ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ライドシェア 日本の絶望的状況

2017年11月17日 | ITS
先月末から今月頭にかけて久しぶりにアメリカに出張していた。自動車用品業界では有名なラスベガスのSEMAショーに出展者として参加していたのだが、当社も含め中国企業が相当出店している。一方で日系企業は数えるほど。本当に日本はどんどん内向きになっているように感じる。これについては改めて。

ラスベガスではレンタカーを借りず、タクシーで移動した。到着してホテルまでタクシーに乗った所、チップ込みで60ドル。一方でライドシェアのUberやLyftだとせいぜい30ドル。以降、全てライドシェアをつかった。運転手は総じて礼儀正しく、とても気持ちよく使うことができたし領収書はすぐにメールで送られてくる。
上海で生活していたときももっぱらライドシェアの滴滴を使っていた。タクシーと比べて値段は変わらないが、上海では皆滴滴をつかうから流しのタクシーを捕まえるのが非常に難しくなっている、というのがその理由。また滴滴はUberやLyft同様運転手評価があるので、タクシーよりも安全運転だし礼儀正しい。

日本ではご承知の通りライドシェアは白タクとなり、一部地域を覗いて法的に認められていない。
タクシーを拾うのはさほど難しくなく、ドライバーのレベルも高い日本ではライドシェアは不要である、という意見もある。それはある程度同意できる。
しかし、日本でライドシェアが認められないのはニーズがないからというよりは業界の反発に配慮したものだろう。
国交省の見解は二種免許をもたいないドライバーによる客運は安全面の懸念が高いということだが、海外の殆どの地域で問題なく運用されているのに何が心配なのだろう。
確かにUberや滴滴運転手による暴行などが報道されたが、これはごく一部の話だ。

消費者側からのニーズがないのであれば別にそれはそれでいいということだと思うが、ライドシェアは将来の交通イノベーションにとって避けて通れない仕組みだということが気になる。
いずれ車は自動運転になる。自動運転になれば、車は使いたいときに自宅の前まで自分でやってくる。さらに、目的地についたら降りるだけ。駐車場に入れる必要がない。ドライバーの人件費がかからないから現在のタクシーよりもかなり安くなる。この状況であれば殆どの人は自分の車をもたずライドシェアを使うことになるだろう。
ライドシェアのプラットフォームは、単なるタクシーの代替という以上の意味があるのだ。
だからこそ、ソフトバンクは滴滴やUberに投資した。

一方で今話題の中国自転車シェア。これはGPSによる所在地管理をもとにしたフリーフローシステムで、課金まで行う。これもまた、将来の自動運転車のプラットフォームとなりうる。
ダイムラーの小型車シェアCar2GOも自動運転車シェアを見据えているし、国内で自転車シェアを進めているDOCOMOもそれは視野にいれていると思う。

日本でも民間はそれなりに動いているが、肝心の行政側がシェアリングに対して腰が重い。
政府はイノベーションにつながる新ビジネスに関してもっと開放的になって欲しい。