映画:新・平家物語

2008年08月03日 | 映画・本
新・平家物語  1955年 日本(大映)

監督:溝口健二 撮影:宮川一夫 出演:市川雷蔵、久我美子、林成年、木暮実千代

本作は市川雷蔵が歌舞伎から映画界へ転進して1年目の作品。
こやぶんの思い込みかもしれなけいど、
歌舞伎界=本作で謂うところの朝廷や神輿のような権威を、
雷蔵自身が清盛のごとく、映画界で大活躍するという息吹を感じさせる、
図らずにも 思えてくる構図になっているんですね。

今回は、撮影を担当した宮川一夫の名前を記したのは・・・ カメラワークは素晴らしさ!
平安京の生き生きとした賑わい,比叡山の深い緑を行進する僧兵の姿などが,
まさしく 絵になるような構図でとらえられています。
何度も、何度も観た作品なんなけど― 
この映像は大きな映画館で、大きなスクリーンで観るべきなんです!
そう断言できる、日本が世界に誇れる映像美なんです。

さて 「平家物語」と云えば、祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・
だけど― 本作は、
平清盛が平太と呼ばれ、貧しい武人の長男でしかなかった時代、
武士が貴族と入れ替わって政治の実権を握っていく・・・ その黎明期を描いている。

ただね… 女性を主人公に悲劇的な境遇に陥る作品を撮らせた巧い溝口監督に、
平安末期の権謀術数を描く即ち、男性的な世界を描いた作品が本作。
歴史考証を入念に実施され、十分な意気込みはあったのだろうが、
基本的には大映の押し付け仕事なんだろうなぁ~ って思いながら、いつもこやぶんは観る。

依田義賢の脚色の問題? (原作の吉川栄二の人物設定?)なのかはわかりませんが、
史実と大きく異なる意、忠盛の描き方が気になる。
殿上闇討ち事件は本来、忠盛の見せ場であり、彼の知略と一門の武を世間に知らしめるエピソード
しかし、本作では清盛の見せ場に? 何で?
これでは平家繁栄の礎を築いた忠盛が、ただの情けないおっさんになってしまう。
ちょっと 忠盛さんに… 申し訳ないような気がするのは、こやぶんだけ?

今なら 絶対許可されないであろうロケ地での、時代絵巻… 
機会があれば、ぜひ映画館で

こやぶん評価 (映画は、やっぱり映画館で)


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