ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

googleニュースが「β」を捨てる日

2006年08月06日 | 新サービス奮闘記!
googleニュースにおいて、一部の情報ソースに対してのみ「利用料」を支払っていたというのだけのニュースなのだけれど、これが意外とインパクトは大きい。これはこと、googleとコンテンツホルダーの問題ではなく、Googleをはじめ新しいwebサービスが作り出そうとしていたコンテンツの利用の新しい基準を後戻りさせる可能性があるからだ。

 グーグル、AP通信へのコンテンツ料金支払いに合意--ニュース記事の利用で - CNET Japan

googleニュースというのはある種自動更新される「見出し」集のようなもので、例えば「台風が本州に上陸」という記事が掲載されたとしても、googleドメイン自体でニュース全文が掲載されることはない。そのニュースの掲載先、つまり新聞社のサイトやネット系のニュースサイトなどコンテンツを持っているサイトに誘導をはかるだけのサービスである。

これがYahoo!やgooといったポータルサイトで扱うニュースと何が違うのかというと、

1)ポータルサイトはコンテンツホルダー(ニュースソース)からニュースというコンテンツを購入しているが、googleはただ「引用」しているだけであり「利用料」を支払っていない

2)ポータルサイトは購入したコンテンツ(ニュース)を自社サイトで掲載するが、Googleはニュースソースのサイトに誘引するのみである

3)ポータルサイトはコンテンツ利用料を支払うかわりに自社で「広告」を掲載し広告収入で得ているが、googleニュースは無料でニュースソースを「引用」しているのであり「広告」を掲載するなどの商用利用は行っていない

4)ポータルサイトでのニュース配信は正式サービスであるが、googleニュースはまだ「β」版である。※ この「β」は「mixi」などのように「永遠の未完成」という意味ではおそらくない。まだ正式な形(ビジネスモデルとしては未完成)ではないというくらいの意味だろう。


要は、ポータルサイトは「広告」で金儲けをするためにニュースソースに対し「コンテンツ」利用料を支払っているが、googleは金儲けをしないでニュースソース元に誘導するだけだから「見出し」を含めたニュースの「引用」が許されているのだ。

まぁ、これらは明確に決まっているものではなく例えば、「読売新聞」などの一部ニュースソースは上記の利用があったとしても「無料」で「引用」は認めないという立場を取っているし、その対応はまちまちだ。

しかし基本的にニュースソース側としては、自社サイトに集客してそこで「広告」収入を得る、あるいはポータルサイトなどに「コンテンツ」を販売し収入を得るというのが基本的な収入源である。googleに対し無料で「引用」を認めているのも、googleはコンテンツ利用料を支払ってはくれないが、そこからの誘導で自社サイトに集客できれば、結果的に「広告」収入が増えるから、に過ぎない。

そこで一部のコンテンツホルダーに対し利用料を払っているとすれば、パワーのあるニュースソース側からすれば、「こちらに対しても利用料を支払うべきだ」という風になるだろう。

またgoogleニュースはそれ単体で見ると、収入基盤がないわけだけれど、仮に今回の支払いが「広告」を掲載するための布石だとすると、逆に掲載されるニュースソース側への分配という問題が発生する。果たして今掲載されているニュースソースの全てに対して支払いを行うのか。朝日新聞と日経新聞には支払すけれど、「岩手日報」みたいな地方紙には支払いません。あるいはそんなに利用料を求めるのであれば「秋田魁新報」さんはもう掲載しません、といったこともあるかもしれない。こうなるとこれまでのポータルサイトとなんら変わらない。

ここまではgoogleとコンテンツホルダーとの問題だから、当事者間で協議してもらえばいいのだけれど、このGoogleニュースの登場以降、こうした「引用」を理由に無料でコンテンツを利用するサイトやサービスが増えている。例えばユーザー参加型のソーシャルニュースサイト「newsing(ニューシング)」なども、現在はあくまで記事を利用していないし、また広告収入などもないが、上述の前提が崩れると、否が応でも「広告」収入などを志向していかざろうえないだろう。

 newsing(ニューシング) - ソーシャルニュースサイト

またblogについても、個人がニュースソースを「引用」した記事上でアフィリエィトをしていた場合、「無料」でコンテンツを利用しながら商用利用しているといえなくもないし、「livedoor Blog」のようにテンプレートに勝手に「広告」が掲載され、blogサービス提供者に収入が入る場合もある。

果たして、どこまでが許容されてどこまでが「不正利用」となるのか。

googleニュースの問題は新しいWebサービスの価値観・基準にさえ影響をあたえかねない問題なのだ。

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