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SOK 「ミュージカル女優のトップに立つ人間」

2018-06-29 21:45:04 | 日記
3-2 白西ゆうか 
「ミュージカル女優のトップに立つ人間」





あれ?なんか思わぬ方向 行っちゃった?
だって、かなではいつも自信なさげに背中丸めて歩いてるから~。
ゆうかなんて背が低いから、宝塚の試験すら受けられないんだよ?
かなでの方が、ゆうかから見ればうらやましい。
かなでは背が高いのがコンプレックスかもしれないけど、身長があると存在感とか説得力が増すってこともあるんだからね。

だいたい、世の中 背中丸めて隅っこ歩いてほしい人なんて、他にいくらでもいる。
そういうやつに限って、実際はふてぶてしくも道の真ん中歩いてたりするんだよね。
かなでは堂々としてればいいの。


ああ、そうだ!
あの子が良いお手本じゃない?
あの子なんて、地球のことなんっにも知らずに降り立って、「まぁなんとかなるっしょ」って顔してる。
好奇心だけに突き動かされてるから、人に対しても何に対しても 変な先入観持ってないし。
怖いものを知らないって、ある意味最強だよね。
でも、あのノリで地球で生きてくのってどうなんだろうなぁ?




え?出会い?話してなかったっけ?
あれは・・・確か、白西ゆうか二度目の人生の壁が訪れたときだな。

劇団の経費がなくなったの。みんなのお金ね。
よくわからないけど、なぜか ゆうかのせいにされて。
あれは・・・ショックだったぁ・・・。

ゆうかだってね、自分が周りからどう思われてるかくらい自覚してる。
日本て特に、女性は一歩さがっていないと叩かれる風潮があるでしょ。
自己主張をハッキリしすぎて、劇団にいられなくなったことなんて一度や二度じゃないの。
だから劇団〝キンモクセイ〟は、ゆうかがやっと見つけた居場所だった。
主張はするけど、その代わり みんなの空気が暗くなったときは明るく盛り上げるようにしてたし。
あとはなんだろ。ゴミ出しとか?みんなが嫌がるようなことは進んでやってたし。
それが・・・まさか泥棒扱いだなんて・・・。


流石にピンチだった。
だからって、いじけてばかりもいられないでしょ。
ミュージカル女優として、いつチャンスが訪れてもいいようにしておきたいから、ひたすら地味に自己トレしてた。
発声だったり、体力づくりだったり。

一人でできることもあるけど、お芝居って生き物だから。
相手の演者の息遣いとか、ちょっとした仕種の違いで、こちらの演技も変わってくるものなんだけど・・・
相手がいないってことは、それを全部自分の想像でやるしかない。
もちろん、どんなパターンがきてもいいようにシミュレーションはするけど、限界ってあるよね。
何より、どんなに稽古をしても、その役に戻れるっていう保証がないから、その不安は常にあったし。


一旦、休憩をしようと思って鍋に火をかけたの。
いつだったか、劇団のみんながうちに遊びにきた時に、この一人用の鍋使って鍋パーティーやったなぁ・・・
こんな大きさじゃ、人数分煮て食べるのに順番待ちしなきゃいけないじゃん!なんてブーブー言われたっけ・・・
なんて思い出してたら、まーびっくり!!
目の前のガラスに張り付いた顔!

あんな見事なブタッ鼻は初めて見たわ。
しかも女の子で!
プラス、カモノハシって!!





「いいにおいがしたから来た」っていうの。あの子。
まだ、出汁しか入れてなかったのに。

不思議ね。
ゆうか 話し相手が欲しかったから、部屋に入れちゃったんだ。
チョーあやしい人たちなのにね。


ところが、あの日はなんだか食欲がわかなくて。
ゆうか特製の野菜たっぷり白湯鍋。
ゆうかの分も、あの子とカモノハシで ぺろっと平らげてた。
つみればっかり食べるなって、途中でちょっとケンカになってて
「カモちゃんてば、丸いものばっかり食べるんだよ」って、ゆうかに訴えてきてさ。
ゆうかに言われても知らんがなって思った。



二人して なんだかあんまりにもノーテンキだったから・・・なんか・・・な~んか むかついてきてさ。
二人?
一人と一匹?まぁなんでもいいんだけど。
人の気も知らないで。



「ずいぶんとお気楽な人たちなのね。どうせ悩みなんてないんでしょう?」
って、ちょっとイラつきながら聞いたの。
あの子は
「悩みくらいあるよ~?年頃の女子ですもの。あなたも好きな人とかいないの?」
って言ってた。
笑っちゃう。
いきなり人んちに侵入してきて、主の分まで食べちゃう図々しい人が 恋煩いだって。
言ってやったのよ、あの子に。
「ゆうかは恋なんてしない。あんなの暇な人がすることでしょう。
まして恋で悩むなんて一番バカバカしい。時間の無駄過ぎる」って。


「じゃあ、あなたは恋ではなく、何に忙しい人なの?」って聞くから
「ゆうかは女優よ。ミュージカル女優のトップに立つ人間なの。
こうして一人でレッスンしてて、休憩しようとしたところに あなたが現れたの」って答えた。
それで、単純に気になってたから聞き返したの「あなたこそ、このへんで何してたの?」って。

「ゆうかっていうのかぁ。そんで女優なのかぁ。
私もレッスンしてたんだよ、すぐそこの公園で」
あの子って、ちょっとバカっぽい喋り方だよね。
あの子の言う「レッスン」って なんのレッスンか気になるから教えなさいよって、ゆうか言ったの。








ジャンル:
小説
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