令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(15)布当(ふたぎ)の野辺(のへ)を

2010年10月19日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年10月26日】

三日みかの原 布当ふたぎ野辺のへを 清みこそ
              大宮所おほみやどころ 定めけらしも



泉の川に 橋打ち渡し 築く京師みやこは 永遠とわ恭仁宮くにみや
布当ふたぎの山は 連綿れんめん続き 鹿背かせの山には 鶯鳴くよ

あきつ神 わご大君おほきみの あめの下 八島のうちに 
国はしも さはにあれども 里はしも さはにあれども
 
《神さんで あらせられます 天皇おおきみが お治めなさる もと
 くにがいっぱい ある中で 里も仰山ぎょうさん ある中で》 
山並やまなみの よろしき国と かはなみの たち合ふさとと 
山城やましろの 鹿背山せやまに 宮柱みやばしら ふとまつり 高知らす 布当ふたぎの宮は
 
《山並み綺麗きれえ くにやとて 川の集まる 里として
 ここ山城やましろの 鹿背山せやまの 麓に宮柱はしら お立てなり 高々造る 布当宮ふたぎみや》 
川近み 瀬のぞ清き 山近み 鳥がとよむ 
秋されば 山もとどろに さ男鹿は 妻呼びとよめ 
春されば 岡辺おかへしじに いはほには 花咲きををり
 
《川はちこうて 瀬音せおとえ 山もちこうて 鳥音とりね
 秋になったら 山で牡鹿しか 連れ呼び鳴いて 声ひび
 春が来たなら あちこちの 岡の岩辺いわべで 花が咲く》 
あなあはれ 布当ふたぎの原 いとたふと 大宮所おほみやところ 
うべしこそ わご大君は 君がまに きかかし給ひて 
さす竹の 大宮此処ここと 定めけらしも

《なんとえとこ 布当原ふたぎはら なんと貴い 大宮所みやどころ
 天皇おおきみさんが 諸兄殿とのさんの 勧め聞かれて 大宮を ここに決めたん もっともや》
                      ―田辺福麻呂歌集たなべのさきまろがかしゅう―〈巻六・一〇五〇〉

三日みかの原 布当ふたぎ野辺のへを 清みこそ 大宮所おほみやどころ 定めけらしも
みかの原 布当ふたぎの野辺が 清いんで 大宮所おおみやどこを ここ決めたんや》
                      ―田辺福麻呂歌集たなべのさきまろがかしゅう―〈巻六・一〇五一〉
山高く 川の瀬清し 百世ももよまで かむしみ行かむ 大宮所おほみやどころ
《山たこて 川瀬きようて 百年も ずっと続くで 大宮所おおみやどころ
                      ―田辺福麻呂歌集たなべのさきまろがかしゅう―〈巻六・一〇五二〉

山背やましろの 久邇くにの都は 春されば 花咲きををり 秋されば 黄葉もみちばにほひ 
おびなせる いづみの川の かみつ瀬に うちはし渡し よどには 浮橋うきはし渡し 
ありがよひ 仕へまつらむ 万代よろづよまでに

恭仁くにみやは 春が来たなら 花咲いて 秋になったら 黄葉こうよする
 帯のびる 泉川いずみがわ 上の流れに 橋架けて 淀のぇには 浮橋うきはし
 渡しかようで ずううっと 何時いついつまでも ずううっと》
                         ―境部老麻呂さかひべのおゆまろ―〈巻十七・三九〇七〉

たためて 泉の川の 水脈みを絶えず 仕へまつらむ 大宮所おほみやどころ
泉川いずみがわ 川の流れの 続くに ずっと仕える この大宮所みやどこに》
                         ―境部老麻呂さかひべのおゆまろ―〈巻十七・三九〇八〉


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