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SOK 「坊やはママゴトしに帰れ」

2018-07-10 21:48:15 | 日記
4-2 黒武ころも 
「坊やはママゴトしに帰れ」




ああ、ほら・・・揺勢君がちょうどいい例じゃない。


・・・・え?
・・・あたし、別に隠してないけど。
クリスマスイヴも、揺勢君といたし・・・



何?何?何!?そんなに驚くこと??
待って、待って!
ひなさんとは とっくに話がついてるし。そうでなければ、ここには来ないでしょう。
ゆうか、ちょっと一旦 落ち着いて。
あんた声でかいんだから もう。。。

ちょっと一本吸っていい?表に出よ。












どう?落ち着いた?
・・・知らなかったのね。
だったら驚くのも無理ないか。



あたしもデザイナーとして世間に認知されてきたし、そこそこ成功も収めてるから、たま~にテレビ局からお呼びが掛かることもあってね。
そうそう、あなたの大嫌いなテレビね。
あたしがバラエティで呼ばれるときは、たいてい
「豪邸を撮らせてください」か、「奔放な恋愛について語ってください」
このどちらかね。
テレビは たま~に出るっていうのがコツ。
露出が多いと飽きられちゃうし、出なさすぎても忘れられちゃうから。
上手に使えば、すごく使えるツールなのに。
ま、嫌いならいいけど。


揺勢君はね~、テレビ局で会ったとき「なんか知ってるぞ この人!」と思って。
バラエティに ちょこちょこ出始めてたから 顔くらいは知ってたの、揺勢君の。
で、そこで あたしから声かけたのが始まり。

彼に彼女がいるかどうか?
・・・別に?興味ないし。どうでもいいから。そういうの。
その代わり、そちらも あたしに何人恋人がいて、そのうちの何番目かは聞いてこないでねっていうルール?

ああ。こういう話聞いたら、かなでちゃんみたいな子は ひっくり返っちゃうね。
良い子は早めに帰って正解だったね。



あたしの方から揺勢君に根掘り葉掘り聞くってことは まずないわね。
一緒にいる時間さえ楽しければそれでいいし。
揺勢君のほうは 良くも悪くも正直な子だから、思ったことポロっと出しちゃうのよ。
あたし以外にも誰か一人いるってことも、こっちからはバレバレ。
逆に、あたしが付き合ってる他の男達の存在を知っても、その人達と張り合おうって気はなさそうだった。
あんまり欲のない性格なんでしょうね。
でも、あたしは そういうタイプの男って・・・つま~んなくなっちゃうんだよね。


あるとき揺勢君からメールで「イライラしたから会いたい」って言われて、あ、これはもう いよいよアウトだなと。
もう会わないとしても、一応 話だけは聞いてあげようと思って、直接ね。
だけど部屋には上げなかったわ。

そりゃあね、こっちだって5股はかけてるけど、一緒にいるときは精一杯 意識を相手に向けてるの。
あたしは あたしなりのポリシーを持って、あたしなりのやり方で彼に愛情注いできたつもりだったから。
なのに、「イライラしたから会いたい」って。
それは ちょっと おかしいんじゃない?って最後に一言いってやりたかったし。



こっちが別れ話をするつもりだなんて向こうは気づいてないから、あたしんちの駐車場で彼女の愚痴をあれこれと。。。
頼んでもないのに、ひなさんとの なれそめから語り始めちゃって。
彼が同棲してるってのも知らなくて、そこで初めて知った。
ってことはさ、考えてみたら、同棲してるのに 他の女と遊んで帰ってるわけだから、彼女にはバレバレよね。
しかも揺勢君が転がり込んだ家は、彼女が一人で暮らすマンションとかじゃなくて、彼女の亡くなったご両親が建てた家だっていうのも分かって。
あたしが男なら絶対にやらないなぁ、そんなこと。
自分のプライドが許さないし、絶対 負い目を感じちゃうじゃない。

「訳のわからない生活してないで、彼女の家を出た方が身のためよ。
ただし、うちには来ないでね」
って あたしからはアドバイスしてあげた。


彼のことよりも 気になったのは彼女の方よ。
だって同棲してる彼氏がちょこちょこ帰ってこなくなってるにも関わらず、
それでも彼女の方は、献身的に洗濯してくれてるし、遅く帰っても ご飯がちゃんと作ってあったりするって聞いて。
「そういうのを見ちゃうと、家を出ることができないんだ」とか揺勢君は のたまっててさ・・・。
は!?その状況で一体何の文句を言っとるんだ!?と。

もうバッカバカしくて聞いてられなかったから、坊やはママゴトしに帰れって言ってやった。
ハハハハハ



ま、そういう いきさつで揺勢君とは それっきりの関係。
ただもう、相手の女性のことは頭から離れなくなっちゃって。何かひっかかったというか。
気になった女性には一目 会ってみたいわけよ。
その「ひな」って子は一体どんな女性なのか、好奇心が爆発しちゃった。
向こうにしてみれば憎き恋敵だから、会いたくもなかったんでしょうけど。

あたしは これまで女性のために服を作ってきたんだもの。
何か感じる女性には単純に会ってみたいの。
そういう女に出会うと、それだけでアイデアが膨らむ勢いが全っ然ちがうんだから。
写真とか映像で見てもダメ。
それは会ってこそ得られるものでね。
その人の持ってる間とか、空気感、声の出し方、目線の送り方、その全てを五感で知りたいの!

揺勢君に「会わせて」って言ったけど、当然ノーっていうよね。
だから、自分から会いに行くことにしたのよ。
それが、ここの二階。
つまり、ひなさんと としみさんが2人で新しく借りた部屋にね。



実際 訪ねてみたら、そこで思わぬ事態に遭遇。
むしろ あたしからすると、それがあったおかげで話しかけやすくなったんだけどね。
そこの階段をトントントンて上がると、ガラスの扉があるでしょ?
女の人の後ろ姿が見えて、「あ たぶん、あれがひなさんだな」って。

鍵もかかってなかったから
「ごめんください」
ってそのまま入ってっちゃった。

ひなさんが振り返ったら、なんと その向こうに男の人が座ってたの。
おや~?と思って。




その男の人ね、今日のイベントにも来てたわよ。
丸顔で小太りの。スーツ着てた人なんて あの人しかいなかったから、ゆうかも覚えてないかしら?
いつもニコニコしてて、キビキビ挨拶する すごく感じの良い人よ。

ほら、ここの二階って、道路に面してる側はガラス張りで、外から丸見えの構造になってるでしょ。
もともとは美容室にするために ここのオーナーさんが建てたらしいんだけど。
あたしはここの場所だけ確認して、中に人がいるとか あんまり見ないで階段上がって来ちゃったから
・・・まずいことしたかなと思って。
まさか 男の人と2人きりでいるなんて想像してなかったし。

ひなさんは、明らかにあたしのこと知ってるんだろうなってリアクションだった。
あれ?黒武ころもじゃない?って顔に書いてあったもん。
とはいえ初対面だから 形式的に「どちらさまですか?」って聞いてくるよね。
そこでちょっと困った。
いきなり揺勢君の名前を出すのもおかしい気がしたし。
とりあえずデザイナー兼実業家の黒武ですって名乗った。
ひなさん、「やっぱりそうですか!」って結構驚いてた。


男の人は、私が部屋に入った時点で、パッと立ち上がってたんだけど、
あたしたちが込み入った話をしそうな雰囲気になったから、
「僕、これで失礼します!」
って、てるてる坊主みたいな格好のまま、慌てて帰ろうとしたのよ。
しかも、明らかに何か髪をセットしてる途中で、頭半分だけ髪が逆立ってるし。
そのまま外に出たらどう考えてもおかしなことになるでしょ。

いやいやいやいや!
その格好はダメでしょって2人で止めて、どうにか てるてる坊主は脱いでもらったんだけど、そのときも中はスーツ着てたの。
髪の毛半分逆立てたまま、慌てて鞄持って出て行っちゃった。
急に押しかけたせいで、彼には なんだか申し訳ないことしちゃったけど、
彼が中にいてくれたおかげで、部屋に入るきっかけが作れたのよね。
慌てて出たきり、その日は もう戻ってこなかったわ。



そのあとは、とりあえず ひなさんがお茶を用意してくれて。
一息ついたところで、スーツの彼は ここの部屋を紹介してくれた仲介業者の人だって教えてくれた。
そうなると、今度は なんで彼の髪いじってたのか気になるじゃない?
ひなさんが言うには、彼の方から協力を申し出てくれたんだって。
部屋探しの時点で、条件とか色々と仲介の人には相談するでしょ。
カメラマンの友人が大きな仕事を引き受けて 自分も手伝うことになったから、そのために借りたいってことも伝えたらしいの。
ひなさん、ちょっとだけ仕事から離れてたから、不安があるんだってポロっと漏らしたことがあって。
仲介の人は、その一言をちゃんと覚えててくれてたんだってね。
鍵の引き渡しのときに「自分でよければいつでも実験台になりますんで声かけてください」って。




・・・なるほどな~って。
彼の態度とか見てて・・・もう、どう考えてもひなさんに惚れてるなってわかった。
仕事の休憩がてら フラッと抜けてきたわけじゃないのよ?
休みの日なのに、ひなさんのためにスーツ着て髪のモデルやりに来たの。
にもかかわらず、あたしが現れた途端に即退場!
ひなさんの邪魔にならないように、ほんの少しでもいいから、何か役に立ちたかったんじゃないかしら。

あんまりにも健気だから「彼のことはどう思ってるの?」ってひなさんに確認したわ。
そしたら「どう思ってる?・・・って?」って。
全然ピンときてないの!
ひなさんて結構・・・鈍感なのねぇ・・・。

「彼の方はあなたのこと好きみたいじゃない?」って聞いたら、
「え!!」って飛び上がるほどびっくりしてた。
「私は・・・お付き合いしてる人もいますし、同棲もしてるので、他の人のことは考えたこともありません」って。



その時点では、あたしが何しにここへ来たのか ひなさんも把握してないもんだから まだまだ警戒されたのよね。
表情も堅いままだし、どこまで本音なのか掴めないっていうか。
そういえば、要件をまだ話してなかったわ!って思い出して。

で、揺勢君のことをそこで話したの。
ついこないだまでは2人で会ってましたけど、今後はもう そういうことはなくなりますって。

ひなさん一瞬、無言になって動きが止まってたけど、自分の中の色んなことが全部 繋がったんでしょうね。
「ああっ!!」って、テーブルの隅 見ながら叫んで、
今度は眉をしかめて窓の方を見て「ああ!」って叫んで、
最後は 手を顔を覆いながらソファーにもたれて「ああ~・・・」って脱力してた。

やっと感情をあらわにしてくれたけど、顔を覆ったままぐったりしてるから
「いきなり驚かせてごめんなさい。・・・大丈夫?」って恐る恐る聞いてみたの。
そしたら、やっぱり手で顔を覆ったまま
「黒武さん・・・ちなみに揺勢は、あなたの何番目の彼氏だったんですか?」
って聞いてきたから
「ごめんね、ぶっちゃけ5人中の5番目!」
って素直に答えた。

そしたら今度はソファーにつっぷして「ですよね~」って。
顔上げた時に若干涙が滲んでたけど、いろいろ納得できたみたいで表情が緩くなってた。
無言で何度もうなずいて、「よく分かりました」って。

「あいつ・・・バカ!
私もバカ!


・・・でもあなたもバカ!」

っていう謎の名言を残してた。

でも、バカってはっきり言ってくれたおかげで、あたしもなんか楽になった。
色んなものとっぱらって、ただの女同士として話せるようになったから。

ジャンル:
小説
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