娘は、来るかな？

娘は１５㎞位の隣町に暮らしていて時々私を覗きに来る。私はその時がが待ち遠しくて仕方がないのだがそれを気取られるのは親父としてちょっと癪だから面と向かって嬉しそうな素振りは見せない風に努めている。
娘は玄関から私のいる居間まで音を立てずに入ってくる。ほとんど忍者歩きである。ひょっとして、私が冷たくなっているのではとの不安が歩き方に出ているのだろう。

「おはよう」と声を交わせば後は会話が弾まない。後期高齢者の私と社会人の娘では共通の話題はないので、いきおい話題が私の生活態度の方に流れるのはやむを得ない。「ちゃんと野菜摂ってる？」「ジュースは砂糖の塊だから程ほどに」「賞味期限を守ってますか？」という具合に私の痛いところを突いてくるが、こうした忠告は何時ものことだから
私は「心配しなさんな」と答えるのだがもちろん嘘。私の回りには菓子やジュースの類いが手の届く位置に切れ目なく据えてあるのである。

娘は一人で暮らす私を大層心配してくれている。話の折々にそれがこちらに伝わってくるので、私も「毎日が楽しく幸せに過ごせている」と
言葉でなく態度によって伝えるのである。

今度顔を見せたら台湾土産の［カラスミ］と［マンゴー］を持たせてやろう


土曜日に来るかな？


おわり

愛車との惜別

替えるか、それともこのまま乗り潰すかとさんざん迷った末ようやく決心がついた。「買い替えよう」

何しろ15年間、150000㎞の長いお付き合いだった。
北は青森・竜飛岬、西は四国まで愛車クオリスは6気筒2500ccのエンジンの力強い走りで私の要求に応えてくれた。愛犬ラブラドールが健在な時期には後部座席を倒して二人？でよく昼寝もした。
塗装は少し色褪せてきたが、今もこれといって悪い所はないので廃車にするのは忸怩たるものがあるが、燃費8㎞/l、車検間近、タイヤ交換要
と重なっては今が買い替えのタイミングだろう。

こんなにいい車も引き取りをお願いする段になると値打ちは鉄屑以下、
廃車処理費用を付けて引き取りをお願いするのである。

ありがとうクオリス

おわり