たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(2)二ツ箭山 女体山に迫る

2021年09月30日 | 心に残る思い出の山

(続き)

小憩後、再び樹林帯に降りやがて着いた二ツ箭山の分岐で山頂へ行くか女体山の方へ行ってしまおうか迷ったが雄さんが「二ツ箭山に来たのだから行くべきではないか!」と言い張るので気の向かないまま進路を右に取る。30分位掛かるのかなと思いきや5分足らずで着いてしまった。木々に囲まれたその中に三角点標石が頭を出しているだけの侘しい頂だった。が、やはり来て良かったのかもしれない。此処は記念写真だけに留め分岐に引き返し木々の間を擦り抜けるようにして女体山に向かった。

すると岩峰に突き当たった。赤ペンキの矢印に誘われて岩をよじ登り1mほど岩をへつってから最後の岩を登ると中央に赤い乳房の格好をした三角点を見た時には思わず吹き出してしまった。この時はここが女体山と思い込んでいたのだが実は足尾山頂。幸い風も和らいできたのでザックを置いて360度の眺望を楽しんだ。どの山が何なのかサッパリだが紅葉に彩られた優しげな山々に取り囲まれて気分は上々。

いよいよ女体山の岩場が目の前に迫った。垂直な岩場に垂れる4mほどの扱いにくい鎖を雄さんの誘導で四苦八苦しながら降りると今度は5m程の鎖。雄さんは「ここはタカには無理かな」と言いながら振り子の様に右に左に体を移動させ降りて行った。まるでクリフハンガーの1シーンの様なカッコいい雄さんの姿。

見とれている場合じゃない。少しでも傾斜していれば恐々でも降りられるのだろうが左右の足の置き場に事欠くこの下りはとてもとても私には無理だ。女体山から明るい女性のお喋りが聴こえてくる。

足尾山の岩峰(御所に住まう麻呂とかしずく女官の様)

雄さんが「ちょっと待て」と言って鎖を木に掛け自分の体重を重りにして私が横移動できる状態に張ってくれたので別の位置から1メートルほど岩をへつった。これで2m近く降りた格好にはなったが、そこからが四面楚歌。さて、どうしたら良いものかと右下を見るとささやぶが見えたので其処へ突入するしかないと思い元の位置に戻り笹薮を通り何とか岩の下に降り立った。

ところが・・・ウソデショ!

「エエエ あんな苦労しなくても巻き道が在ったんじゃない

愚痴を言っても済んでしまった事。気を引き締めて女体山の岩峰に取り付く。登りの鎖は問題ないので、あっと言う間に山頂に着いたが足の震えが未だ静まらない。

女体山への取り付き点

 

山頂は360度の素晴らしい眺めであった。持参したガイド本によれば「ここで一気に眺望が開け東は勿来から広野あたり迄の海岸線と広漠とした海原、小名浜や平、四倉等の町並みが田園の中に。(略)遠くには安達太良山や吾妻連峰が望見される」と有る。

やっと緊張感から解放されるとお腹の虫が目を覚ました。起きだすと黙ってはいないタチの悪い虫だ。はいはい分かりましたよとザックからお弁当を取り出した。

紅葉に染まる谷の向こうには伸びやかな田園風景、そしてその向こうには銀色に輝く太平洋の大海原。目を凝らせば行き交うフェリーや漁船も見える。

ふと足尾山に目をやると私が先ほど悪戦苦闘を強いられた岩、そこから下を覗き込んで戸惑っている男性の姿が在った。

食事を終え直ぐ先の岩峰に移動。どうやらこちらが女体山本峰らしい。ポツンと祠が置かれているだけの頂だが前方に男体山の眺めが中々の迫力だった。

暫く休憩して、いよいよ今回のクライマックス10mの鎖、更に30mの垂直な鎖場だ。 ガンバロウ! 

続きますので今回もコメント欄はお休みいたします。


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