■日めくり万葉集Vol・２（102)難波人

ＮＨＫ教育ＴＶで「日めくり万葉集」第２弾が始まりました。
平日の午前中ということで　勤めの方は　見る機会に恵まれません。
また　見落とされた方も　居られるやも知れません。
そこで　ここで取り上げて　訳し・「みじかものがたり」を　掲載したく思います。
ご覧下さい。

【八月十六日】放映分
難波なには人ひと　葦火あしひ焚たく屋やの　煤すしてあれど　己おのが妻こそ　常つねめづらしき
《葦火あしび焚たく　小屋煤すすけてる　わしの妻　煤すすけ古いが　まだ若々し》【寄物陳思】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二六五一）


【万葉歌みじかものがたり】《童言わらはごとする》

糟糠そうこう妻が　愛いとして可愛い
長ながの年月　過ごしはしたが
こぼす笑顔が　初々ういういしいて
わし　の人生　満足限り

紅くれなゐの　八入やしほの衣ころも　朝あさな朝さな　馴れはすれども　いやめづらしも
《紅あか色いろの　重かさね染め衣ふく　朝晩に　着き馴なれたけども　まだ新しで》
（朝晩に　馴なれ親したしんだ　お前やが　変わり為せんとに　初々ういういしいで）【寄物陳思】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二六二三）
　　
難波なには人ひと　葦火あしひ焚たく屋やの　煤すしてあれど　己おのが妻こそ　常つねめづらしき
《葦火あしび焚たく　小屋煤すすけてる　わしの妻　煤すすけ古いが　まだ若々し》【寄物陳思】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二六五一）

老いて　恋する　恥ずかし言うが
成るか成らんか　二の次措おいて
気持ち　若うて　元気な証拠
あやかりしたい　羨うらやましいで

あづきなく　何の狂言たはこと　今さらに　童言わらはごとする　老人おいひとにして
《この老齢としで　子供じみてる　戯言たわごとを　今更いまさら言ゆうか　ええあほらしい》【正述心緒】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二五八二）
　　
朝露の　消けやすき我あが身　老いぬとも　また若をちかへり　君をし待たむ
《幾いくばくの　残のこる命いのちか　分わからんが　若わこに戻もどって　あんた待まとかな》【寄物陳思】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二六八九）
　　
昔に待った　あの人来こんわ
共寝ともねした人　もう逢われへん
一緒共寝ねる夜が　無のうなり久し
別れしたのか　亡のうなったのか

夕ゆふされば　君来きまさむと　待ちし夜よの　なごりぞ今も　寝いねかてにする
《日暮ひぐれには　あんた来るかと　待ったんが　今も癖くせなり　寝付ねつけんままや》【正述心緒】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二五八八）
　　
今さらに　君が手枕たまくら　まき寝ねめや　我が紐ひもの緒をの　解とけつつもとな
《もうあんた　共とも寝ねすること　無ないのんに　うちの下紐　解ほどけてならん》【正述心緒】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二六一一）
　　
敷栲しきたへの　枕をまきて　妹いもと我あれと　寝ぬる夜よはなくて　年ぞ経へにける
《お前まえわし　一緒いっしょ寝る夜よが　無ないままに　年月長なごに　経たって仕舞しもたで》【正述心緒】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―作者未詳―（巻十一・二六一五）


――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら　あなたも　訳せますよ。
＜訳してみよう万葉集＞へ

【万葉歌みじか物語】はこちら



＜万葉歌みじかものがたり＞へ



■リンク先