マーブリングファインアーツのブログ

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マーブリングと3Dプリンター

2013年10月08日 | 製作物

今回は昨今ますます勢いを増している3Dプリンターについて。

少し前のことになりますが、東京ビッグサイトで開催されていた
『3Dヴァーチャルリアリティ展』に足を運びました。
このイベントは「日本ものづくりワールド」という設計、製造者向けの技術展示会であり、
工作機器から細かい工業部品まで、最新の工業技術を持つメーカーが一堂に会するイベントです。

訪問の目的としては、ずばり3Dプリンターです。
ここ最近では製造業のみならず、一般の方への認知もかなり進んできた3Dプリンターですが、
モノを作るという分野で登場したこの新しいアイテムはマーブリングでも永らく注目していました。

今回の展示会は製造業向けということもあり、3Dプリンターブースに展示されていた機器は
金属の直接造形や耐衝撃、耐熱、超高透明などといったもので、精密な工業製品をさまざまな
用途に合わせて製作するというハイレベルな造形機が多く展示されていました。
ちなみに数年前はほんの一部だった3Dプリンターのブースが会場の一角を占めるまでになってきており、
この分野の成長ぶりがありありと伺えました。
(現にこの展示会に足を運んでから現在までの数週間の間でも、医療関係やより一般向けなもの、
製造業における3Dプリンタの存在に関することなど、様々な記事がネットニュースでも多く見られ、
世間からの注目度の高さが伺えます。)

そしてさらに小さな、それこそ模型用、モックアップ用といった用途の小型プリンタも数多くあり、
複数素材の同時加工や、サポート剤(立体造形の際に「支え」となる素材)の簡単な除去法の採用など、
各社特色のある造形機を展示していました。

現在玩具メーカーでの試作製作に多く使用されている「SEA FORCE」のDIGITAL WAXシリーズ、
3Dプリントの最大手でもある「3D Systems」のProjet SD&HD3500Objet社(現在はStratasysと合併)のEden500Vなど、
インクジェット式から光硬化式のものまで様々な機器が並んでおり、価格と精度においては申し分ないものばかりでした。

展示品以外の製品でも「formlabs」から発売された光造形によるプリンタTHE FORM 1にも注目しています。
価格と精度の面でおそらく現存するものの中ではトップクラスの機種です。しかしまだ日本への出荷予定はなく、
アメリカのごく一部の地域でのみ出回っているようで、注文から出荷まで3カ月程かかることからも
大量生産というところまでは行きついていないようです。今後の動向に注目です。

高性能な機種が続々と発売され始めてきてはいますが、ミニチュアを含めた造形物のすべてを
3Dプリンターで製作できるかというと、決してそうではありません。ミニチュアの建物を含め
マーブリングでの製作物は全長1~2mのものなど造形物全体が広い面積を持つものも多数あります。
それらの製作物に対する3Dプリンタの使用は、コストや時間の面で効率のいいものではありませんが、
その中の一部分、例えば洋館の柱や壁面などに彫刻されているレリーフや像、5mm~10mmサイズの
椅子や机で複雑な形状のものを同時に複数製作することが可能です。そのサイズの小物であれば、
通常はブロック型や円などのシンプルな形状の組み合わせにより椅子や机とわかる程度に製作するのですが
クッション、背もたれ、足などの一つ一つのディティールが忠実に製作されていると、
それだけで目を引くものを作ることができます。
どうしても手造形では仕上げが困難で時間のかかってしまうものを一体型で作ることができる点は、
充分社内での造形物製作に活かせる部分です。今まで以上に造形物のクオリティを上げることができ、
なおかつ製作時間の短縮にも繋がります。

マーブリングでは、現在の技術的な面での主力機器であるレーザーカッターを導入してから10年以上になりますが、
それ以前の技術では考えられない高精度な造形物が製作されるようになりました。
今回の3D技術の発展もその当時と同じか、もしくはそれ以上に、造形物の製作に大きな影響を与えていくことでしょう。

マーブリングではこれまでの磨かれた技術と製作の中で培われた知恵を、新しい技術やテクノロジーと結びつけ、
造形物における総合的な面でのレベルアップと製作の幅を拡げ続けています。

新たな技術の導入については積極的に確実に進めていきます。
今後の動向については追って掲載していきます。お楽しみに!


製作 樹下
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