建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

木造住宅の劣化対策 by 国総研(備忘)

2019年09月02日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

国総研(国土交通省国土技術政策総合研究所)から、「木造住宅の劣化のしやすさと対策に関する報告会」の資料と動画がアップされました(会自体はH30開催)。
副題が、「雨水浸入や結露から我が家を守るための技術情報を住まい手などへ提供」というもので、5年に渡る外皮の構造・仕様の研究をまとめたものだそうで、なかなか面白いです。

メンテナンスの注意点などもあり、結構、具体的です。
例えばですが、スレート屋根の記述。まさにガッテン!です。

以下、引用。
塗装工事の際の注意点は、本体の重なり目(目地)に入った塗料をきちんと(縁切り)作業を行わないと、毛細管現象で浸入した雨水が排出されず、雨漏れを起こすことがありますので注意してください。
また、塗装工事は、塗膜の保護と美観の向上にはなりますが、防水性能の改善にはなりません。
防水性能は、スレートの下の下葺材の劣化によるもので、表面からは判断できず、小屋裏点検口より野地板を点検し、雨漏れ等の症状がある場合、葺き替えにて下葺材(防水紙)の交換となります。
引用、終わり。

以上のように、5年分の研究なので、結構細かくてボリュームがある(調査も細かくやっている)。
テーマの一つに「住まい手に向けた長持ち住宅実現のガイドライン」とありますが、到底、そのまま素人が読めるものではありません。

いずれにしても、住宅関係者としては技術資料・勉強材料によさそう、ということで、備忘でリンクを貼っておきます。

国総研 木造住宅劣化対策報告会

なお、国総研の研究なので、それなりに権威と信頼性もあり、裁判の証拠にも出てきそうな(使えそうな)雰囲気です。
全てを網羅したものではない、との注意事項・免責が記載されています。


インフラツーリズム 貯水前のダム編

2019年07月13日 | 見たもの雑感

建築弁護士の豆蔵です。
インフラストラクチャー第2弾、ちょっと珍しい完成直前、貯水前のダムということで、群馬県の吾妻渓谷、八ッ場ダムを見てきました。

八ッ場ダムといえば、民主党政権下でのダム中止宣言での混乱が記憶に新しいところ。もう10年も前なんですね。

しかし、治水対策としてダム計画が浮上したのは、戦後まもない頃。反対運動や論争の非常に長い歴史を経て、工事が本格化したのは平成に入ってから。
途中2年ほどの中止の後、2011年に工事が再開され、現在は本体がほぼ完成。残るは水を入れて試験をし、運用に向けた点検を行うという段階まで来ています。

この春~夏までの短い間、ダムの底からダムを見上げるという貴重な体験ができるということで、国交省関東地方整備局が募集をする見学ツアーに参加してきました。

現場の中、つまりダムの底を、バスで見学します。バスからは下りられませんので、車窓からの見学になります。

普段目にすることのない超大型の重機と、重量感のあるRCの高い壁。

その周りには、吾妻線の古い鉄橋、あとは、広い広い里山の風景。

ダムの底に当たる場所には、古くからの温泉地と吾妻線がありました。
バスの案内役をしてくれた女性は地元の方で、以前の温泉街の景色を一つ一つ説明してくれました。
今、温泉街は、吾妻線の線路と共に、ダムの上に移転し、新たな施設を整備して営業を開始しています。

ダムの底の見学ツアーは予約制ですが、非常に人気が高く、ほぼ一杯とのこと。
でも、ツアーに参加しなくても、すぐ近くに展望台が設けられ、また直近の八ッ場大橋から、ダムの景観や工事の様子を楽しむことができるようになっています。

周辺地域は、かなり賑わっていました。
近くの道の駅には、ダムカレーを始め、地元の蕎麦・うどん、産直の野菜・果物などが並びます。

さらに、ダムカレーパンなるものも登場していました。
正直なところ、ダムカレーパンはやや企画倒れの感もありましたが、物珍しさで思わず買ってしまう商品で、かなり売れてました。

ダムだけではなく、こうした美味しい食べ物も楽しめるのが楽しいですね。
インフラだけに頼っても、まあ…女性客を集めるのは難しいですから(笑)。

付近には、温泉もたくさんあります。寄って帰ったのは言うまでもありません。

さて、この夏はどこに出かけましょうか。


インフラツーリズム 運河編

2019年06月15日 | 見たもの雑感

建築弁護士の豆蔵です。

前回の厳冬期ダム見学会から間が空きましたが、引き続き、インフラ訪ねある記を2本更新して参ります。
1本目は、世界一美しいスタバ、でも有名な、富山市の富岩運河と富岩運河環水公園です。

富岩運河は、富山駅の北口付近と日本海・富山湾をつなぐ全長5kmほどの運河で、神通川に並行しています。
歴史は意外と新しく、昭和の初期の築造で、木材などの運搬に利用されていましたが、戦後はその役目を終えてしまったそうです。

しかし、埋め立ててしまうことはせず、公園を中心に整備したことが素晴らしい!!
ここ20年ほどの間に環水公園(別名:カナルパーク)が整備され、スターバックスの店舗デザインで注目されたり、2年前には新しい富山県美術館がオープンするなど、地元と観光客に広く愛される名所となっています。

公園の景観は、それはそれは!素晴らしいものです。
特に、今回ようやく晴れた北アルプスを眺めることができました。

 
写真は、富山県美術館屋上からの眺めです。
この美術館も、非常にユニークです。 

富岩運河の観光といえば、環水公園に加えて、富岩水上ライン運河クルーズ。

環水公園から2kmほど下流にある中島閘門(こうもん)が注目ポイントで、
パナマ運河にあるような上流下流の水位差を解消する仕組みで、2つの水門の間に船が入ってエレベーターのように上下するのを体験できます。
(閘門カードも貰えます。)

環水公園から河口まで下るコースなら、日本海沿いの岩瀬の町並みをぶらついて、ライトレール(路面電車の一種でカッコいい)で戻ってくることができます。
時間がなければ、閘門で戻ってくるコース、かわいい電気ボートで環水公園内だけさくっと一周するコースもあります。

水上から見る景色は、やはり違いますからね。時刻表を要チェックです。

  
(中島閘門の写真は、2年前に行ったときのものです。)

富山県内は、ガラスや錫など伝統工芸品の産地が多く、デザインを中心とした地域おこしが盛んです。

和を感じさせるシンプルなものが多いですが、市内のガラス美術館の最上階の展示にはいい意味でとても驚かされましたので、是非、行ってみてください。

もちろん、お寿司も堪能せねば。



(もう春だけど)厳冬期のダム見学会

2019年03月10日 | 見たもの雑感
建築弁護士の豆蔵です。
 
最近、注目していることの一つに、インフラツーリズムがあります。
ダムなどのインフラが、都市や地方の観光資源として注目されてきているという件です。
 
今まで愛好家の間でのみ愛されてきたものが、市民権を得る流れであり、
例えるなら「タモリ倶楽部」から「ブラタモリ」の流れに似ています。
また、ヘビーな工場地帯の夜景を楽しむ「工場萌え」にも通ずるものがあります。
 
もちろん、ダムをはじめとする道路・橋梁・トンネル等の土木工事については、
自然や人々の生活を大きく変えてしまう(破壊する)ため、様々な議論があります。
脱ダム宣言など、政治的な歴史もあります。
 
しかし、技術者の端くれとして、
膨大な数の人々が知恵と労力を尽くした成果に、大きな魅力を感じます。
また、単純に、圧倒的な存在感にワクワクします。
新規の建設の是否は別としても、今ある資源として活用しようという動きは、応援したい。
 
まだ全然、愛好家というレベルではありませんが、
機会があれば見てみたい、見たら少しは技術的なことを深堀りしてみたい、という状況です。
(前の事務所のメンバーと、黒四や高瀬ダムにも行きましたしね。)
 
多くの人たちが、地域の歴史や文化にまで興味を広げていければいいですね。
ダムの場合、ちょっと遠方で行くまでは大変ですが、
水源地の大自然と食べものを存分に味わい、温泉に浸かるという楽しみがあります。
ダムカレーも話のネタにはいいですが、山の幸もお忘れなく。
 
さて、厳冬期の話なのに、モタモタしてたら春が来てしまいました。
2月、ダムを管理する水資源機構による厳冬期ダム見学会に参加してきました。
場所は、矢木沢ダムと奈良俣ダム。
群馬県の水上(みなかみ)から、利根川源流域(この辺は太平洋と日本海の分水嶺です。)に分け入ったところにあるダムです。
 
まずは、矢木沢ダム(堤高131m、アーチ式)。
足元から、トンネルと本体内部のエレベーターで堤頂に上ります。
そこはまさに冬山。圧巻です。
 
ダムカレーの昼食をはさんで、
午後は奈良俣ダム(堤高158m、ロックフィル)。
ロックフィルは、雪に覆われてしまうと約30度のゲレンデにしか見えないのが残念(苦笑)。 
 
建設時の放水路が、今は管理用トンネルになっていますが、
織田裕二が、20年前の映画「ホワイトアウト」で駆け抜けた放水路だそうです。
(ダムジャックによるテロとの闘いを描いた作品です。)
こちらのダム湖は、完全に結氷してました。
↑ この岩の手前がロックフィルの堤頂、奥がダム湖。 
 
なんて素敵!なダムツアー(笑)。
なのですが、厳冬期は、現地もアプローチも雪崩の危険があり、
大人数での移動や現地の受け入れは非常に難しいようです。
今回の見学会も、実は15人の応募に5倍以上の応募があったそうですが、
毎年機会はあるそうなので、こまめにチェック!してみてください。
 
そして、雪が融ければ、春、新緑の観光シーズンが到来します。
今度は自力でたどり着きます。

事務所3年目

2019年01月06日 | 小ネタ

建築弁護士の豆蔵です。
遅ればせながら、本年も宜しくお願い致します。

おかげさまで、個人で立ち上げた事務所も、無事、3年目に突入しました。
真に建築・建設に特化して、そればかりやっていますが(時に強気と言われますが)、
おかげ様で、ビジネスとしてもなんとか成立しています。
皆さま方のご愛顧にとても感謝しております。

年頭のお休みの間、この2年間を振り返り、この先のことを考えていました。
思い出したように、弁護士マーケティングや事務所経営に関する資料なんかも目にしたりしました。
もっとも、他業界からの転職組であるため、
いわゆる普通の弁護士という仕事の仕方をしていません。
また、それに捕らわれる必要もないと思っています。

理想は、顧客と自分の双方に最大の利益があることです。
「何でもお請けします」というスタイルではありません。

弁護士業界での先例・モデルが見当たらないので、これでよいのか迷ったり悩んでしまうのですが、
結局、正解はなく、自分でやりたいようにやるしかないようです。
基本路線は外さずに行こうと思います。

昨年は、事務所外との協働がいくつかありました。
なにせ一人事務所で所内の人的資源が非常に限られているものですから、とてもありがたいことです。
ひきつづき所外との連携を充実させながら、所内も(いつかは)少し拡充できればと思います。

ITなど使えるものは、積極的に使っていきます。
そうやって時間を工面しながら、引き続き、
建築学会、CM協会、その他建築に関する業務外の活動にも色々と関わって行こうと思います。

地元・神田明神のおみくじは、中吉でした。
今は成長期、成果はこれからだそうです。


耐震化アドバイザー講習

2018年09月29日 | 建築物の安全
建築弁護士の豆蔵です。

今週は、JASO(NPO法人耐震綜合安全機構)の耐震化アドバイザー講習で、
耐震化をめぐる法的リスクについてお話をさせていただきました。
ゼネコン時代の友人と、4年前に書いた「耐震化の法律読本」(建築技術)が繋いでくれたご縁です。

内容はJASOスクールの方々とご相談して、パワポにあるような2部構成としました。
具体的には、耐震化相談の依頼者側のリスクとしての所有者・占有者責任についてと、
受託者である設計者・アドバイザーの業務リスク、契約責任について、お話しました。

東京都の最新の耐震化政策のお話もあり、
また、講習後には、耐震化実務の悩みどころを具体的にお聞きし、大変勉強になりました。

既存建物の調査、設計、施工には、新築とは違う技術的な難しさがあります。
加えて、マンションの場合、住民さんたちの意思決定が大変です。

さらに、意思決定の前提として、技術的な内容をどう正しく理解してもらうか、という点も非常に悩ましい。
どの程度の規模の地震でどうなるか、とか、改修したらどの程度まで改善されるか、とか。
また、既存建物の調査の限界(既存リスク・発注者リスク)についても、伝えておかなければなりません。
 
東京都では、義務化されている範囲での耐震診断はかなり進んだそうです。
ただ、商業ビルは別として、マンションでは、次にどうするかが決まっていない。
診断義務化の範囲は、緊急輸送路の沿道などかなり限られていますから、
マンション全体での耐震化の道のりは、まだまだ遠い、と言わざるを得ません。

耐震化の意識を社会全体で盛り上げるために、お手伝いできることは、まだまだやっていきます。

お盆休みではないお盆中です。

2018年08月15日 | 小ネタ

建築弁護士の豆蔵です。
たまの更新でスミマセン。

建設業界はお盆にまとめて休むこともあり、当事務所も、今週はまあまあ静かです。
当事務所も、いつもはお盆の時期に合わせてお休みさせていただくのですが、
本年は事情があって、少し前倒しでお休みをいただいたため、お盆期間も営業中。
粛々とお仕事をしています。

9月に入ると、早々に、日本建築学会大会に参加するために仙台に行く予定です。
ここ3年ほど、建築法制委員会の中の
「建築生産関係者と法規範を巡る論点に関する基礎的研究小委員会」
という長い名前の委員会に参加させていただいており、
その成果発表のために、研究協議会というもので登壇の予定となっています。
委員会は、行政出身、研究者、ゼネコン、弁護士など多種多様の面白いメンバー構成で、
研究協議会も色んな話になると思います。
学会に来られる方やお近くの方で、建築法制度に興味のある方は、覗いてみてください。
併せて共著の出版や、研究協議会の小冊子の頒布などもあります。

 ←追ってご案内の予定

仙台行きついでに、これまた建築学会の企画で、
沿岸の被災地域をめぐるバスツアーというものにも参加させていただく予定です。

自分のパワポの準備などが、まだできていないのですが、少し久しぶりの仙台は楽しみです。

あとは…まだ行けていないので、
この静かな期間のうちに「建築の日本展」(六本木ヒルズ・森美術館)にも行かねば。

7月頭からの長い暑い夏も、もうすぐ終わり…なのでしょうかね?


大阪府北部地震

2018年06月18日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

今日の朝、大阪府北部を震源とする大きな地震がありました。
被災された皆さま方に、お見舞い申し上げます。

大阪駅からほど近い「茶屋町」の計測地点でも、震度6弱が観測されたとのことです。
私ゴトですが、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の際、大阪市内は震度5強で、茶屋町の隣町の豆蔵自宅もひどく揺れ、非常に怖い思いをしました。
それよりも大きく、かつ、同様の断層からの直下型ですので、その衝撃を想像して身がすくみました。

小学校のブロック塀倒壊事故の映像は、衝撃的でした。
ブロック塀の倒壊は、40年前の昭和53年宮城県沖地震以降、広く知られるようになった問題ですが、
まだこのようなものがあるのか、しかも公共の建物(しかも小学校)に…という驚きと腹立たしさが、率直なところです。

塀は建築基準法違反だったとのことです。
映像によれば、コンクリートのプールの床レベル上にブロック塀が積まれているようで、崩落部分のブロックは8段(1.6m)です(高さについては追記参照)。
控え壁が見当たりませんので、塀の高さをブロック部分のみと仮定しても、原則としてアウトです。
また、道路からの高さが優に3m以上あることは、被害をより深刻にしました。

(追記)高さ制限2.2mに違反しているという報道があり、特定行政庁である高槻市の判断であればそうなのだと思いますが、
今回のようなケースでのブロック塀の高さの算定方法は、明確ではないと思っています。

学校は、建築基準法上の特定建築物として定期報告が義務付けられています。
(追記)点検の対象に塀という項目があったが、見過ごされてきたという報道がありました。

それ以外にも、少なからず危険性が指摘されていたのでは?と思わせる内容のものです。
事実関係は、次第に明らかになってくるでしょう。

古いブロック塀や大谷石積みの倒壊・崩壊は、地震時の危険の典型例ですが、看板や設備機器等の落下も恐ろしいです。
今回の地震でも、落下物の写真があちこちからアップされていますね。

地震がきっかけといえども、塀や擁壁、外壁や設備機器等が安全性を欠いていた場合、所有者は、土地工作物責任を負います。
「知らなかった」では済まされない責任です。

「今まで事故がなかったから大丈夫」という人が多過ぎる。
裁判所や相手方の弁護士さんにも、よく言われます。
事故が起きなかったのは、偶然に過ぎないのに。怒りを禁じ得ないですね。


重層長屋の新しい規制について

2018年06月15日 | 法制度

建築弁護士の豆蔵です。
すっかり更新が滞っており、すみません。

最近の東京都の建築ニュースで気になったところ、重層長屋の新しい規制についてです。

現在、東京都のHPにて、「東京都安全条例に基づく長屋に係る建築基準等についての見直しの考え方(案)」というものに対するご意見募集が掲載されています。

東京都報道発表

長屋と共同住宅の違いは、建築物の部分(外ではない)に共用部分があるかどうかです。
現代版の長屋、特に重層長屋といわれる別の住戸が2階以上縦に積みあがるタイプのもの(⇔縦に積まないのがテラスハウス)は、実質的に、使用状況が共同住宅と変わりません。
ところが、長屋は、特殊建築物の規制を受けません。
防火・避難に関する制限が緩く、旗竿地(接道条件が悪い敷地の一種)であっても建てられる、目いっぱい容積・戸数を詰め込める、という特徴があります。
例えば、投資物件としては、非常に効率が良いのです。

都心の密集かつ狭小地には大規模重層長屋が続々と誕生し、近隣や確認申請をめぐるトラブル(最高裁平成211217日判決・新宿たぬきの森事件、確認の取消)も少なくありません。
個人的には、建築物の制限=私権の制限は過度であるべきではない、と考えていますが、
この種の開発については、市民の一人として、また、建築に関わる一人として、ストレートに胸が痛むというのが正直なところです。

旗竿地における大規模長屋の規制は、既に平成24年より世田谷区で始まっていますが、敷地が300㎡未満や戸数14戸までは対象にならないなど、多くが規制にかかりません。
今回の安全条例改正(予定)も、同様に、中大規模なものの規制に止まります。
現在予定されている建築基準法改正によって、接道の規制を条例で上乗せできるようになりますが(例えば、3階建以上、行き止まり道路に接する150㎡超の長屋など)、規制の網をすり抜ける物件はまだまだ減らないのでしょう。

ご意見募集に寄せられた都民の声、きちんと聞いて欲しいですね。


紙おむつと下水道

2018年03月10日 | 小ネタ

建築弁護士の豆蔵です。

ネット巡回先の国交省で、非常に興味深いものを発見しました。
本業的には、3/9「所在者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」の閣議決定のニュースの方が重要なのですが、そちらではありません。

国土交通省 下水道への紙おむつ受入実現に向けた検討会

国交省と紙おむつ。一見、関連性が無さそうなこのテーマ、実は、以前から気になっておりました。
あんな、ポリエステルだとか高分子ポリマーだとか水に溶けそうもない塊を下水道に、って、いったいどういう話だろうか?と。

検討会の資料には、紙おむつの材料や構造の詳細も記載されていましたが、
増大する、いや、今後の高齢化社会で更に増大する紙おむつ利用が、自治体のゴミ処理や、育児だけでなく介護での重要な問題である、ということを改めて認識しました。
臭気など衛生上の問題もさることながら、体積と重さが大きく(単身3日分でなんと1.5kg!)、プライバシー性が極めて高いために、単にゴミの問題では済まないようです。

紙おむつをいきなり流せる訳ではなく、戸別の処理装置や配管ルートが必要なので、技術的にも社会インフラ的にもそう簡単な話でもなさそうです。
しかし、「水に流す」ということが実現できれば、大きな問題解決になることも確か。
さらに先の議論として、流した先で合成樹脂をリサイクル素材として抽出し、燃料化することも検討されるべき、とあります。
実際に、紙おむつを回収してリサイクルして、次の紙おむつに利用する、という実証実験も行われているのですね。

自分自身がお世話になるころには、実用化されることを切に望みます。

一般に、人間の寿命と、介護が要らない健康寿命とでは、約10年の差があるのだそうです。
下水道に頼らず、まずは、健康寿命を伸ばす日々の努力と心がけ、からですね。


「建築現場のトラブル相談」という本の話

2018年02月07日 | 小ネタ

建築弁護士の豆蔵です。

前の事務所の仲間で、友人で、同士でもある技術士(建設部門)兼弁護士の江副哲先生が「建築現場のトラブル相談」を出版しました。


パチパチ(拍手)!
→ これは宣伝ではありません。

江副さん(と親しみを込めて)は、豆蔵と同じく、ゼネコン出身の技術屋さん弁護士です。
しかも、大学が京大土木、専門がコンクリート、という点が、極めてレア。
(法曹界の皆様、土木と建築では中身がぜーんぜん違うということ、理解してくださいね。)
現場もよく知っているので、安衛法や建設業法にも明るい。
→ 豆蔵の業務範囲と被るので、色々教えてもらったりもします。

そして、この本の何が面白いかというと、そのテーマ。
完全なる業界目線で、しかも、かなり細かい。
ex.構造計算上は問題のない躯体の寸法違いとか、雨中のコンクリ打設とか、トンネルとか。

一方、法律の説明は、ビジュアルと平易な言葉で、実務家に分かりやすく。
建築・建設がらみの法律問題の基本を、いい具合に説明してるなーと思いました。

なお、弁護士が注意喚起の気持ちを込めてリスクを書いている本なので、
「ここに「セパ穴の位置が違ってたらダメ」って書いてある」などと証拠で出さないように。
→ 本当にいるんです。こういう方。

余談ですが、本のデザインは、現場っぽいというか、少し、おっちゃんっぽいです(笑)。
本屋さんに並んでたら、背中が黄色と赤なので、目立つと思う。売れそうだな。

豆蔵も頑張ります。


地震時に自宅に戻るルート

2018年01月30日 | 建築物の安全

建築弁護士の豆蔵です。

友人から、職場の災害訓練で、今日は会社まで歩いて通勤しているというメールが来ました。
東日本大震災で帰宅困難者が問題になって以降、そうした徒歩での訓練を実施する職場が増えているようです。

それを聞き、自宅と職場との距離と徒歩での所要時間を、グーグルマップで確認してみました。
なるほど、2時間半ほどかかるようです。
普段の通勤が30分ですから、もっと遠い人はかなり大変だということが分かりました。
ちなみに、実家まで歩くと7時間ほどかかり、途中、大きな川を何本も越えなければなりません。
かなり難しそうです。

事務所の建物には備蓄食料や水があるそうですが、とりあえず自宅までの詳細なルートを頭に記憶しておこう、として、ふと、
「地震の際にはそのルートは使えないかもしれない」、ということに気が付きました。

そうです。
地震の際に建物が倒壊するなどして、道路を封鎖する例は、阪神大震災でも沢山ありました。
その経験から定められたのが、緊急輸送路の指定であり、帰宅時のルートは緊急輸送路を想定しておく必要がありそうです。

東京都の「耐震ポータル」には、特定・一般の緊急輸送路の地図が載っています。
 →地図
但し、沿道の耐震化率についての表示は、特定にしかありませんので、特定以外の緊急輸送路の周囲の建物がどうなっているかは、正確に分かりません。
とりあえず、目安といった感じです。

グーグル先生の地図と比較すると、最短コースでは、山手線の外側に抜ける辺りで、道が狭くなる部分があるようです。

途中のコンビニとかの情報は、確か、2年ほど前に配付された都の防災マップに書いてあったはずですね。
と思ったら、都のHPにもありました。→防災マップ

災害ステーションとして登録しているコンビニも、ずいぶんあるようです。

豆蔵の事務所では避難訓練がありませんので、近々、自主的に歩いてみようと思います。


生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪

2017年10月29日 | 見たもの雑感

建築弁護士の豆蔵です。

度重なる台風の最中でしたが、大阪市内各所で行われた「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」
通称イケフェス大阪、に参加してきました。

イケフェスとは、現在も利用されている新旧の建築物が一斉に公開され、それを巡る、という大阪での一大イベントです。

代表例・大阪ガス本社の「ガスビル」

(イケフェス大阪公式ガイドブックより)
「生きた建築」とは、「歴史的な近代建築から現代建築まで、大阪の歴史や文化、市民の暮らしぶりといった都市の営みの証であり、様々な形で変化・発展しながら、今も生き生きとその魅力を物語る建築物のこと」

今年で5回目とのことで、参加する建物も80以上?に上っていますが(建築中の現場を含む)、
注目度も上がったため、事前申し込みの先着順は激しい争奪戦(友人まかせ)、抽選は極めて高倍率(全滅)。
当日順次案内というところも、行列必至、という予想の中での初参戦でした。
ところが、台風による大雨で出足が鈍ったのか、結果的には行列せずにそこそこの数を楽しめました。

大阪の町を南北に貫く御堂筋が完成したのが昭和8年。
中之島・土佐堀川から本町あたりまで(中心部北側)は、昭和初期から60年代の趣向を凝らしたビルヂングがたくさん残っており、しかも現役で活躍しています。
今でも、通りや地域で業種ごとのカラーがうかがえます。

   
 
このイベントで特に面白いと思うのは、ビルを所有し実際に使っている会社の方々が、ビルの案内をしてくれることです。
やはり商売人の町ですね。会社の人が語る昔からのお商売の話、先代・先々代の社長はんの話は、面白いです。
洒落た肖像画なんかも飾ってあったりして。
商売に成功し財を成した社長さんは、皆さん、町や地域に何か残したいと考えるようです。
そして、立派な建物を建てはるんですが、趣向を凝らした分、後世の社員の方々の維持管理はなかなか大変なようです。ご尽力(ご苦労)されている様子が窺えました。
 
でも、みんなが建物を愛し、会社を愛し、町を愛しているんだということが強く感じられて、とても楽しいです。
 
 
↑ 90年代の有名なビルですが、老舗の「小倉屋山本」さんの所有とは知りませんでした。とてもきれいに維持管理されています。
 
最近は、中心部にもタワーマンションが乱立気味ですし、御堂筋の高さ制限も緩和されて町並みも変わりつつありますが、
大阪らしい建物や町並みは、変わらず愛されていって欲しいです。


↑ ファサード保存のダイビル本館(中之島)

台湾で愛される伊東建築たち その2

2017年09月24日 | 見たもの雑感

建築弁護士の豆蔵です。
台湾の建築見たもの雑感、前回の「台中」に引き続き、「台北」で愛される伊東建築たちです。

まずは、台湾大学へGO。 
広大なヤシの木ロードをはじめ、キャンパス自体が熱帯植物園のような楽しさで、それだけでも十分に価値がある。
   クリックで拡大
 
そして、お目当ては社会科学院の図書館。
まるで森のよう。内と外がひと続きという意味では、台中歌劇院と共通していますが、関係性はシンプル。
構造がすごいですよね。
外から見ると、
 
屋根。水色の部分が木漏れ日のようなトップライト。
 
パスポートと荷物を預け、書類に氏名・住所などを書けば、建物内部の見学も可能です。
 
さて、もう一か所は、現在進行形の再開発の一角「台北文創大樓」(お洒落商業施設とホテル)
 
旧煙草工場をアート施設にリノベした松山文創園区に隣接し、一体として新たなスポットとなっています。
隣接して、台北巨蛋体育場(台北ドーム)がガンガンに工事中。
ちょっと残念な状況なので、完成したころに、ドーム見物を兼ねて再訪しようと思います。
 
ちなみに、今の台湾、インテリアだけでなく、セレクトショップの品ぞろえも、めっちゃお洒落です。
町中の小さなお店も含めて、みなお洒落なのです。
台湾は数年ごとに訪れていますが、各段にレベルアップした気がします。
(物価も、まだ香港ほどは高くなってない印象)

伝統的なものに、西洋的、日本的な文化・生活様式を融合させながら、
日本よりずっと、自然のもの、古き良きものに価値を認めているようで、非常に心地よい。

加えて、漢字の安心感と優しい人々、美味しい食べ物も、台湾の旅の大きな魅力です。
また遠からず行ってみようと思います。


台湾で愛される伊東建築たち その1

2017年09月23日 | 見たもの雑感

建築弁護士の豆蔵です。
前回に引き続き、旅のたてものシリーズ。今回は台湾です。

曲面だらけのコンペ案にびっくりしたのは、もう10年以上も前でしょうか。
どうしても見てみたかった伊東豊雄先生の台中の国立歌劇院、
→台湾国立歌劇院HP・建築設計
昨年のオープン以降、すっかり市民の憩いの場となっているようです。
観光客というより、普通に若い人たちが遊びに来ている感じでした。

 クリックで拡大

それにしても、本当に作ってしまったんですね…(よく作ったなあ)。
メッシュの目の細かいのと粗いのを重ねて型枠にしたそうですが、
「膜」を引っ張った形の模型とそっくりに巨大なスケールになって、本当に美しいです。

  

  

この建物に関し、伊東先生は、人の消化器の中もまた外部である、という趣旨の例え話をしていましたが、
そういう意味では、劇場本体を取り囲むロビーやホワイエは、公園から続く外部である訳ですね。

ちなみに、台北から台中へは、10分間隔(くらい)で出ている新幹線(高鉄)で、約1時間。
車両は700系の改良型とかで、完全に東海道新幹線に乗ってる気分です。
切符も予約も、自販機で簡単に買えます(カードも使えます)。

ただし、新幹線駅と在来線の台中駅(旧市街地)とは在来線3駅くらい離れており、
かつ、今回の歌劇院は少し郊外の新市街地にあるので、市内の移動が少し手間です。

台中には、安藤忠雄先生の亜州現代美術館(三角形の建物)もあるのですが、ちょっと郊外なので、時間の関係で今回は断念。

次回の台中は、亜州美術館も回り、日暮れまで粘って夜景を見てみたいですね。 
続編、台北の建物に続きます。