令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(16)萌(も)えし楊(やなぎ)か

2010年10月15日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年10月29日】

春雨に えしやなぎか 梅の花 友におくれぬ 常の物かも


家持 関東行幸みゆきの留守
書持ふみもちが 当主代役
家の取り仕切りは 大刀自おおとじ坂上郎女さかうえのいらつめ
書持ふみもちは 名ばかり当主
しかし 気弱書持ふみもちは 
せずもがなの気遣いに  心を痛めていた

気疲れ書持ふみもち
けともなると 一日の気重きおもしかかる
うつらしにと 旅人たびと残せし 歌びかえを開く

正月むつき立ち 春のきたらば かくしこそ 梅をきつつ たのしきを
《正月の 新春来たぞ 今日の日を 梅呼びめて 楽しゅう過ごそ》
                         ―大弐だいに紀卿きのまえつきみ―〈巻五・八一五〉

〈おお これは 大宰府での梅花うめはなうたげ
紀卿きのまえつきみ殿の 発句ほっく
 あの方が  梅を招かれたか〉

み冬つぎ 春はきたれど 梅の花 君にしあらねば く人もなし
《冬過ぎて 春なったけど 梅花うめはなを 紀卿あんた以外に 招く人ない》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇一〉
梅の花 み山としみに ありともや かくのみ君は 見れど飽かにせむ
梅花うめはなが 山といっぱい 咲いたかて あのうたげほど められへんわ》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇二〉
春雨に えしやなぎか 梅の花 友におくれぬ 常の物かも
《春雨が 呼んだ楊か いつもり 梅と一緒に 芽吹めぶやなぎか》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇三〉
梅の花 何時いつは折らじと いとはねど 咲きのさかりは 惜しきものなり
梅花うめはなは 何時いつに折っても 構へんが 咲き誇る時 折るのは惜しで》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇四〉
遊ぶうちの 楽しき庭に 梅柳 折りかざしてば 思ひ無みかも
遊呆ほうけてる 楽しい庭で うめやなぎ 折り髪挿かざしたら 思うことない》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇五〉

わがそのに 梅の花散る ひきかたの あめより雪の 流れ来るかも
《梅の花 空に舞うに 散って来る 天から雪が 降ってきたんか》
                         ―主人あるじ―〈巻五・八二二〉

〈おう 第壱組結句けっくは 父上か〉

御苑生みそのふの 百木ももきの梅の 散る花の あめに飛びあがり 雪と降りけむ
御苑生みそのうを 埋める梅の木 散る花が 天まで飛んで 雪になったか》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇六〉

歌作り 全てを忘れ 書持ふみもちの心安らぐ時 


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