鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

演奏もさることながら、生まれ変わった大西順子に驚いた

2009-10-11 | Weblog
 先月上旬、東京JAZZ2009が東京・有楽町の東京国際フォーラムを中心に開かれたが、そのハイライトをNHK衛星放送が5日から4夜連続で放映していたので、ビデオに収録して1カ月遅れで観賞した。ことしで8回目を迎える東京JAZZを毎年、実際の演奏をこうした形で追体験しているが、今年は冒頭、主催者としてか珍しくNHK交響楽団がJAZZを演奏していたのがあれっと思わせた。それと最終回の放送の冒頭にジャズピアニストの大西順子が久し振りに登場していたのが注目された。
 大西順子はベース奏者の井上陽介、ドラム奏者の黒人のジーン・ジャクソンを従え、大西順子トリオなる楽団名で、約15分にわたって「6番」なるJAZZを演奏した。演奏している最中の紹介テロップで、1989年にバークリー音楽院を主席で卒業し、93年に名門ジャズクラブ「ビレッジバンガード」で日本人として初めて一週間のライブを成功させたと流れたのに続き、2000年から2007年まで休業して音楽活動を停止していた、と出ていたので驚いた。
 というのは大西順子とは10年以上前に溝の口の洗足学園の大学祭の野外ステージで、その演奏を聞いた記憶があるからだ。その時は2曲か、3曲演奏したと思うが、これが有名な大西順子かと芝生の観客席から舞台を見上げ、間近に黒いドレスをまとって颯爽とピアノを弾いていた姿が目に映っている。曲の合い間にステージの下に降りて、舞台の片隅で煙草を喫っていたのが細身の身体によく似合っていたのをいまでも覚えている。このときは丁度休業に入る前だったのだろう。
 その大西順子と画面に映る大西順子とは全くの別人といった感じで、細身どころか、ふっくらとした力強い感じで、単に年が経って円熟味が加わった以上のものを感じさせた。休業している間に一体何があったのだろうか、と思わせるような変貌ぶりだった。 
 ベース、ドラム奏者とも年上の男性で、大西順子トリオとみずからの名前を冠している以上、リーダーを務めているのだろう。普通、ピアノは舞台に向かって左側に位置するのに、このトリオの場合、ピアノが右側にいて、ピアノ奏者の背中を見てベース、ドラム奏者が演奏する構成となっている。ピアノがメインであることをはっきりと物語っているわけで、曲の後半で、ピアノの独奏がたっぷりと行われた。冒頭、ナレーターが「11年ぶりにアルバムを発表した。その繊細、かつエネルギッシュな演奏をお聴き下さい」と解説していた通りの力強いタッチの演奏を披露した。
 大西順子は演奏が終わって、鍵盤から手を離して、ニッコリと笑顔を見せた。番組ななかでも、「楽しく演奏することができた。たぶん、2~3年はやると思うのでよろしく」と笑顔で挨拶していた。以前の大西順子からは考えられない愛想のよさだった。
 大西順子は生まれ変わったというのがもっともわかりやすいのかもしれない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする