気ままに

大船での気ままな生活日誌

柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺

2010-11-09 22:07:10 | Weblog

法隆寺聖霊院前の鏡池の前に、子規の句碑が建っている。”法隆寺の茶店に憩いて”の前書きを添えて、”柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺”。若いときは、この句のどこがいいのだろうと思ったが、年を重ねてもどこがいいのかと思う。でも、実際に、法隆寺の境内に入り、当時の子規の気持ちを想うと(日清戦争の従軍記者として派遣されたが、身体をこわし帰国、松山で漱石と過ごし、帰りにここに寄った)、しみじみとした情感がつたわってくる。

 

さて、前回、西院伽藍のみ記事にしたが、大宝蔵院と東院伽藍についてはまだである。むしろこちらの方に、有名な仏像さんや宝物が在る。大宝蔵院には百済観音堂が平成10年に完成し、ようやく安住の地が得られた、百済観音さまが安置されている。すらりとしたお姿、左手で水瓶をつまみ、右手をやさしく差しのべていらっしゃるお姿。二十代だった和辻哲郎が、大正七年の五月、当時、奈良博におられた観音様の印象をこう述べている(古寺巡礼)。

百済観音の、あの丸い清らかな腕や、楚々として濁りのない、滑らかな胸の美しさは、人体の美に慣れた心の所産ではなく、はじめて人体に底知れぬ美しさを見出した驚きの所産である。あのかすかに微笑を帯びた、なつかしく優しい、けれども憧憬の結晶のようにほのかな、どことなく気味悪さをさえ伴った顔の表情は、慈悲ということのほかに何事も考えられなくなったういういしい心の、病理的と言っていいほどに烈しい偏執を度外しては考えられない。このことは特に横からながめた時に強く感じられる。面長な柔らかい横顔にも、薄い体の奇妙なうねり方にも。

(百済観音堂と百済観音像)

 そして夢違観音。この夏、三井記念美術館でもお会いした。実家に戻り、安堵され、さらにうつくしさを倍加していた。

玉虫厨子。飛鳥時代の建築、絵画、工芸、彫刻などの芸術を寄せ集めた傑作だそうだ。宮殿部と須弥座から構成される。

お馴染み、聖徳太子二王子像。

その他、お宝満載。加えて、大宝蔵殿(院とは別室)では、法隆寺秘宝展。ガイドさんがここにはたいしたものはありません、みな20分ほどで出てきます、と言われたけれど、重要文化財がごろごろ。法隆寺では二流でも、いずれも、他県に来られれば、大スターです。

そして、道をへだてて、東伽藍へ。ここには夢殿、そして、この中に安置される救世観音。聖徳太子よ等身の秘仏だ。

(夢殿)

(ガイドさんに抱かれる救世観音さま)うらやましい(汗)

 

子規が憩った茶店の後継だろうか。

 

また、近いうちに是非、訪ねてみよう。

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南都七大寺(3)法隆寺/西院伽藍

2010-11-09 11:36:18 | Weblog

法隆寺は久しぶりの訪問であった。今回は、正倉院展のほか、南都七大寺も巡ってみたいなと思っていた。奈良は交通の便がもうひとつ、なので、ちょうどいいバスツアーがあったので、それを利用した。二泊三日で、効率的に回ることができた。

あらためて、すばらしいお寺だと感心した。聖徳太子が創建し、以来1400年にもおよぶ歴史と伝統を維持している。世界最古の木造建築であるとともに、各寺院に安置されている仏像、寺宝も国宝級がずらりと並んでいる。我が国で最初に世界遺産に登録されたのは当然のことであろう。境内に、平山郁夫書による、”日本最初の世界遺産”と刻まれた、大きな石碑がある。

西院伽藍/大宝蔵院と東院伽藍にわかれていて、南大門をくぐって、阿吽の仁王様が守る中門に向かう。そこを抜けると、エンタシス風の大きな柱の回廊に囲まれた、金堂、五重塔そして大講堂が目の前に現れてくる。法隆寺というと、この景色である。こうゆう歴史的建造物に囲まれるだけで、なんともいえない感動を覚える。

中門

回廊

金堂

五重塔と大講堂

 

 ガイドさんが金堂内陣には、こんなすばらしい仏像さんもいますし、壁画も見逃さないようにと、事前に案内してくれる。法隆寺の本尊、釈迦三尊像(釈迦如来坐像と左右脇侍)と壁画。

金堂内陣は、このような配置になっている。(お寺さんから買ったガイドブックから)

釈迦三尊像、阿弥陀三尊像、薬師如来坐像

金堂壁画は、ガイドさんが示した、阿弥陀浄土図等、四方の壁に描かれている。壁面に白土下地を施し、その上に顔料で図様を描く手法だそうだ。

五重の塔の最下層の内陣には、奈良時代のはじめに造られた塑像があり、東面に維摩居士と文殊菩薩の問答、北面に釈尊の入滅(涅槃)、西面に釈尊遺骨の分割、南面は弥勒菩薩の説法の像が。みな覗きこんでいた。

これから、出掛けますので(汗)、続編は夕方にでも書こうと思います。 

 

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