田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

ピアノの弾き語りで活躍する田中眞紀子のブログサイト。ホームページはブックマークから。

清められる

2009-11-18 00:04:10 | Weblog
前の晩、ニュース番組で、工藤の特集をやっていた。
46歳で現役続行を希望、古巣の西武に戻る。
監督の渡辺と工藤っていったら、西武の黄金時代の2大エースだ。
あの頃はヤな小僧だったが、ダイエーに移ってから、なんとなく好きになった。
今年で日本に戻ると、今、ニュースでやってる城島も、工藤が育てたキャッチャーだ。

工藤が巨人に移ってすぐ、藤井というダイエーの投手が若くして亡くなった。
あの、出棺のシーン、今でも覚えている。

工藤は、自分から辞めるとは言わない、と決めているそうだ。
どこも雇ってくれなければ辞めるしかないが、雇ってくれる所がある限り、自分から辞めない、と。
それは、藤井が亡くなった時に決めたことなのだそうだ。
藤井は最後まで、また野球をやる事を望み諦めていなかった。
やれなくてもやれないヤツがいたのに、やれる自分が自分から辞めるなんて出来ないと言う。

今シーズン最後の試合、敗戦投手となったお父さんの背中が、マウンドに出て来た時から小さかったと、息子達が言っていた。
かっこ悪いかっこ良さ。
無様な凄さ。
最後の最後まで足掻きしがみつく生き様。

人として、こうあるべき。
そんな事を思った。


Rクンとの練習は1ヶ月ぶり。
前に練習した時から色んな事があって、ちょっと変わっている自分を感じた。
Rクンも、どうやら自分を動かして行くらしい。
でも、共に創り上げようとする音楽は、どんどんピュアになっていく気がする。
自己の混沌とした吐露ではなく、歌が、作品が、純粋に浮上していくような。

私は、関わってくれているミュージシャン達のお陰で、とても良い変化をしているのだ。
それぞれが動き変わって行く過程で、今しかない音楽を、その時その時の最高の純粋さで織りなす喜び。
この時間を持てる幸運と幸福を噛み締めて、明日から再び始まる世知辛い世の中との対峙に備えるのである。