ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ディスプレイオーディオ(DA)の時代はくるのか?

2013年02月17日 | ITS
久しぶりに当ブログ本業系のお話。

今、カーマルチメディア業界ではディスプレイオーディオ(DA)が話題になっている。
DAとは、7インチ程度の液晶画面を持つカーラジオで、スマートフォンとの接続機能を持ちスマートフォン側のソフトを使ってカーナビやメール、情報表示を行うというもの。
スマートフォンの普及と、それのカーナビ機能の強化に伴って「車載カーナビなんていらないのでは」ということから出現したもの。

スマートフォンの画面をそのまま液晶に表示するわけではなく、通常はDA専用ソフトが存在し、それが運転中の視認や操作に適した形で変換して表示される。

すでに一部メーカーで商品化され販売されている。
カーナビがDAに置き換わるのは時間の問題であるという見方もあるが、実は私は最近になって懐疑的になっている。

その理由は以下のとおりだ。

まず、カーナビ自体の低価格化。汎用プラットフォームの廉価メモリーナビは製造コスト2万円台の世界になっている。
仮にDAがその半額のコストで製造可能だとしても、絶対的な価格差は大したことがない。
カーナビの平均的実売価格は10万円を大きく割り込んでいるが、これはいずれ5万円前後になるだろう。そのとき、3万円のDAに魅力があるだろうか?

次に、スマートフォンのナビ性能。かなり良くなってきているものの、車載専用機にはかなわない。上記の価格差であれば、専用機のほうが商品価値は高い。

そして、果たしてDAは旦那はiPhone、奥さんはガラケー、息子はAndroidなんてケースで、シームレスにサービスを提供できるのか、ということ。
これは研究が進んでいるけど、なんかしら設定では面倒なことがあるだろう。

さらに、DAのほうがスマートフォンのアプリを使えて拡張性がある、という事を言う人もいるけど、実際ナビ以外に使うのか?
メール読み上げなど、一部で有用なアプリもあるがそれとてスマートフォン単体でクレードルにおいておけばいいようなものだ。

結局、簡易的なナビで良い人はスマートフォンをクレードルに設置して、カーオーディオはCDラジオでよしとするだろう。
ちゃんとナビが欲しい人は充分値ごろのあるカーナビを買う。
それ以前に、そこまでカーナビのコストが下がればカーメーカーはナビを標準装備にする。

いまのところ、カーメーカーがDAを標準装備にする理由はない。
ディーラーの販売現場でDAはユーザーへの説明をしきれない、売りにくい装備になってしまう。
スマートフォンと無縁、もしくはスマートフォンを持っていても電話とメールしかしないような消費者はまだたくさんいるからだ。

ということで、私は結局のところDAは中途半端な商品にしかなりえず、大きな普及はないのではないかと思う。