万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

出山図(しゅっさんず)

2008年12月11日 | Weblog
 詳しくは「釋迦出山図」(しゃかしゅっさんのず)と申します。
釋迦八相と云われて釈尊伝で重要なことがらを八事相を挙げて讃嘆
されて来ました。インドに今なお現存していますお釈迦さまのお舎
利を納めたストーパの欄楯などにこの釋迦八相がよく石彫されてい
ます。しかしこの「釋迦出山」の事は八相の中には入っていません
から、インド仏教にはその彫刻や絵図を見ることはなくて、中国そ
して日本の仏教理解において釈尊の「出山」がより重視されて来たの
でしょう、中国や日本では「釋迦出山図」がよく画かれています。 
 「出山」とはインド古来の難行や禅定の諸師から決別することを
意味していること、これら絵図に画かれている釈尊の諸師からの決別
は「大いなる孤独」であり、これ以上ないような、いのちの「テンシ
ョンの高まり」を伺い知れるのです。この「大いなる孤独」は数日後
の釈尊の「大いなるさとり」(成道)へと展開して行くことに連がっ
ていることを予期させています。個の完成と云うことからみてどうし
ても通過せねばならない門としても「出山」が受け止められて来たよ
うに思います。
 12月8日の成道会(じょうどうえ)を少し過ぎましたが、今年の
臘八は釈尊の「出山」について考えるご縁をいただきました。

 画像の「釋迦出山」の軸は、当山所蔵のもので落款印に「守信」の
瓢箪印が押されています。そのまま信ずれば狩野探幽守信の筆になる
のですが、まア真贋の程は不明なので「伝守信筆」としていた方が無
難でしょう。私としては釈尊の「出山」に深い意味があると考えてい
ます。

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