まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『青い城』痛快! 生まれ変わった女の強さ

2009-09-18 01:04:29 | カナダの作家
THE BLUE CASTLE 
1926年 ルーシー・モード・モンゴメリ

あまりにも出来すぎた話とはいえ、少女マンガ気分で楽しめて
とっても面白かったですよ。

“ 青い城 ” というのは主人公のヴァランシーが思い浮かべるもうひとつの家。
そこではヴァランシーは美しいドレスを着て素敵なナイトに求婚されたりするのだが…

本当のヴァランシーはというと、威圧的な母や口うるさい従姉と息苦しい家で暮らし
専横で体裁ばかりのスターリング一族に取り囲まれて何一つ自由にできないうちに
29歳の誕生日を迎えてしまいました。
恋人いない、友達いない、好きな服も着れず勝手に出かけられず
許されているのはジョン・フォスターの本を読むことだけです。

ある日、胸の痛みに耐えかねてこっそり医者の診断を受けたヴァランシーは
心臓病でもう長くないと告げられます。

死を前にしたヴァランシーは、もう何も怖くないと心機一転!
口答えはするし親族をバカにするしで皆を呆れさせた上に
飲んだくれの大工の家の可哀想な娘を世話するため女中になって住み込みます。
さらに、前科者でならず者と評判のバーニィ・スネイスと結婚まで
どうなっちゃうの? ヴァランシー …

モンゴメリらしく、空想好きな女性の夢溢れる物語です。
しかも皮肉がたっぷりで笑えます。
途中から物語の展開は読めてしまいますが、セリフや人物描写が愉快で飽きませんでした。

モンゴメリはかなり多い登場人物のパーソナリティーを
数少ないセンテンスで存分に表現しています。
セリフひとつでその人柄がありありと浮かんでしまうほど… 感嘆です。

しかし『赤毛のアン』 のリンド夫人や『アボンリーへの道』のヘティ・キングといい
『青い城』のアメリア・スターリング(母親)といい、絶対にモデルがいると見たね!
モンゴメリがうんざりするほどのやかまし屋がいたはずよ。
作家になってからこんなに役に立って良かったですね

ヴァランシーはあまりにも抑圧されていたゆえに、空想の城に逃げ込んでいます。
現実逃避も度を超えると、ちょっとアブナイことになっちゃうかもしれないけど
できたらそんな満ち足りた場所を心の中に持っておきたいですね。

完全に “ 白馬の王子を待っていたらやって来た ” タイプの物語で
男性には面白くないかもしれませんが、字面を追っているだけでウキウキする
こんな本もたまにはいいんじゃないでしょうか?

ひとつクレームをつけるとするならば…
ヴァランシーが親族に、やけにオールド・ミスよばわりされることかしら?
29歳なんてまだまだ若いじゃないのっ! って言いたいわ。

青い城 篠崎書林


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私のは角川文庫です。こちらはモンゴメリ・シリーズがあるらしい。
コメント (2)
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