万福寺 大三島のつれづれ

瀬戸内・大三島 万福寺の日記です。
大三島の自然の移ろいと日々の島での生活を綴ります。

7月の法語

2010年07月05日 | Weblog
 思わぬままに今年も半年が過ぎ去っています。無常迅速(むじょうじんそく)として移り行き一刻として容赦してくれることはありません。
 7月の法語カレンダーのおことばは親鸞聖人のご撰述『尊号真像銘文』(そんごうしんぞうめいもん)から選ばれてあります。

 信心をうれば 暁になるがごとし

 『尊号真像銘文』と云うご著書は親鸞聖人がご門徒に書き与えられたご本尊としての「名号」(六字、九字、十字などのお名号)の上下にお聖教からご文を書き加えられ、お名号のおはたらきがより受け取れるようにされていますが、そのご文について解説、解釈をほどこしておられるご撰述が『尊号真像銘文』です。本末2巻に13種21文(広本)を読ませていただけます。

 カレンダーのご文のヶ所を掲げておきます。

 摂取心光常照護(せっしゅしんこうじょうしょうご 正信偈)といふは、信心をえたるひとをば、無碍光仏(むげこうぶつ)の心光(しんこう)つねに照らし護りたまふゆゑに、無明の闇はれ、生死(しょうじ)のながき夜すでに暁になりぬとしるべしとなり。已能雖破無明闇(いのうすいはむみょうあん 正信偈)といふは、このこころなり、信心をうれば暁になるがごとしとしるべし。   (注釈判聖典P672)

 と懇切に懇切にお述べくださってあります。
 如来さまのやるせないお心に遇わせていただくと云うこと、お念仏を申させていただくそのままが如来さまの私を呼ばれるみ声を聞くままが、長き闇夜をさまよい来た暗澹たる心に白々と光りがさして来ることを明らかに示して下さってあります。

 徳力さんの版画の絵図は親鸞聖人のご家族が越後より関東へ向かわれる途次、上野国佐貫(現、群馬県板倉町佐貫)辺りに逗留された時、聖人が病に伏せられたことが恵信尼さま(お裏方)のお手紙に述べられている情景が顕されています。この時の病床、高熱の中でのご体験は聖人のその後のお念仏生活を決定ずけるものであったように伺えます。
  高熱の夢中に自信教人信難中転更難(自ら信じ、人を教へて信ぜしむること、難きがなかにうたたまた難し 礼讃)の善導大師のお言葉の啓示を受けられたことを恵信尼さまは末女覚信尼さま宛お手紙に記し伝えておられます。
 
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