旧炭鉱王の別荘

2011-07-20 00:00:35 | 日記
松本清張の『砂の器』では、映画館でのニュース映画が謎解きの糸口になる。
昭和なのだ。
昔映画館では、本編、予告編のほかに、ニュース映画が放映されていた。
テレビが普及する前は、ニュースは新聞で読んで、動画ニュースは映画館で
見ていたものだ。
そんなニュースの中で頻繁に出てくるのが炭鉱の落盤事故、爆発事故だった。
中で働いていた人たちが何百人と生き埋めになる。外では家族が泣き叫ぶ。
昭和だった。

福岡県には筑豊炭田という全国一ともいえる規模の炭鉱産業があった。
小学校では、飯塚、直方、田川、山田の筑豊四都市を覚えさせられた。
だが今は統合合併などで、山田市の名前は残っていない。
昭和だったのだ。

2007年3月19日号の「アエラ」では、”華麗なる同族企業”という
特集が組まれ、筑豊の麻生家が紹介されている。
炭鉱採掘に始まった麻生家が、今も尚繁栄を続けているのは、石炭後の備えを
していたからだという。そしてこう続く。
”筑豊には、麻生、安川とともに「筑豊御三家」と並び称された貝島という
炭鉱会社があった。貝島家は「石炭以外には手を出すべからず」という家訓を
頑なに守って、先細りになっていった”と。

その貝島の名前を、私は家の近所の「貝島別荘」の方から覚えた。
商店街に出る途中の坂道に、石垣とその上の林がずーっと続くのだ。
とてつもなくお金持ちということは子供にもわかった。
しかしその中がどうなっているのか、どんな人が住んでいるのか
全く知らないまま福岡を離れた。

それからウン十年、4月から大学生になったことで
ひょんなことからあの貝島別荘を覗けることになった。
今はもう福岡市の管理になり、誰も住んではいない。
それでも私が子供時代を過ごした家の近くなら
同じような植相が見られるかもしれない。

坂下の石垣はここから始まる

               

上る

               

角を曲がって下る

               

昔と同じ焼杉の丸太垣

               

入り口には大きな楠が

               

奥に何か

               

門が

               

中には蔵が

               

草は刈り取ったばかりとか

               

本館には切断の跡が

               

裏へ

               

別棟の茶室も

               

石燈篭は残されている

               

いざ中へ

               

しかし玄関も

               

畳廊下も

               

広大だが遊びのない武家屋敷風の造り
わずかにキッチンに洋風が

               

石垣の上の林は外に透ける薄さで

               

私が迷って白骨化することは有り得なかった。

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2 コメント

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なるほど (阿防)
2011-07-21 15:55:56
石井さん、初めて書き込みをします。
と言っても、以前から覗きはやっていたんですよ。
あの門の記憶がよみがえりました。
門に行く途中に番人がいて、小学生の頃はあそこまで行くのが恐くてしょうがなかったです。
ただ一度、中に忍び込んで見た風景は、玉砂利のお庭にガラスで覆われた洋館を見た記憶があります。
昭和30年代の貧しい時代の鼻タレには別世界でした。
そういった建物はなかったですか?
それにしても内部の痛みはかなり進んでいるようですね。
あの近所の人から「貝島さんとこが工事しようじぇ」と聞いたので見に行きましたが、外からは工事の様子は分かりませんでした。
ただ、鬱蒼としていた木々が減って、空が近くなっている気はしました。
多賀北緑地みたいに建物を撤去して公園にするのは勿体ない気はしますが、修復をして保存することは大変ですので仕方がないのかも。
もっと別の写真があればアップお願いします。
杉本くん宅は貝島さんの隣りの高宮グリーンハイツの隣りです。
グーグルで見えますよ。
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Unknown (Mariko Ishii)
2011-07-21 21:48:10
阿防丸様
その洋館は多分本館から切断されてなくなったものと思われます。それを見たかったのに。
ほかの写真は、天井と四ヶ所のトイレで、トイレも普通のなので。ご覧になります?
中はさほど面白くなかったのです。
多賀北緑地にも行ってみましたが以外に狭く、昔覗いたところはもっと広かったような。
それと多賀には石碑があったのに、今回はみつけられませんでした。
また色々教えてくださいませ。
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