記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

鳥瞰図絵師・前田虹映の絹本原画を湯の児温泉で発見!

2007年05月09日 22時53分24秒 | 吉田初三郎
 予告通り、9日は熊本南部を巡ってきた。いくつかの大ドンデン返
しがあったが、しかし総じて収穫の多い佐敷・湯の児・人吉の旅であ
った。佐敷を訪れるきっかけをいただいた、初三郎ファンの芦北町教
育課のF氏にただただ感謝である。

 昨日、人吉温泉鍋屋さんに前田虹映の絹本原画が展示されていると
書いたばかりだが、行ってびっくり!該当の図は印刷物からの拡大複
製パネルであった。

 それでも同行した虹映の長男・稀さんは、鍋屋さんがPR用に作成
している虹映作の鳥瞰図が印刷されたテレフォンカードや鳥瞰図ラベ
ルのオリジナル球磨焼酎をプレゼントされてご機嫌であった。徳富蘇
峰や与謝野晶子らの直筆書や様々な絵画が展示されていたが、初三郎
に関するものもあるだろうとのことで、探してもらうことなった。

 人吉温泉・翠嵐楼には、立派な初三郎原画が玄関入ってすぐの壁面
に展示されていて目を引く。皇族の方々や大臣経験者など最近訪れた
方々の写真も展示されていたが、皆さんこの原画の前で記念撮影され
ていて嬉しくなった。昭和40年の人吉大水害の折に多くの資料や宿帳
が失われたそうで、初三郎原画の所以や翠嵐楼に関する資料などを、
提示して女将さんと長時間懇談した。

 そして、佐敷では初三郎のご遺族の一人に会うことができた。戦時
中から昭和23年まで佐敷に疎開していた当時のことなど、新たな事実
も多数判明した。整理を終えて、来年計画している初三郎展でお披露
目しようと思う。

 最後に、湯の児温泉である。実際にはこの日最初に訪れたのだが、
平野屋のご主人から電話で伺っていた「初三郎作」鳥瞰図絹本原画は
なんと前田虹映の作品であった。もちろん初三郎の原画もあって、
「湯の児の四季」という題で6点の絵葉書原画が表装され展示されて
いる。徳富蘇峰の地元ならではの蘇峰・蘆花に関する資料も充実して
いた。

 湯の児温泉全体を描いた前田虹映・絹本原画は、印刷物未見の作品
であった。現地ではこの作品が初三郎のものと、皆さん信じていたそ
うで、これが最大のドンデン返しである。

 原画から原寸で3年前に複製ポスターを作成し、来訪者や宿泊者に
有料で頒布したところ、もう数点しか残っていないとのこと。数枚購
入した。このポスターは水俣市内の学校に無料で配られ校舎内に貼ら
れて郷土学習などで活用されているとのことで、これには長男の稀さ
んも大喜びであった。

 平野屋さんの並びにある三笠屋さんに行き、ご主人から様々な逸話
も聴けた。ご主人の考察で虹映「湯の児温泉」原画の制作時期は昭和
14年頃とのこと。今日は時間不足で旅館にある初三郎の掛け軸等数
点を拝見する時間がなかったが、改めて伺うこととした。宿泊した相
撲取りの照国を初三郎がその場で描いた絹本等もあるとのことで、改
めて宿泊がてら湯の児温泉を訪れたいと思う。両旅館の正面には天草
不知火の絶景が広がっており、初三郎が湯治湯として気に入っていた
理由が判る気がした。

今日の写真は、新たに確認できた前田虹映「湯の児温泉全景」原画
初三郎作と勘違いされていた図である。

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