めりけん国酔夢譚

異国の地アメリカで幾多の試練にもめげず夢を追い続けるあるピアニストの奮闘記

紅葉のメイン州

2004-10-18 02:39:39 | 旅と写真
クリックすると写真集が開きますアメリカ東海岸の最北端、カナダと国境にあるこのメイン州は、近代化の進んだアメリカでもどこか忘れられている地で、それゆえに今だに古き良きニューイングランド色をもっともたくさん残している桃源郷のようなところです。

海が複雑に入り込んだリアス式海岸の美しいこの州は、名作「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」の著者ジョン・アービングが好んで住み作品の多くを書き上げたところでもあり、歳をおいた老姉妹の人生の晩年を描いた映画「八月の鯨」、聾唖学校を舞台にしたロマンス「愛は静けさの中に」の舞台にもなっているので日本でもその美しい景色をご覧になったかたは多いと思います。まさに山間まで迫ってくる真っ青な海と、海岸線に情緒的な田舎町が並ぶその景色に、初めて訪れたときにはこれほど美しいものがあったのかと感動したものでした。

かつてこの地はフランスの植民地で、Acadian(アケーディアン)と呼ばれるフランス系移民たちが住んでいたのですが、英仏戦争でイギリス軍に終われ、ほとんどが当時同じくフランスの植民地だったルイジアナに逃げたそうです。今日ルイジアナの地元の料理をケージャン料理と呼ぶのはそのAcadian(アケーディアン)が語源になっているからだそうです。

さて、NYの郊外の私の家からから800キロ、メイン州のちょうど真ん中にその名も Acadia National Park という国立公園があります。氷河期の終わりに古い火山を氷河が削ってできたなだらかな斜面に映える紅葉の色と鏡のように空の色を映す海の色を求めて、10月の二週目、コロンブス・デーの週末に片道9時間のドライブを敢行しました。ニューイングランドの天気は本当に変わりやすく、残念ながらベストな光はなかなか得られなかったのですが、何とか私の愛するメインをカメラに収めてきました。

古き良きニューイングランドです。