本の迷宮

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椿山課長の七日間 (浅田次郎)

2006-01-18 16:12:50 | 小説
(2002年発行)


死んだ人間が現世に思いを残し、再び舞い戻ってくる・・・
というストーリーは映画、小説、漫画などに数え切れない程ある。
この小説もそういう類のものだ。


設定自体は目新しいものではないと言えるが、こういう設定は結構好きなのでつい読んでしまう。
世の中にこういう類のものが多いという事は、こういうのが好きな人が多いと言う事なのかもしれない。
もし、自分の身近な人が亡くなったら、どういう形であろうとも再び現れて欲しい。
或いは、自分自身が死んでしまった場合、後に遺された愛する者が心配で現世に舞い戻りたい。
・・・と、考えている人が多いのかもしれない。



この小説では亡くなった人は
「お役所」のような「あの世」に行き、そこで極楽往生するための講習を受けた後
ほとんどの者が極楽往生していくというシステム。
「死んでも死にきれない」という者は再審査を受けて
「現世特別逆送措置」を受けられる。
そして、逆送用の仮の肉体を用意して貰って死後七日間、所謂「初七日」まで現世にいられるのだ。



なかなか面白い設定である。
自分と全く別の身体になり、現世の人に正体をばらさないで思いを遂げる。
結構、難しいことだと思うが三人の死者たちが、現世に戻っていく・・・。



死後の世界がこういう風になっていたら面白いかもしれない。
私はさっさと極楽往生の道を選ぶか、
それとも、「初七日」まで現世に舞い戻りジタバタするか・・・?
それは死んでみないとわからないな~~。(笑)