても大富豪のラフィール老人。
彼は女をバカにしており、特におしゃべりな婆さんは我慢ならんという暴君で
最初はミス・マープルを見下していたのですが、事件について話すうちに
彼女に対する気持ちが変化していきます。
最後はミス・マープルの依頼に応じて犯人逮捕に一役買ってくれます。

何十年も凝り固まった考えを持ち続けて来た頑固者が、女性に尊敬の念を
抱くようになるって素敵じゃない?

リゾート地でミス・マープル大活躍!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フランス王ルイ10世妃 クレ... | トップ | フランス王フィリプ5世妃 ジ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アガサ・クリスティ」カテゴリの最新記事