中原中也は、1907年(明治40年)に山口県に生まれ東京外語大学の仏文科を卒業。
詩人であり翻訳家、「ランボウ詩集」も翻訳出版、1937年(昭和12年)30歳で病気で逝去。
いまも愛されている数々の詩を発表しています。
ということで、雪が降るとなんとなく思い出すのが「生い立ちの歌」、、、
でも、これってやはり男の歌だと思います。 ここで歌われている「雪」は女性のことですよね。
「生い立ちの歌」
Ⅰ
幼年期
私の上に降る雪は
真綿のようでありました
少年期
私の上に降る雪は
霙(みぞれ)のやうでありました
十七十八
私の上に降る雪は
霰(あられ)のやうに散りました
二十一二十二
私の上に降る雪は
雹(ひょう)であるかと思はれた
二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました
二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました・・・・
Ⅱ
私の上に降る雪は
花びらのやうに降ってきます
薪(たきぎ)の燃える音もして
凍みる空の黝(くろ)む頃
私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました
私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のやうでありました
私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生したいと祈りました
私の上に降る雪は
いと貞潔でありました