犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(028)去年の春

2011年07月09日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【五月四日】放映分

去年こぞの春 へりし君に ひにてし 桜の花は 迎へけらしも

 《去年きょねん春 うたあんたを 恋いしたい 迎え咲いたで 桜の花が》
                          作者未詳―(巻八・一四三〇)



【万葉歌みじかものがたり】《にほひはもあなに》
寒さこらえて つつましに咲く
梅花うめに続いて 春いろどるは
ぱっと咲く花 爛漫らんまん
染まる 色香に 浮き立つ心

うちなびく 春きたるらし 山のの とほ木末こぬれの 咲きゆく見れば
《春さかり てるようやで 山間やまあいの 遠く咲く桜花はな 日々ひびえてくで》
                         ―尾張連おわりのむらじ―(巻八・一四二二)
春山の 咲きのををりに 春菜はるな摘む 妹がしらひも 見らくしよしも
春山はるやまの 桜花はなく下で む児 白紐ひも光ってる あぁはるなんや》 
                         ―尾張連おわりのむらじ―(巻八・一四二一)

若宮年魚麻呂わかみやのあゆまろ 口誦こうしょう歌】
娘子をとめらが 插頭かざしのために 風流士みやびをの かづらのためと 敷きませる 国のはたてに 咲きにける 桜の花の にほひはもあなに 
娘子おとめこぞって 髪にす 伊達だてな男が かづらする このもとの 国中くになかに ち咲く花の さくらばな そのえの 見事みごとなことよ》 
                          作者未詳―(巻八・一四二九)
去年こぞの春 へりし君に ひにてし 桜の花は 迎へけらしも
去年きょねん春 うたあんたを 恋いしたい 迎え咲いたで 桜の花が》
                          作者未詳―(巻八・一四三〇)

春雨はるさめの しくしく降るに 高円たかまとの 山の桜は いかにかあるらむ
《春の雨 しきり降ってる 高円たかまどの 桜散らんと まだ有るやろか》
                         ―河辺東人かわべのあずまひと―(巻八・一四四〇)
沫雪あわゆきか はだれに降ると 見るまでに 流らへ散るは 何の花ぞも
沫雪あわゆきが はらはらると 見えるに 吹き散るのんは なんの花やろ》
                         ―駿河釆女するがのうねめ―(巻八・一四二〇)

ぬるむ川辺に 山吹咲いて
 馬酔木あしび花房 たわわと垂れる)

かはづ鳴く 神奈備かむなび川に 影見えて 今か咲くらむ 山吹の花
《今頃は 河鹿かじか鳴く川 神奈備川かんなびに 山吹花やまぶきかげを うつしてるかな》
                         ―厚見王あつみのおおきみ―(巻八・一四三五)
押し照る 難波なにはを過ぎて うちなびく 草香くさかの山を ゆふれに 我が越えれば 山もに 咲ける馬酔木あしびの 悪しからぬ 君をいつしか きて早見む
難波なにわぃを 通り過ぎ 草香くさかの山を 夕暮ゆうぐれに わしが越えよと 来たときに 山道やまみちおおい 咲く馬酔木あしび かんとしたう あのかたに そのうちはよう 逢いたいもんや》
                          作者未詳―(巻八・一四二八)
                            馬酔木=あしび→悪<あ>)


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