鉄ある記

鉄道写真を中心に、京都の街角の情景なども写真で紹介していきたいと思います

嵯峨野観光鉄道 EF66-45・49 新たな使命を帯びて

2010-10-16 | EF66



 JR西日本・下関運用研修センターから向日町操経由で南福井に送られたブルートレイン牽引機EF66-45、EF66-49の2機が、京都・嵯峨野観光鉄道に到着したと聞き、10月16日の午後、見学に行って来ました。これは同鉄道のご好意による一部関係者向け内覧会で、私も友人の案内で一緒に連れて行ってもらいました。この記事は嵯峨野観光鉄道様に了解をいただき書いておりますが、一般公開は2011年3月1日の予定です。本日現在、それまで一般公開予定はないとのことです。ご注意ください。

 さて、9月18日に下関運用研修センターからEF65PFに引かれて三重単で向日町操に送られ、翌日、敦賀のローピンEF81のエスコートで1両ずつ南福井に送られた2両のEF66。その後が気になっていましたが、南福井で45、49両機ともに1エンド側の運転台後部で切断され、10月12日深夜にトラックで南福井を立ち、翌13日早朝、同鉄道に運び込まれました。同鉄道は、屋内に日本一の鉄道模型のジオラマを設置する予定で、2両のEF66の運転席から模型を運転できるようにする計画です。ジオラマが広大なため、肉眼で運転車両を追いにくい部分が出てきます。そのため運転席内には模型運転用のモニターを取り付けるとのことです。

 この日の内覧会は13時30分から開かれました。社員の方たちが「さくら」(2種)や「富士・はやぶさ」「あさかぜ」「彗星・あかつき」「なは・あかつき」のヘッドマークを取り付けて見せてくださいました。ヘルメット着用のうえ、運転席にも乗せていただきました。外されたと思っていたATS-Pも積んだままだということです。幹部の方に「色をきれいに塗った方がいいですか」と尋ねられましたが、私も含めて見に行った者は「今のままで。さびなどもそのままに。この機関車が実際に本線を走っていたときの雰囲気を大切にしていただければ」とお願いしました。45号機には9月18日の下関から向日町操への回送票が差し込まれ、49号機には「関」の区名札と栄光の「流星」マークが差し込まれていました。

 放っておけば廃車解体の運命をたどったEF66-45と49号機。長谷川一彦社長を筆頭に、同鉄道社員の方々の熱意で一部とはいえ、保存されることになりました。
 私と友人の計3人は、この目で見るまで「残ると言ってもカットされたものではなあ」と、少し残念に思っていたのは事実です。友人の一人は嵯峨野線の快速の車内で「まむしさんが見たいと言わなかったら行かなかったかも」と話していました。私も、2両のその後をこの目で確かめたいという気持ちだけで多くを期待せずに出かけました。
 しかし、実際に直近で見てみると、カットされたボディといえどもその存在感は圧倒的です。ヘッドマークが取り付けられると、ありし日の雄姿が鮮やかによみがえります。EF66という電気機関車が、東海道・山陽本線を寝台特急の先頭に立って疾走したという事実を雄弁に物語っています。私は「残してくれてありがとう」と心から思いました。「あまり見たくない」と言っていた友人も感激していました。

 ボディをカットしたことを耳にした一部のファンから、嵯峨野観光鉄道に「1両まるまる残せなかったのか」などの意見も寄せられているようです。しかし、経費などの問題もあって仕方がなかったそうです。同鉄道がこうした形でも保存に乗りださなかったら、解体して何も残らなかったかもしれません。

 同鉄道はJR西日本の関連会社ではありますが、本社によりかからず、社員が一丸になり一人何役もこなしながら乗客のサービスに努めています。ですが、トロッコ列車なので冬場は運休を余儀なくされ、その間の収入が落ち込むそうです。今回、計画している大ジオラマもそうした収入減少を少しでも補えるようにとの自助努力である、と幹部の方からお聞きしました。冬だけでなく、片側が山、反対側が峡谷という路線では、大雨による土砂崩れなどが発生しても運転を取りやめなければなりません。

 そういう努力の中に今回のEF66の保存計画があると知り、私は同鉄道を改めて見直し、応援したくなりました。
 来年3月1日、子供たちが45号機と49号機の運転席に座り、目を輝かせて鉄道模型を走らせている姿が見えるようです。その日まで計画が順調に進むよう祈りたいと思います。

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コメント (36)
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