たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(続続)金峰山

2022年01月27日 | 心に残る思い出の山

続き

翌日は羽毛布団のお陰か疲れも残らず心地よい朝を迎えた。小窓から俯せたまま外を覗くと朝日を受けて蘇る八ヶ岳があった。空には薄い筋雲があるくらいでこの上を望み様もない好天。6時30分小屋を後に下する。

小屋から僅かに標高を上げると一気に展望が開け南アルプスの連なりに目を奪われる。八ヶ岳は一層輝きを増し神々しいまでに美しい。金峰山頂へは行かず直進、雪は全く解けておらず慎重に足を運んだつもりでも腐った雪の上では足を取られ凍結した雪の上ではバランスが崩される。雄さん持参の鉈で凍結した雪を崩し足場を作って貰って進んだ。

 

一富士 二たか 三・・・

分岐を過ぎた所で左に富士の姿を見つけた、思いもよらず大きな富士山だった。言葉を失うと言うのはこんな時の事を言うのだろう。今日は南アルプスの後ろに木曽駒ケ岳までクッキリとみはらかす大気の澄み具合である。気を落ち着かせてユックリその眺望を楽しもうと千代の吹上げで一休みする事にした。

富士山が絶品で有る事は言うまでもないが南アルプス、木曽駒、御岳、八ヶ岳、北アルプスといった3000m級の山々の連なりは私達を酔わせて止まない。下るのが惜しい眺望の良さ、と言って何時までも留まっている訳にもいかない。いよいよ砂払の頭からは展望の山旅とはお別れして緊張の急斜面に突入である。もう一度、山々に目を置いて私達は大日岩まで一気に下った。

 

大日岩では高見岩の向こうに昨日は見えなかった南アルプスの山並みが連なっている。御岳、木曽駒、鋸岳、甲斐駒、アサヨ峰、来ただけ、間ノ岳、農鳥岳、その前に鳳凰三山、そして塩見岳、悪沢岳と指呼する私を雄さんは感心した様に目を丸くしていた。 休んでいると左側からユックリと雲が流れてきて南アルプスの一部を隠し始めた。これからやって来る登山者の為にその歩みをもう少し抑えてはくれないか。

富士見小屋に戻ると登る時には蕾だったシャクナゲが見事に開花し私達を感動させた。山には下界では味わう事の出来ない色んな感動が所々で顔を出す。その時こそ人間は生まれてきた幸せを無意識の内に取り入れて心の豊かさを育てているのに違いない。今、木の根に腰を下ろしコーンスープを味わう中にもジワジワとした感動が生まれている。こうして10時20分 感動の山旅を終え増富温泉(入浴一人1000円)に向かった。

雁音滝

怒滝

清流沿いには幾人かの釣り人がノンビリ糸を垂れている。川面には木々の緑が映り水底まではっきり見える。このまま通り過ぎてしまうには勿体ないので車を停め、しばし山とは違った良さを嚙み締めた。


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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
金峰山登山 (イケリン)
2022-01-27 17:40:09
たかさん
平地でも凍結した道を歩くのは緊張しますが、
アップダウンが連続する山での恐怖感は半端ではなさそうです。
自然が積み上げた五丈岩は、迫力がありすぎです。その岩山を若者が登りきれ
なかったのに、たかさんが立っているというのもすごいことではないですか。
山小屋での語らいも、おめでたいエピソードまで飛び出して和やかな雰囲気で
過ごせたようです。
そして迎えた翌朝の眺望の素晴らしさ。登ったものしか味わえない一瞬ですね。
最後は温泉につかりながら、登って来た山での苦労と楽しかった語らい等々を
振り返りながら温泉を満喫する。最高ではなかったですか。
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Unknown (アナザン・スター)
2022-01-27 18:27:43
たかさん、今晩は。
見て読ませて貰って、震えました。
無事でよかった。

山がお好きな人には、堪らないのでしょうが、こちらはドキドキして冷汗まで・・・
一人でないから好いようなものですが、記録を書かれてなのも無事な証拠と思うのですが心配で。

最近は、最後から読みます。
多少は安堵しますので。
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Unknown (ベル)
2022-01-27 18:35:11
こんばんは
色々な出会いのある登山ですね
鐘が無くなって働かせてもらって最後はロマンスですかそんなことがあるんですね

五丈岩 人が立つとでかいのがよくわかります
こんな岩にへばりついて登る 恐ろしい
さすがに雄さんが登るとなると心配です
一富士 二たか 確かに(笑)

最後はお決まりの温泉でゆっくりできてよかったですね
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金峰山 (akira)
2022-01-27 18:40:41
一富士二たか三雄さん、ですね!
富士山をバックに山女の面構えで、惚れ惚れします!
五丈岩など楽しめる所が多い山ですね
自分も大阪から夜行バスで韮崎に、此処から瑞牆山
金峰小屋~甲武信小屋と縦走しました
行ったのが5月初旬、金峰山の小屋から朝の眺めが忘れられません
霧氷で遠くに雪を被った山、良い思い出です
手帳を見ると”小屋は娘さんで気持ちの良い小屋”と書いてます
富士見小屋を通ったのですが富士山は見えませんでした
南アルプスの眺望は素晴らしいのですね!
大阪からは遠いのですが若ければもう一度行きたい山です。
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イケリンさん、こんばんわ (たか)
2022-01-27 22:58:03
雪道や凍結道を歩くのは摺り足、かかとでの着地はしないのが基本。足踏みをする様にして足裏を雪面にしっかり下ろせば滑りませんが、でもアップダウンの有る場所ではどの様な歩き方をしても先ず無理で滑ってしまったら車と同じでブレーキが効きませんよね。
五丈岩を実際に目の前にしますと、その大きさ、高さに圧倒されます。自分の背丈よりも高い岩を登り上げるのに岩の割れ目や少しのでっぱりに足を置きますが後は腕力で体を引き上げるしか有りません。私が立っている所は最高点ではなく五丈の半ば辺りなのですよ。上まではとてもでは有りませんが行けませんでした。
山小屋での語らいも少人数だったからこそ出来た事で前日の岩崎ツアーと同宿でしたら、とてもこんな雰囲気にはなれなかったでしょう。
山小屋の思い出と展望に恵まれた素晴らしい山行でした。
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アナザン・スターさん、こんばんわ (たか)
2022-01-27 23:12:07
本人にその自覚は全く有りませんが、私目茶苦茶な事をやっていたのでしょうかね(笑)ドキドキ、冷や汗まで掻かせてしまった様ですね。
でも長い山歴の中、危ない思いをした事は5回くらい有りましたよ。偶にその時の事がフッと浮かぶことが有ります。
もし、あの時 足元の雪が崩れたら・・・足を滑らせてしまったら・・・木の枝が折れたら・・・岩と岩を飛び越える時、バランスを崩してしまったら・・・と思うと背中がゾッとし腋の下に汗が滲みます。
そんな時には別の事を考えて気持ちを切り替えておりますが、よくまぁ今日まで無事に来られたと思うのが本心かな!
・・・(笑)最後から読めば無事に降りられた事が分かりますものね。アナザンさんて楽しい♪
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金峰山 (いちごみるく)
2022-01-28 08:47:07
たかさん おはようございます。

熊本にも同じ漢字を書いた山がありますが
そちらの山は金峰山と書いてきんぷざんと呼ぶのですね
ご存じかもしれませんがこちらの山は金峰山と書いてそのままの呼び名できんぽうざんと読みます
金峰山(きんぽうざん)は標高665mしかありませんが金峰山(きんぷざん)は標高2598mもあるのですね
こんなに高い山を登るのだけでもできそうにありませんが加えて雪の積もる道や凍結された道での登山だったのですね
これ程の難条件をこの場所まで登りきられてすごいです
高校の修学旅行で初めて見た富士山、忘れられませんでしたが
ここでしか見れないお写真の風景の富士山や南アルプスの山々とても美しくて本当に素晴らしいです
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自然 (グランマ)
2022-01-28 09:30:56
たかさん

何時も自然豊かな そして厳しいであろう登山

羨望の思いで拝見しています
全くの未知の世界です
これからも楽しみにしています
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ベルさん、こんにちわ (たか)
2022-01-28 12:04:30
普段、袖すり合っても通り過ぎてしまうものですが山に入ると前からの知り合いだったかの様に話が出来てしまうと言うのが不思議ですね。それが九州の親友の様に長いお付き合いにまで発展する事も有るのですから面白いものです。
五丈岩、ドッシリと大きいでしょう! 雄さんが立っている右後ろに岩から一寸顔を出しているポニーテールの友人が居るのですがベルさん、わかりますか?(左の写真)   でも、この岩 何でここに有るのか不思議ですよね。長い年月をかけ風化して岩だけが残ったのか・・・この岩の下がどうなってるのか知りたいですよね。
お金が無くなって・・・と正直に打ち明けるところがいいじゃないですか。 爽やかで好ましい男性でした。 交わした会話にしても山行記に残して置いた事が役に立ちました。
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akiraさん、こんにちわ (たか)
2022-01-28 12:55:01
一富士二たか三雄さん・・・ですか(笑) 楽しい山行に加えて岩崎氏との出会い、小屋での語らい、展望の素晴らしさを味わったのですから、雄さん、しっかりナスビの役目を果たしましたよね。
akiraさんは2泊3日の山行で何と何と瑞牆~金峰~甲武信という一筋縄ではいかない大物ばかりを縦走されたのですか?凄い脚力に驚くばかりです。
小屋を切り盛りしていたのがお嬢さんだったと言う事は未だ独身だった頃だったのでしょうか。と言う事はakiraさんが登られたのは季節はほぼ一緒でも私達より何年か前だったと言う事になりますね。
私はこの後、大弛峠から金峰山に登りましたが何度登っても金峰山は感動に値する山です。私も体力が有ればもう一度登りたい
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