金沢文庫で、5年間にわたる修理を終えた、称名寺の十二神将像のお披露目展が開催されている。そろそろ閉幕となるが、滑り込みセーフで拝観することができた。これは、彫刻ではなく絵画で、それも神将が一人ずつ描かれた12枚セットで、非常に珍しい作例らしい。通常は、薬師如来を囲むように十二神将が揃って一枚の絵の中に描かれるものだそうだ。国の重要文化財である。
これら十二神将は、季節や方位に合わせて、身体の色を変えている。寅は春・東で緑、未は土用・黄とか。また、それぞれ、上方には本地仏(神将の変身前の姿とされる仏)、下方には五人の眷属(とりまく人々)も描き込まれている。これもまた、珍しいとのこと。
それらが揃って展示されるのは、14年振りとのこと。なかなか壮観ですよ。写真撮影禁止なので、ちらしから一枚だけ。
十二神将のうち未神
十二神将が薬師如来の守り神としてではなく、そのものが本尊のように描かれている。それに、群青など高価な絵具や裏彩色技法の使用など多額の費用をかけている。これらのことから、制作には何か特別な理由があったのではと考えられている。たとえば、二度目の元寇を防ぐためとか。その後、用途も変わり、称名寺の灌頂堂に納められたようだ。
今回の修理は、1852年(嘉永5年)、1929年(昭和4年)につづく3回目となり、表装、収納箱等すべて新調にしたそうだ。旧表具類、修理銘なども展示されている。また、関連の貴重な絵画や資料も見ることができる。
国宝・灌頂堂具足注文 ここに十二神将/各一の文字が書かれてる。
国宝・星供図 北斗七星信仰にもとずく、十二支、二十八宿、十二神将、本地仏などを対比させた図
十二天像(甲本)もずらり。前後期六天ずつ。
十二天像のうち羅刹天
敷曼荼羅
黒漆塗厨子
とても素晴らしい展覧会でした。