ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

LINEの活用にみるこれからの終末医療の形

2014年08月18日 | 医療
父の癌が発覚してから1年が過ぎた。Stage4。この状況が好転することは、まずない。

今日はこの件ではなく、遠く離れて暮らす親父への介護/看病をどうするか、それに対する介護スタッフの姿について書きたいと思う。

親父が住んでいるのは北陸の地方都市。親類が近隣にいるとはいえ、必ずしも付き合いが多いわけではない。母親は他界、息子は東京で働いているということもあって、いわゆる「独居老人」だ。

体も比較的動くし、痛みもないということもあり、また生まれ育った土地・長年住み慣れた家で最期を迎えたいという父の意思もあり、現在も自宅で独り住まいをしている。

6月に帰省した際は、あまりにも元気なので拍子抜けしたくらい。ゆっくりと消化しやすくしながらとはいえ、刺身も食えばとんかつも食う。日本酒は2~3日で一升は空けているようだし、煙草もやめてはいない。まぁ、こういう状態だし、今さら節制するよりは「quality of life」を満喫しようという感じ。

ただ夏の暑さのせいか、7月後半から一気に体力が落ちたとのこと。本人も弱気になってきている。

これまで2週間に一度の訪問診療と、週1度のヘルパーさんだけでは心配だということで、今回の帰省ではケアマネージャーや看護師、かかりつけの病院の先生らと今後の対応を相談をした。

まず前提は、本人の意思の尊重。無理やり介護施設や病院に入れるのではなく、人生最期の時間を本人の納得のいく形で過ごさせよう、自宅がいいというのであれば、自宅にいることを前提にサポートしていこうというもの。

こんなことを提案してくる先生がいるというのは、10年前には考えられなかったな。

とはいえ、現実的にはやはりハードルも高い。もちろん介護保険の精度的な制約もあるし、お金のこともある。何よりも、週一回のペースだったヘルパーさんが毎日(しかも違う人が)来るとなると本人の負担も高い。

そこで、先生やケアマネージャーの方から提案があったのは、先生および先生の代理の人が週1回、特定の介護士・ヘルパーさんが週1~2回の計週3回程度は顔を出し、それ以外の日は僕を含めてこのメンバーの誰かが電話をいれよう、というもの。何かあった時にいつでも駆けつけられるように。

そしてそのための「チーム」として、このメンバーでLINEのグループを作り、いつでも情報共有をしようというもの。

まさか、こんな風に「LINE」を使っているとは。現場の知恵ってのは凄いな。

もちろんセキュリティの問題や、ログの扱い方等を考えると、これがベストのツールとは思えない。ただしそうした情報システム管理者的な発想ではなく、普段から自分たちが使っているツールで、簡単に必要な機能のほとんどを実現させてしまうのだ。

特に遠方にいる僕に情報が届くようにと、診療の際に写真を撮れればそれをLINEにUPしてくれたり、こちらからの質問や心構えについても、丁寧に回答をいただける。あぁ、こんなことができるんだと正直、びっくり。

またもしメンバー全員で話をした方がいいようであれば、「スカイプを使えばTV会議ができます」との提案も。

IT業界で働きながら、まざまざとITツールが本当に役に立つ使われ方があるのだと、こうやってこれまででは考えられないくらいライフスタイルが変わるのだと実感させられた。

ただこれもきっとかかりつけのお医者さんが「小さな診療所」だからこそだろう。大きな病院の場合、こんな風に一般的なツールを利用したり、他の組織の人たちと「チーム」を組むというのはハードルが高いだろう。

大きいことではなく、小回りの利くこと、それに関わる人たちの「想い」が行動に直結できること、そうしたことがこれからの時代を支えていくのだろう。

確かに高度な大手術はできないかもしれない、でも多くの人が求める医療を実現するのに必要なのは「大きい」ことではないのだろう。



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