ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

スマートフォン・Android時代の日本のモバイルメーカーの役割

2011年09月18日 | モバイル
スマホに切り替えて、その環境の整備のためにいろいろとアプリを入れたり消去したりというのを繰り返していたのだけれど、その中で改めて感じたことがあったので、それについて書いてみたい。それは、

スマホ時代をむかえて、日本のモバイルメーカーの果たす役割とは何なのか?

いや、この言い方は正確ではない、デジタル家電を覆おうとしている新しい潮流、「Android OS」をプラットフォームとして新しい機能を、様々な開発者が、ソフトウェアにて提供していくという流れの中で、ハードウェア中心の日本のメーカーは存在意義を見出せるのか、ということだ。

おそらくこの問いは日本の技術者も分かっているだろう。以前、Sonyが「Google TV」を発表したときに、こんなことを書いた。

「Googleにとっては様々な家電がインターネットとの親和性が高くなり、検索をはじめとしたGoogleのサービスが利用され、結果、収入があがればそれでいい。テレビを供給するのはどこのメーカーであろうと関係ない。Androidのように無償供与、安価に供与されれば、世界中のメーカーがいきなり新しいスタートラインから競争を始めることになる。しかも今回は、基盤が出来上がっている分、「価格競争」になりやすい。」

今のスマートフォンやタブレット端末を見ているとまさにこの状況になってしまったのだな、という気がする。どの端末を見ても、iOSを除けば全て同じUIで同じものが提供されている。もちろんユーザーがAndroidマーケットを通じて、必要なアプリケーションをダウンロードし、カスタマイズできるわけだけれど、そうなればなるほど、どのメーカーでも同じになってしまう。

もちろんそれぞれのメーカーの間でもしのぎを削って戦っている。

薄さ○mm、最軽量、女性も持ちやすいサイズ… それらはもちろん重要な要素ではあるが、ユーザーの興味を喚起するポイントではない。ユーザーは「スマートフォン」という「記号」に惹かれ、iPhoneにするかdocomoにするか、auにするかをまず悩む。ユーザーにとって1番関心が高い「サービス」については、それぞれがアプリをダウンロードしてカスタマイズできる以上、ハードウェアに関する部分は、それぞれの「差異」と「価格」のバランスによって判断される。

Xperiaシリーズのように「デザイン」や「ブランド」にハードウェアとしての競争軸を見出そうとしているメーカーはともかく、それ以外の多くのメーカーは否が応でも「価格」との競争に巻き込まれることになる。SAMSUNGやHTCのように品質も性能も日本メーカーと差がなく(場合によっては日本メーカーよりも経験値が高い)、かつ低価格で提供できるメーカーがあり、タブレットの分野ではacerやASUS、MSIといった「ブランド」的には劣っているかもしれないが圧倒的なコストパフォーマンスを実現するメーカーと互していかねばならない。


結局、プラットフォーム戦略の結果、「水平モデル」での競争になってしまった以上、日本の総合メーカーの持つ強みは十分に活かすことはできないのだろう。水平軸に設定された競争軸では、違うレイヤーの技術は必要なく、「価格優位性」や「特化した技術」、あるいは圧倒的な「シェア」がなければ勝ち抜けない。小回りの効く中小企業が優位な理由はここにある。不必要な間接部門もなく、技術もある程度特化せざろうえない。こうした要素が中小企業にはある。

そう考えると大手総合メーカーはそれぞれで改めて覚悟が必要なのだろう。「大手」「総合」から「小回り」の効く「ソフト」よりの企業が求められる時代に、それでも「巨象」であり続けねばならないのだから。

だからこそ本来的には、ハードウェア側でサポートしなければならない新しい技術を生み出したり、新しい競争軸を作り出さねばならないのだろう。Googleによって作り出された競争軸にしたがっているだけでは、不利な競争の場におかれるだけなのだ。

日本ではFelicaをベースにした電子マネーが進んでおり、それをサポートしていないスマートフォンは「マイナス要素」を抱え込むことになる。Felicaは日本独自の企画で必ずしも海外メーカーが技術やノウハウを持っているわけではない。それを利用したアプリケーションがあれば、androidのプラットフォームをはさんで上位レイヤーと下位レイヤーを結びつけた競争軸が作れるかもしれない。もちろん世界的にはFelicaを包含するNFCが推進されようとしている。しかしそれは無線部分だけだ。結局は上位アプリケーションが必要となる。

こうして新しい競争軸を作り出せる側にいかねばならないのだろう。それこそが大きな資本をもった総合メーカーの役割なのだろう。


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