れきしどころ真理庵

江戸時代の江戸を中心に、医学史・蘭学史を調べています。日々の暮らしを歴史からみた写真日記。

諸田玲子 『狸穴あいあい坂』

2007-10-03 09:33:12 | 真理庵文庫・歴史&医学
諸田玲子さんの作品を読みのは初めてのことです。
勿論時代小説家として知ってはいましたが、
今一歩手にとって読んでみようという気に
なりませんでした。

で、今回はズバリ!題名に惹かれて読み始めました。
「狸穴」は麻布の地名にいまだに残っていますし、
「狸穴坂」も実際あります。
麻布を舞台にしてどの程度麻布が描けているかが
今回読んでいる基準ですので、
もし諸田ファンがいらっしゃたら、
「何というけしからん読み方!」とお叱り受けそうですが、
お許し下さい。

で、感想は、「登場人物が初々しくて、爽やか」でした。
ライト感覚の時代小説で、正月の「ムジナ事件」から始まって、
年末の「春の兆し」で終わる結寿(ゆず)17歳の恋物語。
シングルファザーの道三郎との恋も
悲恋とかでは全くなく、微笑ましさを感じました。
多分諸田玲子さんご自身が品のある人なのでしょう。
それが「事件簿」的な内容を扱っていながら、
下世話にならずに済んでいる。
麻布十番周辺もいろいろお調べになって書かれたのが
よく分かりました。
好感の持てる作品です。

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