ニューヨー句

1ニューヨーカーの1ニューヨーカーによる1ニューヨーカーのための1日1ニューヨー句

大いなる歯車回る暑さかな

2009年04月29日 | Weblog
ルーズヴェルト島へ渡るトラム駅のそばで句友と待ち合わせていた時、上空をトラムがゆるゆる動いていた。トラム乗り場には、大小の歯車が見えていた。それが回ると、鉄の綱にぶらさがった鉄の箱、赤いトラムが動く仕組みである。遠近感のせいかどうか知らないが手前の歯車が大きく、向こうの歯車が小さく見えていた。それで、大小の歯車回る暑さかな、と最初作って投句した。句会で、大いなる、と直してもらった。大小の、だと時計の歯車程度の大きさを想定されるおそれがある。

Fウェイでぜんまいをみつけて買う。乾燥でも水煮でもない、生ぜんまいに挑戦。重曹をかけて熱湯をかけて五時間重石を乗せて、いま灰汁抜きの最中である。豚肉と炒めると美味しいと書いてあるが、ちょっと今豚肉はあれなので、卵とじにしようかと思っている。

Dが低くしてくれたブリッジで、町子がチェロを弾いてみると、ちょうどよかった。ほっとする反面、残念な気もする。今日また、「あー、やっぱあれ低くすぎたわ。もちょっと高くしてんか?」と、Dの店へ持って行けば、なおさら面白かったのになあ。


往来にコインばらまく立夏かな

2009年04月28日 | Weblog
Dの店にて、道子の弦を全部張り替える。町子のブリッジを低くしてもらう。低すぎるので木片を足して高くしてもらったばかりだが、それが高すぎた。足した木片の半分の高さでよかった。それを説明するのに汗をかいた。Dが聞く耳を持たず、自分の意見ばかり言うから。ものさしでフィンガーボードから弦までの長さを計って見せて、これでぴったりだ、むしろこれでも低すぎるくらいだ。これ以上一ミリも下げることはできない。いけないのは、木片がずれているからだ。まっすぐに直してブリッジを立てれば、これでちょうどだ、とつばを飛ばして言う。しかしこの高さに調節した直後のレッスンで、すでに先生は「今度は高すぎた、しかも醜い」とおっしゃっていた。Dは、「そんな先生は代えろ」とまた口癖を言う。
「ブリッジがずれたからだめになった。ずれさえ直せばこれは完璧」
「ブリッジがずれる前にすでに高すぎた」
「リッスン」
「リッスン」
 の言い合いになる。最後に、Dが私のぶんぶん振りまわしている手をつかんで握手する。そしてつきものが落ちたように、「じゃ低くするよ」と言う。私の笑顔を見てDは、「すぐにまた来ればいい。今度は低すぎる、このまた半分だけ高くして、と言いに来ればいい。ぼくはまた怒鳴るだろうが、また直してあげるからね」と言って、にやりとした。

侘び入れて許されし八重桜かな

2009年04月27日 | Weblog

昨日はあまりに心苦しいことがあって、いったんNY句を書き始めたものの、途中で書けなくなった。子供たちの伴奏をお願いしていたKW先生に、去年もいったんお願いしておきながらキャンセルするという失礼があり、今年こそはお願いしたいと思ってお願いしたのにまたキャンセルしなければならなかった。不本意だが、どうしようもなかった。KW先生は事情を察してくださり、気持ちよくご了承くださった。ピアノを聴けばKW先生が頭も人柄もずば抜けてよいかたであることはわかる。そんなかたにひどいことをしてしまった。翌朝、はらもも句会の途中、満開の八重桜の下で改めてお詫びの電話を入れ、KW先生の爽やかなお声を耳にして、ようやく胸の雲が晴れた。

気を取り直して昨日のことから書く。町子のトリオの発表会。Cメンの新しい赤いドレス。Cメン、ASティン、Nアのうまさ光る。町子も人の音を聞いて、リズム感を出し、よい音でトリオを支える。

夜NYPへ、楽しみにしていたムーティー様のイタリア特集。ヴェルディ、ヴェルディ、プッチーニ、レスピーギである。リアンワンのオーボエ大活躍。ランジェヴァンさんのフルートとのからみ最高。トランペットの若い人が成長してる嬉しい驚き。「リズムに厳しく青空のように歌う」トランペッターがスミスさんだけではなくて増えていた。ローマの松は「」内要素が必要不可欠なので、NYPみたいに管のうまい、特に金管のうまいオケでないと難しい。昨夜のプログラムのほとんどは管が大事な曲であった。ムーティー様はよほど満足していたと思う。クラのドラッカーさんに最後のカーテンコールでハグしていた。クラも見事であった。ピアニシモの熱情はローゼン先生に負けない。

R先生のレッスンのない日曜。子供は朝寝。大人二人は、はらもも句会第一回目吟行へ出発。夏めくひざしのトラム駅に待ち合わす。

ニューヨークにもこんなに俳人がおられたのだ。ESさん、PPNさん、FS子さん、みな帽子かぶって準備万端。私は帽子忘れ、PPNさんに日焼け止めも借り。二時までトラムが動かないといわれ、予定を変更して地下鉄でルーズベルト島へ。川一つ越えただけで、不思議と島気分が盛り上がる。マンハッタンも一応島だが。

病院でトイレを借り、イーストリバー沿いの桜並木を五人ばらけて吟行。満開の八重桜の、その花影がゴージャスで圧倒される。うっとりする。それが島の先まで続いている。途中からソメイヨシノだろうか、散りかけの残花に変わる。白い花びら、赤い桜蘂が風に吹かれ舞う。樹に群がる鳩。芝を歩く青カケス。岩場に集う通し鴨。日本人カップルが日本酒持参で花見。ベビーシッターに連れられままごとしてる金髪の兄妹。



島の先端を回ってクィーンズ側へいくと、菫が咲いている。赤い跳ね橋。コカコーラの看板。メキシカンみたいな家族連れが、釣竿を川に垂らしてピクニックしてる。トルティーヤチップスとサルサの袋が見えた。豚フルのことをつい思い出してしまったが、欧介は、前回欧介と町子が熱を出した風邪が豚フルじゃないかと言う。私と道子も軽くかかった。それならいいのだが。学校閉鎖とかひどいことにならないよう祈る。



エイズウォークのパレードとすれ違いつつ、地下鉄で34丁目へ移動。メイシーズ地下でサラダを買い、欧介のオフィスへ。会議室で昼飯、十句投句。緑茶と羊羹。レベルが高くて迷ったあげく十句選句。選評たのし。欧介には、してやられたという句が二句ほどあった。私もこの辺りでは絶対作れない句を得た。解散後、FS子さんを見送って、会社の近くのバールにて乾杯。生ハム、ズッキーニ、マッシュルームのフライ。ピアニストのTKさんが合流するというので、指だけでも拝みたくて粘っていたが、あいにく子供の夕飯時となり私も抜け。あとの面子で二次会へ行ったかどうか。まだ欧介は帰ってこない。


うぐひすや老眼鏡を置いて聴く

2009年04月25日 | Weblog
剛君が酔って全裸になったニュースを見てて、欧介が「あの公園だ」と言うので、近寄って見ると、あの公園だった。たしか2000年の初頭には渋谷の社宅を出て、四月の渡米まで日があったので、とりあえず転職先の会社の赤坂の社宅に入った。道子四歳、町子二歳で、近所の公園を探してたら、子供のほとんどいないあの公園があったので、そこで数回遊んだ。その頃あった公団みたいなのが壊されてマンションが建ったのであろう。あの社宅は日は当たらないが住みやすかった。公園はあまりに子供が来なくて、いつも三人だけで遊んでいた。天気雨がよく降った。ロリコンみたいな青年がじっと道子たちを見てたりして気味が悪かったので、そのうち行かなくなり、幼稚園の開放日を探しては通った。今思えば、悪い気の満ちた公園であった。あの公園に立ち寄らなければ、剛君は無事だったであろう。あまりに気の毒だ。

亡き人の香水壜のあまたある

2009年04月24日 | Weblog
チュッチュ婆さんの部屋の片づけもようやく終わりが見えてきた。三十年分のがらくたは膨大である。エレベーターの内部が傷つかぬように黒いカバーがかけられているのが喪のようだ。改装が済むと誰か新しい人が入ってくる。アパートの住民層、特に六階の隣人を気に入っているので、うるさい人が入って来ないよう願う。マンハッタンのエリートたちはジョギングを好み、犬を飼い、ヘルシーに静かに暮らす。歌手は節制して暮らす。赤ちゃんのいる家庭は夜が早い。ヘアスタイリストは意外と地味な生活をしている。ロングアイランドではテニスやパーティーを好むカップルを多く見た。MZさんたちが来る前に住んでいたCHPさんは、毎日テニスをやり、毎週パーティーをやった。一晩中大音量でスクリーンミュージックをかけ、金曜の夜中から明け方まで大勢連れ込んでパーティを開いた。デッキで煙草を吸い、ワインを飲んで大騒ぎ、あげくのはて、中から鍵をかけられ閉め出されたとかで、我が家のデッキに面したドアをがんがん叩いた。翌朝百合の花を持ってあやまりに来た顔がかわいくて、つい気分を直してまったが、やはり相当迷惑であった。きっとロングアイランドに引っ越したと思う。

昨日の朝のことだが、道子を送って駅に行って戻ると、欧介がマッドになって濡れたベッドを拭いていた。そばでTEAが割れた陶器のかけらを手でころがして遊んでいた。リンデンが挑戦的な目になっていた。雑巾にしたタオルを床に投げつけて、「ぼくは風呂に入らなきゃならないんで(後頼む)ねっ」と言い捨てて、欧介は風呂へ入った。リンデンがメープルをしつこく追い回し、メープルが怒って逃げる拍子に麦茶の一杯入ったボトルをばちゃんと倒し、ミッフィーマグカップをテーブルから落として割ってしまったそうだ。あわてて麦茶を拭いている欧介のそばへTEAが勇んでやってきて、麦茶の中をちゃぷちゃぷ歩き、濡れ手で陶器の破片をころがす。欧介の悲しみが怒りへと変わる。見えるようだ。


母の下駄借りて出でたる朧かな

2009年04月23日 | Weblog
FAウェイの前の屋台のオレンジが転がりだした。四月は雨が多い。

旅行が終わって切ない、と私が愚痴を言うと、道子が「超合体戦士サンゴットV オープニングテーマ」(ギャグ漫画日和)を見せてくれる。癒される。これはここに載せられないので、自分で見てもらうしかないのだが、ものすごくおかしいので、寂しい人は見たほうがいいと思う。町子がストーリーを日本語で説明するのを聞くだけでもおかしくて二倍癒される。今一緒にみんなで見たのに、すぐまた後で口で説明する町子。それも変だがおかしい。

道子のオーディションの伴奏を日本人のピアニストKWMKさんにお願いする。以前にミスターEのクラスの生徒の一人が、(とてもうまい子なのだが)アクシデントで止まりかけたとき、この方の伴奏に助けられ立ち直って素晴らしく弾くのを見た。感動した。伴奏とは大事なものだ。去年はミスターLの彼女で今奥さんのHRNちゃんが伴奏してくれた。HRNちゃんは十月に出産する。

昔、夏休みなどに村に戻ったとき、煙草が切れると夜こっそり自動販売機に買いに行き、防波堤で一服してからとぼとぼ帰っていたことを、下駄の音まで懐かしく思い出した。あの頃、将来がおぼつかなく、魂が半分死んでいたのでやるせなかった。心細かった。こんなとこでぼんやり煙草吸ってないで手に職を持てばよいのだ、と何度も思ったができなかった。いざとなれば家政婦やればよいと思っていた。今でも思っている。(今はベッドメイク係)年を取っただけで賢くなったみたいな顔をしてる人を飛行機のファーストクラスなどで見かけるが、年だけ取ってもあまり賢くならないことがここにきて(五十を目前にして)わかった。住んでるだけでは英語が喋れるようにならないのと同じことだ。

少しずつ向きをかへたる目高かな

2009年04月22日 | Weblog

火曜バレエABCへ。ABCクラスはバレエの基本を教わるクラス。今日はバーで45度ずつ向きを変えて踊る。ベテランのAY子さんたちもポワント(トウシューズ)でここに参加されている。AY子さん帰国のニュースを聞く。ロンドンに越されたYKさんに続く目に見える目標として、私はAY子さんを見て踊っていたのでがっくりである。私が来るときは必ず来ておられた、ということは私の来ないときもいつも来ておられたのだ。お別れのご挨拶をすると無性に悲しい。ただでさえ旅行が終わって悲しい気持ちがいや増す。ちょっとロンドンにも行きたくなる。MM先生がまた痩せて、引き締まっておられる。本番に向けて鍛えておられるのだ。関東に住んでおられるかた、五月三日(日)に関東におられるかた、日頃ダンスに縁のない俳人は特に! ちょっと気分を変えて夢コンサートを見に行ってください。ぜひ感想を句にして送ってください。宝塚にも四季にもこれほどきれいなダンサーはそろってません。よろしくお願いします。

次の目標。道子のPCオーディション五月十八日(月)。町子のジュリー五月十六日(土)。これが終われば、六月の欧介(指揮)コーラス発表会。それが終わると、私も合唱に参加さしてもらいたい。信長さん作曲の寺山修司の詩による6つのうた「思い出すために」を歌うために。これは素晴らしい合唱曲。どれもいい。これを歌わずに死ぬと後悔するであろう。ピアノもいい。難しい。
おっと、忘れるところだった。一番近い目標は今週の日曜。はらもも句会の吟行会一回目がルーズベルト島にて行われる。


 


ミスターローゼン語録

2009年04月21日 | Weblog
ミスターローゼンは電動式のメトロノームを嫌う。われらの最初のチェロ教師、若きコリアンのチェリストミスターリーも、ミスターローゼンと同じ台詞でそれを嫌っていた。手でねじを巻いてダウンビートで鐘がディーンと鳴るのでなきゃだめだよ、としょっちゅう言っていた。昨日ミスターローゼンがこう言ったので、私は彼の一番弟子を懐かしく思い出した。
「ぼくのメトロノームは木製でね、手でねじを巻いて、ダウンビートで鐘が鳴るんだよ。すてきな音で、クラック、クラック、ディーン。クラック、クラック、ディ-ンってね」

花過の煙ひとすじ古戦場

2009年04月21日 | Weblog
今日から学校が始まる。道子は旅行が終わったとたん、機嫌が元通り悪くなる。欧介は日に日に時差ぼけがひどくなる。町子は黙ってつらそうに学校へ行く。旅が終わってみな悲しいのだ。わけもなく寂しいのだ。R先生のコンサートを聞きに行きたいが行けないもう休めない。二階の本を片付けながら、考え事をする。昨日六階に酔っ払った男が来ていた。花束とコーヒーを持って、酒臭い息をぷんぷんさせて来た。その次は、玄関の鍵を開けて勝手に入って来るのを見た。にやにやしていた。鍵を持っているということは新しいドッグウォーカーかもしれない。六階に犬を飼っている家は一軒のみ。一日二度来るドッグウォーカーのヒルダがくびになったのかもしれない。ヒルダは、下の美容室の人がロビーに毒液を撒いているとしきりに抗議していた。美容室で使ったタオルを抱えて地下室に洗濯しにくるとき、美容液のしずくをロビーに垂らしている。それを踏むと犬の肉球がただれる、と飼い主にも訴えていた。「ロビーが臭いと思わない?」と、私も同意を求められたが、私はAヴェダの人がパーマ液を廊下に垂らしてるのを見たことがないし、薬草シャンプーの香りが好きだし、むしろロビーが無料のアロマセラピー空間となって得だと思っているが、ヒルダが過激で怖いので、「そう?」とあいまいなことしか言えなんだ。ヒルダも怖いが、酒臭い息の男もかなわない。今日は写真がないので、旅の写真をもう一つ。
ロンリー保険も連載再開。

潮風の来る葱坊主揺らさずに

2009年04月20日 | Weblog

「夏のおもちゃ」
ペットショップで、箱に印刷された写真の子猫がTEAにそっくりなので買った。金魚鉢に見たてたボールに水を満たし、魚の絵のついたボールを浮かべて、手ですくって遊ぶもの。

「嫉妬」
一週間預けていたリンデンを抱っこすると、女の香水の匂いがぷんぷんする。首の後ろから背中にかけて特に。TEAとメープは匂わない。TEAのように足にすりつくだけでは、あれほどの移り香はない。メープルは私以外誰にも触らせない。ナースや受付の女の子に抱っこされ顔をすりすりされ、モミモミさしてもらって、口を半開きにしているリンデンを想像するとおかしいやら腹立つやら。

「ミスターRの日曜レッスン」
R先生は、その場でおみやげを開くタイプである。一つ一つ見ては面白いことをおっしゃる。道後温泉で買った温泉の素を見て、「ふうむ。ハーバルバスだね。これで素敵なレディを誘って、ぼくも一緒に入ろうっと」。伊予絣の眼鏡ケースについて。「ぼくにはこれが必要だったんだ。母に昔一つもらったんだがなくしてしまってね」。海老煎餅を渡すとき、「これは海老です。海老を食べないジューイッシュもいますが、先生は?」と欧介が聞くと、「なに、ぼくは平気だ。明日、飛行機にもこれ持って乗ることにするよ。客室内を海老の匂いで満たしてやるんだ」。その場で開けてばりばり食べ、道子と町子にも一枚ずつくれた。道後商店街で先生の名前を彫ってもらった箸をさっそく使って、おかきの袋をつまんで見せた。「これは僕だけの箸にするつもり。決して家族で使いまわさないことにするよ」。
釣りをしたとか、刺身を食べたとか、日本の土産話をしていて、R先生がふと、「シコクアイランドが舞台の小説があるね」とおっしゃった。欧介が、「H・Mラカミ? Kフカ・オンザショアでしょ?」と言い、R先生が「そうそう」とうなづかれた。「彼女は彼が嫌いです」と欧介が私をさして言うと、先生はちょっと困って、「おどろおどろしいからね」と言った。私は、「自己愛を守り、劣等感を持たぬために現実を100%見つめず、人の話を100%聞かず、自分に理解できる現実や会話だけを受け入れるシステムをそれと気づかせぬくらい巧妙にスタイリッシュに採用して生きてゆく主人公を書くのです。それを読んで癒される人が世界中にどれだけいてもいいですが、R先生のような本物の天才にはまったく不必要な本です。真実を100%追求するR先生や私とは正反対の考え方なのです。だから嫌いなのです」と言いたかったが、英語でとっさに言えなかった。今ゆっくり考えてみたら言える。焦ってパニックせずに言えば、どんなことでも言える。
レッスン後、夕飯を食べに降りると、向かいのカレー屋の前でチェロを背負ったままR先生がメニューを真剣に見つめておられた。一緒に食べようかと迷ったが、一人で食べるほうが気楽でいいだろうと思い直し、声をかけず通り過ぎた。シティグリルへ行き、マッシュルームラヴィオリを食べた。どうしてもこれが食べたかった。トワイライトシリーズを読んでいるので。トワイライトの翻訳は、あまりにティーンエイジャー向きすぎる。日本語訳を読んだ道子が、「まるで子供向けじゃん」と怒っていた。ステファニー・マイヤーズの原語は一語一語が金色に輝いてシルクの手触りだそうだ。