ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「伝わる!」説明術 / 梅津信幸 : 社内で伝えることの難しさ

2005年08月30日 | 読書
他人の話を聞く(理解する)ことや、ディスカッションなどで議事進行する・意見を集約するといった作業は上手いほうだと思う。逆に自分の意見や考えを他者に対して伝えるのがうまいかと言うと、これは結構微妙なところだ。特定のお客さんに対して何かを説明する・理解してもらうというのは、相手の反応をうかがいつつ、話のレベルを変えたり、切り口を変えたりと言った形で対応できるからいいのだけれど、社内の打ち合わせなどだとどうも話が届かない。で、普段なら、まぁ、今、説明してもどうも理解してもらうのが無理そうだな、と思ったら、また次の機会にでも…とするのだけれど、いろいろとそうも言ってられなくなってきていて、手にとったのがこの梅津信幸さんの「『伝わる!』説明術」。



著者の梅津さんは「アナロジー」で物事に捉えているとのことだが、「アナロジー」というのは具体的な事象の関係性をいったん抽象化し、既に既知の事象に置き換える作業といっても差し支えないだろう。僕は物事を考える時に、帰納法的な因果関係というよりは、物事の「関係性」を重視しながら「抽象化/具体化」という作業を心がけるようにしている。そういったこともあって、読後も「新しい発見」というよりも、考え方の確認や整理・「アナロジー」の再評価というのが感想だ。普段あまりこういうことを意識していない人には、目から鱗的な面白さがあるかもしれない。

そういえば、大学の頃、「経済学」の試験前に「家庭における労働力の再生産」とはどういう意味だろう、という話になったことがある。まぁ、劇団という授業を出ないことを誇りとしているメンバーだったこともあり、教科書を広げ難しそうな言葉でとにかく説明しようとしていたのだけれど、「…要するに、家に帰って食って、飲んで、寝て、明日も頑張ろう!って意味でしょ?」と答えると、全員からそれは違う、と突っ込まれたことを覚えている。しかし抽象化された言葉を抽象化された言葉だけで言葉遊びをするのならともかく、そのことのもっている意味を正しく理解し、具体的なレベルにまで落とすとそういうことになるのだ。

以前、「センスのある思考法」でも触れたけれど、物事の本質を理解していないと「抽象化/具体化」という作業、あるいは関係の類似性に着目した「アナロジー」ということを実践することはできない。

 センスのある思考法

こういった思考作業は、お客さんなどと話をする場合も非常に有効で、お客さんが今の説明でピンときていないなと思えば、もうすこし具体的なレベルで説明し、理解してそうであれば抽象化することで話の進行を早めたり、応用や派生的な話題に展開するということも可能だ。

しかしこれが社内の人間を相手にする時はどうも勝手が違う。社内の人間というのは、つまるところそれなりにその分野でのエキスパートなわけだけれど、言い方を変えると、既にある種の「思い込み」に侵されていることが多い。また議論の背景となる要素などについて、全体的に知らないとか、よく理解しているというのではなく、部分的はよく知っているがそれ以外は知らない人間がいたりと、「共通了解事項」のレベルが揃わなかったりする。そのためどのレベルで話をしたらいいのかがよく分からなくなるのだ。「1」言えば「10」わかってくれるのか、あるいは「3」言えばいいのか、そもそも「10」というものがどういうことか本当にわかっているのか…

こうなると誰に、何を、どういう説明したらいいのか分からない。ここに僕が苦手な理由がある。

例えば、「A」という概念と「B」という概念があるとする。今、「A」の一部と「B」の一部を包含した事象が生じたとしよう。この時、「A」の担当者はこの事象を「A」と呼び、「B」の担当者は「B」と呼ぶかもしれない。しかしこれはどちらも不適切だ。これは新しい概念(仮に「C」と呼ぶ)であり、「A」とも「B」とも異なる軸できられた「C」と呼ぶべき事象なのだ、という認識を人はなかなかできない。

「カメラ付携帯」が普及する以前、「カメラ」は「カメラ」、「携帯」は「携帯」としてしか認識できない人には「カメラ付携帯」なんて思いつかなかっただろう。仮に両者に「常に持ちあるくモノ」という共通性を発見していたり、写真が実はコミュニケーションツールとして機能していることに気付いた人こそが、「カメラ付携帯」の新しい価値にいち早く気付いたのだ。

こうした発想の「軽さ」・もしかしたら「A」でも「B」でもないのかもという「視点」というのは、エキスパートこそ難しいのではないか。

とはいえ、(僕も含め)この本を手にした人は「(理解してもらえないのは)仕方がないね」とばかり言っていられない人たちだろうから、梅津さんの言うような「アナロジー」という方法論や、あるいは相手に気付かせるための「質問力」といったものを磨いていかないといけないのだ。


「伝わる!説明術」/梅津信幸

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