Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

浴衣浚い本番!!

2011-08-14 23:52:26 | 日舞&三味線
いよいよやってきました、浴衣浚い本番
朝8時に家を出て、余裕を持って会場入りをしました。


到着するとまず、「本日はおめでとうございます。よろしくお願い致します」と、
楽屋にてお一人お一人にご挨拶をします。


お師匠さんの楽屋には涼しげなのれんが掛けられます。
お名取のお兄さん・お姉さん方がご祝儀をお渡しした後、一人ずつご挨拶に伺います。



舞台へ移動し、花道や舞台上で自分の立ち位置や距離を確認し、
お師匠さんからいくつかアドバイスをうける「居所合わせ」を行います。
この作業が非常に重要で、皆さんとても真剣に取り組んでいらっしゃいました。


この劇場はきちんと花道が設けられ、すっぽんも使うことができます。
私もいずれすっぽんを使う演目を踊ってみたいです。
ただ、そうなると人間ではない役なんですけどねぇ・・・


浴衣浚いはお化粧は自分ですが、結髪と着付けは専門の方にお願いします。
今回は新鹿の子という可愛らしい演目なので、新日本髪に結って頂きました。
涼しげな水色の糸巻きの簪と、団扇の豆簪を飾りました


浴衣を着付けてもらって、娘の出来上がり
結髪も着付けも終わるとテンションも上ってきます。

そしていよいよ自分の番。
花道の裏で待機している間、緊張でどんどん手が震えてくるのがわかります。
パートナーの子と励ましあいながら、太鼓の音を聴いていました。

三味線の音が聞こえ始め、花道の揚幕が「シャンッ」と音を立てて開きます。
上手側で踊る私が先に絹傘を手に花道に出て、パートナーの子が後に続きます。

そこからはもう無我夢中。
お稽古場とはまったく違う舞台の床はとても滑りやすく、苦戦しながらも踊ります。
花道での踊りを終え舞台へ移り、手踊り、毬唄、振出笠、女持ちの扇子・・・
生演奏ならではの間のずれと緊張もあり、お稽古どおりに踊ることはできず、
いくつか失敗もありましたが、なんとか無事に踊りきる事ができました。

終わった瞬間の達成感と高揚感は、言葉では言い表せません。
一度舞台に立ったらやめられないというのは、本当にその通りだと思いました。

失敗はありましたし、まだまだ上手な訳でもなく、経験年数並の踊りだったものの、
自分なりに最大限のお稽古をした結果なので、精一杯やり切った感覚があり、
悔いは一切ありません。

歌舞伎座などで「よっ成田屋」などの声をかける人を大向うといいますが、
今日は朝から大向うさんが来ていて、私の演目でも名前を声かけてくれました。
誰が呼んだわけでもないのですが、うちの浴衣浚いを気に入ってくださっていて、
毎回来てくださっているようです。
踊っている時に声がかかるというのは、なんだか誇らしくて嬉しいものです


楽屋に戻ると家族や友人や同僚が来てくれていて、たくさんの花束を頂きました。
素人の踊りを見る為に時間と電車賃を使って来てくださり、本当に嬉しかったです
皆さんに心からお礼をお伝えし、まきものをお渡ししました。

自分の番がおわるとホッとして、どっと疲れが出てきました。
ご飯を食べたり少し休憩をして、お姉さんお兄さん方の踊りを見に客席へ。
お名取の皆さんの踊りはキレがあって美しく、勉強になる事がたくさんありました。


そんなこんなで夜8時。
いよいよ最後の演目、お師匠さん方プロの舞踊家による「太刀盗人」が始まります。
幕が上った瞬間出てきたのは、立派な松羽目とその前に座る大人数の地方さん。
四挺四枚、とっても豪華です

太刀盗人はとても面白い演目で、それをお師匠さん方がお仲間で演じるので、
息もぴったりと合って、かと思えば舞踊部分は素晴らしく、とても素敵な演目でした

パートナーの子はもう1つ別の演目に出たのですが、感動するほどにとても上手で、
そんな子と一緒の舞台に立てたことを誇らしく思いました。
彼女のように上手に踊れるようになったら、どんなに幸せだろう・・・・

大量のお花とプレゼントを抱え、帰宅したのが夜10時。
とても疲れましたが本当に楽しい一日で、日舞への思いは更に強くなりました。
もっとたくさんお稽古して、もっともっと上手になって、いつか絶対にもう一度、
今回のパートナーと一緒の舞台に立ちたいです。

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今回、現在のパートナーと組むことになったのが4月。
それまでに覚えた振りを全て忘れ、全く違う振りを一から入れなおしました。
仕事でなかなかお稽古にいけない4・5月に焦り、6月からは週2回のお稽古に。
春から仕事&お稽古で全力疾走でここまで来ました。

夜遅くにお稽古場に着く私を笑顔で待っていてくれたパートナーの子。
夜中からのお稽古でも、いやな顔一つせずしっかり指導してくださるお師匠さん。
お稽古翌日、眠そうな顔をしていると心配してくれる上司。
何時に帰ってくるのかわからない状況でも、夕飯を用意してくれる家族。
仕事とお稽古で精一杯で何もしてあげられないのに、応援して支えてくれる人。

この4ヶ月を乗り越えられたのは、ひとえに周りの皆さんのおかげです。
私一人では今日という日を迎えることはできませんでした。

支えてくれた全ての人達に、心からの感謝を。
本当にありがとうございました。