村井氏がマンションでの空き室率の増加が孕む(はらむ)問題を指摘されています(下記記事)。
全国で空き室率は高まっているようですが、実際の数字は分かりません。供給過多の傾向が続いていることからすれば、増加は間違いないと想像できるのですが…。
空き室率に限らず、マンションの実態を示すデータはありません。こういうと「マンション総合調査」があるだろう、とツッコミが来るでしょう。しかし、あれは、実態を示したとはとうていいえない代物(しろもの)です。2,500の管理組合に配り、1,058の管理組合から郵送で寄せられた回答を基にデータ処理されたものです。42.3%という回収率の低さも否定的に評価する原因ですが、問題は、回答者の質です。
配布先はマンション管理センターなどに加盟している管理組合で、もともとレベルの高い管理が行われているマンションです。また、わざわざ自分たちで回答事項を検討し、記入したものを郵送で送り返すくらいですから、回答者は管理に対する関心が高い管理組合だけなのです。いうなれば、「優等生だけの学力調査」「健康な人だけを検体とした健康診断」であり、国交省のいう「管理の実態を把握するため」という調査目標からはほど遠いのです。
約1万あるといわれる管理組合。管理に問題があるのは、アンケートに答えることができない。残りの管理組合なのです。意思決定能力もなければ、「アンケート回答能力」もない--そういうマンションこそ「重病の患者」「スラム化予備軍」なのです。それを把握していない「マンション総合調査」は実態とほど遠いと評価せざるをえない。
マンションの実態調査は、回答を待つのではなく、調査者が出向いて情報収集すべきだと思います。もちろん、全マンションの調査は無理でしょう。「サンプリング」でいいですから、信頼に値する調査をすべきではないでしょうか。
といいながら、大失敗の「みらいネット」を見直すことをしないマンション管理センターに地に足を付けたフィールドワークを期待するのは無理かも…(^^;
ちなみに、自宅マンションでの空き室率は、低下しています(10.2%が4.3%に)。都心回帰の傾向と改修で住み心地が改善されたことが幸いしているようです。住民の数が大幅に増え賑やかになりました。
村井氏のブログ:
新しい住宅が建たなくなったというニュースの怖い連想:暗い窓ばかりのマンションが思い浮かぶ・・