れきしどころ真理庵

江戸時代の江戸を中心に、医学史・蘭学史を調べています。日々の暮らしを歴史からみた写真日記。

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黒木亮『冬の喝采』を読む

2009-02-05 04:32:50 | 真理庵文庫・その他
昨日はずっと読みたくて待っていた黒木亮『冬の喝采』を読み終えました。662ページ、結構分厚い本でしたが、一気に読み終えました。

黒木亮は以前『巨大投資銀行』を読みました。ちょうど『ハゲタカ』を読んでいた頃かもしれません。外資系投資ファンドに興味があって、それで読み始めた記憶があります。
同い年。私が上智にいたときにこの方は早稲田にいたのだと、早稲田の友人に会いにキャンパスを通ったことが懐かしく思い出されました。その後氏は銀行・商社・ファンドとイギリスを舞台に経済畑で活躍したのち小説家になります。『巨大投資銀行』のスケールの大きさに目を見張りながら、もともと小説家志望ではなかった人がここまで書けてしまうことに同年故に悔しい思いがしたものです。。。

で、『冬の喝采』は自伝的スポーツ小説です。氏は中学時代に陸上を始めて以来練習日記を書き続けていましたが、それをもとに中学からの陸上のクラブ(部)活動の記録を一冊の分厚い本にまとめたのです。主人公の名前も本名の金山雅之。ほぼ全員が本名で出てくるドキュメンタリータッチの小説です。
普段だったらこのような本を手に取ることはなかったでしょう。
何故手似にしたかというと、90%はスポーツ小説ながら、10%に彼の出生の秘密が隠されていたからです。
何故衝動的に走りたくなったのか?(運命によってか)箱根駅伝の早大メンバーとして選ばれ、箱根三区を走ったのですが、奇しくも(生みの)父親が30年前に走ったコースだったのです!
『冬の喝采』は淡々とした小説で、生みの親か育ての親かという葛藤もほとんど出てきません。むしろその押さえた文体が、いかに氏の人生に意味を持っていたか感じさせます。
「走るDNA」を貰った少年は怪我に苦しみながらも大学卒業まで走り続け、社会人になると同時にきっぱり陸上から足を洗ってしまいます。
ちょっと前言われた「自分探し」などせず、ストイックなまでに陸上と学業に専念し、恋愛と言っても淡いものしか語られないその同時代に私も生きていたのだと、横っ面を張られたような気がしました。

もっと早く黒木亮、いや早稲田大学法学部の金山雅之君に同時代人として出会いたかったなと思いました。。。
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