【掲載日:平成24年6月15日】
君がため 浮沼の池の 菱摘むと 我が染めし袖 濡れにけるかも
旅の愁いの 徒然和み
揺れる沖つ藻 妻呼ぶ縁
土産するとて 花実を摘んで
愁いしみじみ 旅空暮れる
我妹子と 見つつ偲はむ 沖つ藻の 花咲きたらば 我れに告げこそ
《沖の藻の 花が咲いたら 教えてや 妻や思うて 偲びたいんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二四八)
君がため 浮沼の池の 菱摘むと 我が染めし袖 濡れにけるかも
《浮沼池 あんたに菱実を 摘もとして うち染めた袖 濡らして仕舞たで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二四九)
妹がため 菅の実摘みに 行きし我れ 山道に惑ひ この日暮らしつ
《お前にと 菅の実採りに 行ったけど 山道に迷うて 夜明けて仕舞た》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二五〇)
渡会の 大川の辺の 若久木 我が久ならば 妹恋ひむかも
《川辺り 立つ若久木 わしの旅 長うなったら 焦がれんやろな》
―柿本人麻呂歌集―(巻十二・三一二七)
我妹子を 夢に見え来と 大和路の 渡り瀬ごとに 手向けぞ我がする
《妻わしの 夢出て来てと 大和路の 瀬渡る度 神祈るんや》
―柿本人麻呂歌集―(巻十二・三一二八)
桜花 咲きかも散ると 見るまでに 誰れかも此処に 見えて散り行く
《桜花 咲いてすぐ散る 人も皆 来たと思ても すぐ散ってくで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十二・三一二九)
豊国の 企救の浜松 ねもころに 何しか妹に 相言ひ初めけむ
《今になり こんなに恋苦し 思うなら 何で声なぞ 掛け合たんやろ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十二・三一三〇)
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