maruの下手の横好き写真とつぶやき
写真を撮ったり、音楽(クラシック・ロック)をよく聴き、読書は古典(主に哲学中心)がメインです。全体主義社会の動きに警戒。
 



TPPを考えるのに、自由主義経済について考える必要があるけど、
そういう意味で沢山の人がこの本を読んだ方がいい。


ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く
ナオミ・クライン
岩波書店





読書しない人にとっては、上下ハードカバーのドキュメンタリーなど、退屈だろうな・・・笑


でも、テレビ・新聞で流れてくる情報などに頼らず、
自分で世界を知るには、こういう本からの情報こそ必要。

なんとなく、グローバルとか自由主義経済(新自由主義)っていいな、
規制緩和っていいな、自由化いいな・・・とか流されず、ちょい待てという事です。
(小泉・竹中路線ですね、日本だと。)

この気持ちのいい言葉の開発元が、シカゴ大学。
経済学者のミルトン・フリードマン教授が教祖といってもいいけど、
シカゴ学派と呼ばれ、賛同する若手学者はシカゴ・ボーイズと呼ばれている。
(経済ほ本読んでると、確かにちょろちょろ出てきます)

それまでのケインズ主義は、国の経済は政府が統制する事で、例えばインフレ抑制したり、
デフレを止めたりし、バランスを保つという考えだったのに対し、
そういう規制は経済にはよくない。何もせず市場に任せておけば、
落ち着くところに落ち着き、経済も発展するというのがシカゴ学派の唱える新自由主義経済。
と、簡単に言えるかなと。
まさに、竹中平蔵・・・まあ、彼は小物です。

問題は、この手法を世界に広めるとき、数十年前から実験と称して何が行われたのか?
今はどうなんだ?

日本人がよく知らない国で実際にあった出来事を通してみてみようという本ですね。

南米諸国では、チリ、ウルグアイ、アルゼンチン、ボリビア、などの例をあげていますが、
軍事クーデターに乗じ、新政権にこの経済を導入させています。
軍事政権樹立の際、みせしめに市民に暴行、拷問、殺害、と、恐怖を植え付け、
ショック状態に置くという事をする。
ショック状態に陥った人々は冷静な判断を下す余裕がないから、
そのうちに、色々な政策を打ってしまうという訳。これがショック・ドクトリン。
国営企業など、国の財産とも言える部分を、多国籍企業に格安で売る(規制緩和・自由化・民営化って事)。

基になったのが精神疾患の治療から派生した、洗脳テクニックの手法らしいと、
冒頭の章で書かれているのが怖いのですが、薬やショックや隔離などを行うと、
人間は幼児のように退化するそうで、そこから新たな人格を与えれば、
過去を捨てて、自分たちに都合の良い人間になる・・・そんな研究にCIAはお金を出していたそうです。
この実験は上手くいかないのですが、経済でやってしまおうという事ですね。

話は戻って、その陰で、シカゴ・ボーイズ達は軍事政権での経済政策を実行する。
民営化、規制緩和、社会保障の削減。
でもその国の経済が海外に丸裸にされたとき、
大儲けしたのは米国の多国籍企業で、何かおかしいと気付いた国民が反発すれば、
やはり人を連れ去り、拘禁、拷問、何でもやってしまう恐ろしい事を繰り返してきた・・・・
で、自由にやれせてみたら、かえってインフレになったり、海外から安い製品が来て、
失業者であふれたり、まったく失敗の繰り返しをする。(でもグローバル企業は儲かる。)
なのに、米国内では、経済を救ったとか、記事になったりする。

ここまで超簡単に、まとめたけど何か他人事ではないような・・・


そして、中国の天安門事件も、一般には民主化を求める反乱という認識ですが、
その陰で自由主義経済への対応もあったという(その為のショック療法)。
ト正平は資本主義の為に行ったという発言や、事件の1年前には、教祖フリードマン教授が、
国民に不人気な痛みを伴う改革をするよう中国政府に助言していたという・・・

欧州では支持率低下に悩んでいたサッチャーとの関係や、
ポーランド(連帯って学校で言葉を習った・・・)が政権を取ったあと、
資金援助を受ける条件が、ショック療法だったり、
ゴルバチョフとエリチィンの変わり目の話や、特にエリチィン時代に起こった出来事は、
(自分がまだ学生の身分だった頃の話でよく知らない部分でしたが)
IMFから資金援助が欲しくて、ショック療法を行うのが条件だったりする。
それらを後押しするのはシカゴボーイズ・・・
経済大混乱になり、オルガリヒが問題となってくる。
彼らは、少し懐かしい言葉で言えば、勝ち組ってやつですね。
混乱から救ってくれた元KGBのプーチンが、色々問題はあるけど指示されるのも分かるなあと・・・・

IMFって評判悪いというのは、以前から色々知っていた。韓国などで目茶目茶やってたから。

ネルソンマンデラも、出てきて頑張ったけど南アの現状は格差が厳しい。
アパルトヘイトなどで儲けた海外企業が賠償を払えばいいのに、なんだかんだと新政府が払う事になり、
予算が厳しくなり思うように活動できず、
ブルーIQという民間のような政府組織が海外企業を招きいれる活動したりで(ほかの国と一緒)
貧困層が増えていく。



で、今は何がなんでもTPP~

うーん。

アメリカにとって考えてみると、
多くのアメリカ人にメリットはないかもしれないけど、多国籍企業にはあるかもね。
そんな印象を持っていますが、これ読んだらうなずける。
オバマが頑張ってますが、アメリカ国民の為じゃない。バックのスポンサー企業の為ですよね。

そういう観点からも、多数を幸せにしないシステムだったら、TPP不要じゃないかな。
日本でも経団連が強く後押しする(メディアを使って)のも納得。
彼らは、もはや海外資本も多いし、日本企業って感じではないですからね。

まあ、国力がどこの国も似ていて、強欲な投機家もいなくて、
という条件がつけば、自由貿易は本来理想ではありそう。
それこそ、人材、住む場所、何でも共通にしてしまう・・・戦争はなくなりそうだ。
人が住みたい場所で、やりたい事をやる。

でもそうなると、世界政府???
うーん・・・

つづく

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