神園良輔の『マンション展望』

安全、安心、そして快適なマンションに・・・

新しいものが大好き!!

2010年12月31日 | 社会
文化と言葉は密接な関係にあります。肉食文化の欧米では、肉の部位と調理法に関する言葉がふんだんにありますね。一方、日本語は、魚を生で食べるせいか、新しさ・鮮度を表す言葉が豊かです。

「新」がつく熟語は言うに及ばず、「まっさら」、「取れたて」のような「~たて」…。それに「ピッカピカ」「ピン札」…といった俗語まで含めると膨大な数になります。加えて、新しいものを使い始める「下ろす」、初物に対する「ご祝儀」など関連する語句まで挙げたらきりがありません――。

だから、「袖を通した服をよそ様に差し上げるのは失礼だ」「新婚生活は新築のマンションで」…という発想につながるのでしょう。

為政者と民は別?

2010年12月30日 | 社会
日本人は、民主政治に向いていないかもしれません。

何年も前ですが、糸井重里がラジオで「民は政(まつりごと)に口を出さず、日々の暮らしに勤しめばよい」と述べていました。国民主権をないがしろにした時代錯誤の発言…と怒りを覚えましたが、昨今の事情を踏まえると、「これはこれでありかも…」と理解できるようになりました。

アジアでは、長い間、為政者と民とは分離していました。この体制は、民意を政治に反映することは難しいものの、政局が混乱にあっても心の平穏を保つことができるというメリットもあります。

マンションも同様かもしれません。「管理会社に任せておけばいい」と自己の世界に閉じこもっていれば、とりあえず心の平穏は確保できますからね。

「適正価格」はない!?

2010年12月29日 | 管理組合の実力up
この業界の特徴として価格帯の広さを挙げることができます。

よくある質問に「○○の相場はいくらですか」「○○を直すのにどのくらいかかりますか」…と価格に関するものがあります。

これに対する答えはありません。価格は、施主と施工者、売り手と買い手…当事者間の“力関係”で決まるからです。

ですから、管理委託費も修繕費も管理組合の実力次第でかなりの幅が生じるといえます。

一夜明ければ…

2010年12月26日 | 社会
昨夜のラジオ番組、ゲストが「クリスマスらしく、次はこの曲をかけましょう」と提案すると、「もうクリスマスは終わりましたけど…」とアナウンサーが水を差しました。わずか数時間でクリスマス気分が抜けるとは――変わり身の速さは驚異的。

欧米では、1月の初めまでクリスマス飾りはそのままにして余韻を味わうのだとか。
クリスマスに限らず、祭り・イベントの翌日にさっさと片付けてしまう日本人の変わり身の速さに外国人は驚きます。

あっさり捨て去る、忘れ去る…は日本人の得意技。これも無常観の表れでしょうか。
「スクラップ&ビルド」という住宅・建設“文化”にも通じるように思います。

正月飾りをきっかけに…

2010年12月25日 | 管理組合の実力up
講演で申し上げたように、小道具は防犯に効きます。また、小道具は会話のきっかけになるので、コミュニティ形成にも役立ちます。

小道具になりうるものに風物詩があります。季節の行事に関係するアイテムを飾り付けるのです。

とはいえ、やったことがないマンションの場合、きっかけをつかむのが難しいかもしれません。
例えば、ハロウィーンのように、まだ日本に定着したとはいえないものだと、違和感を与えたり、押し付けがましくなり、印象が悪くなるかもしれません。

でも、正月飾りなら大丈夫。古来からの伝統行事で、風物詩の代表格ですから。無理なく、自然な感じで始められます。

関連記事;
「クリスマスの飾りつけで防犯!?」(当ブログ)

明暦の大火がきっかけ!?

2010年12月22日 | 社会
内田青蔵氏(建築学・神奈川大学教授)が「江戸時代の長屋が安普請だったのは、火災が多かったから」と説いていました。「どうせ燃えちゃうから」と住宅の“性能”に関心を持たなかったでしょう。過密都市:江戸ならではの傾向です。

これは、“明暦の大火”が契機になっていると思います。江戸時代初期に建てられた前田藩の上屋敷(現東京大学の本郷キャンパス)、贅を尽くした造りだったのが、大火の後に建替えられたものは、豪華ではなかったといいます。

江戸中を燃えつくした大火は、人々の価値観を大きく変えてしまったのかも…。

速やかに耐震改修を

2010年12月22日 | 管理組合の実力up
1981年前に建てられたマンションは耐震力が弱いので、耐震改修が必要と言われています。ところが、耐震改修はいっこうに進みません。原因の一つは、診断に費用がかかるからでしょう。

ならば、診断を省略してただちに耐震改修に取り掛かってはどうでしょうか。優れたコンサルタントであれば、目視だけで改修ポイントを見抜くことができます。

完璧な工事はできないかもしれません。でも、60%でも70%でも性能がアップすれば、住民の安全は確保できるといえます。

日本は災害列島。特に、地震によるダメージは、先の阪神大震災などで誰もが知っているはず。四の五の言わず取り掛かった方がよろしいかと…。

男はオプションに弱い

2010年12月21日 | 管理組合の実力up
男だって買い物がヘタです。女性がムードに流されるなら、男は、オプションに騙される。基本性能より「オマケ」的な存在のオプションに目を奪われることもしばしば。

あるマンションで管理会社をリプレイスすることになりました。ヒアリングの場面です。弁舌爽やかな営業担当によって会社紹介の始まり。ところが肝心の管理委託業務の説明はそこそこにオプション契約である“専有部分のサービス”にシフト――ヒアリングのはずが一方的なプレゼンテーションに。

結局、「これは便利」と役員たちの心をつかんだのでした。

関連記事;
「素人ヒヤリングの限界?」(当ブログ)

ムードに流されるな

2010年12月20日 | マンション選び
非難を覚悟して、あえて申し上げます;女性は「大きな買い物」がヘタ。日常の買い物では1円でも安いものを求めてかけまわるのに、車や住宅…といった高額商品の買い物となると、“本質”とは無関係の要素が決め手となります。「デザインがいい」「モデルルームの雰囲気がよかった」「担当者が誠実そうだった」と。

どの市場にも“ハズレ”“ババ”…は存在します。特に不動産業界は、海千山千、魑魅魍魎が跋扈する妖怪の世界でもあります。物件をしっかり見極めましょう。

関連記事;
「御徒町よりデパート?」(当ブログ)

御徒町よりデパート?

2010年12月20日 | その他
日本人は、ショッピングにおいてムードを大切にする傾向にあります。

あるカップルの話。結婚を控えて指輪を買いに出かけたそうな。
男性が知り合いが勤める御徒町の専門店に彼女を連れて行ったところ、そっけない作りの店舗でのショッピングに彼女はご機嫌斜め。

「デパートに行きたかったのにぃ」という彼女に、「デパートより安く、高品質な指輪をゲットできるから」――と説得しても、聞き入れてもらえませんでした。

天窓事故の原因は…

2010年12月19日 | 危機管理・リスク管理
後掲記事は、続発した天窓事故の原因を伝えています。どうやら、「トランポリンごっこ」していたようです。

アーチ状の天窓には、ある程度の“強度”があります。その弾力を楽しむために飛び跳ねていたのでしょうね。

少子化のためか、幼いころから親の手厚い庇護のもとで育った現代っ子。危険に対する感覚が鈍いようです。この場合、高さが持つ危険に鈍感になっている。高層の建物に住むこと・学ぶことが、そうさせてしまうのかもしれません。

関連記事;
「天窓上で跳ぶと加重10倍に」(NHKニュース)

過敏な人はマンションを買うな!?

2010年12月15日 | 騒音トラブル
音に神経質な人は、マンションを買わない方がよいでしょう。隣人を選べないからです。

あるキャリアウーマンが、「新幹線を利用する際、指定席ではなく、自由席を選ぶ」と言ってました。経費の問題ではなく、自由に移動できるからです。たしかに、旅の快適度は隣席の人に左右されます。乗車と同時に酒を呑む人、新聞を大きく広げる人、果ては靴を脱ぐ人…そんな乗客だと大迷惑。

住まいも同様。青田買いのマンションは“指定席”、賃貸マンションは“自由席”に例えることができます。「こんなはずじゃなかった」と後悔しても、分譲では移動もままなりません。

資力があれば、隣接住戸もまとめて買い、家族か静かな人だけに貸す…という手だてもありますが

「納得」が大切

2010年12月15日 | マンション選び
これまでマンション選び・物件探しに関して私見を述べてきました。しかし、全てのユーザーに私の意見に従えと申しているのではありません。

要は、物件の特質を理解する――それがマンション選びのポイントです。完璧なマンションはありません。納得することが大事なのです。

後掲書は、「自分なりに優先順位をつけて決断したことであれば、狭い家でも納得して暮らせます」と住まい選びにも言及しています。
筆者は収納・片付けの達人として有名ですが、本書を読むと、「暮らし力」を高めるには、物の整理だけでなく、心の整理も大切と気づきます。

『「暮らし力」がなくなる日―暮らしのプロが訴える日本の家庭の危機 』近藤典子(主婦の友新書)

私なら買わない(34)~オートロックのマンション

2010年12月13日 | マンション選び
オートロックも「困る設備」といえます。

昔のマンションは基本的な造りさえ備えていれば、売れました。“タマ不足”の状態だったからです。
でも、バブル経済後は供給過多になってしまい、どのマンションも差別化を図るために豪華さを競うようになりました。いきおい付帯設備の有無がセールスポイントになります。オートロックもその一つ。

オートロックがあるからといって防犯力が高まるわけではありません。裏の自転車置き場から簡単に侵入できる――そんなマンションが多いこと。

仮に、軍事施設並みに完璧にすると、人格形成に悪影響が出ます。周辺と隔絶された空間で暮らすと、子どもに社会性を身に付けさせることが難しくなります。また、外出がおっくうになるになり老化が早まります。

関連;
「どうする?新聞の宅配」当ブログ


『ゲーテッド・コミュニティ―米国の要塞都市』 竹井隆人訳

飛行船はバブル経済の象徴?

2010年12月12日 | その他
ベランダでプランタを整理していた時、何か「気配」を感じて空を見上げました。

そこには、飛行船が浮かんでいました(写真)。久しぶりの飛行船。バブル景気の頃は宣伝媒体として盛んに利用されましたっけ。

振り返れば、昭和60年か61年頃から突然不動産が高騰してバブル経済に突入。マンションもそのあおりを受けてどんどん「バブリー」に…。御影石,タイル貼り,オートロック…とぜい肉だらけになっていくのでした。